総合病院へ
青木クンが入院している総合病院は、学校近くのバス停からバスで5分ほどの距離なので、このまま歩くことにした。
学校へと向かう大勢の生徒たちに逆行しながら、下を向いたまま歩いた。
顔を伏せていれば、よほどの友達じゃないと声を掛けて来ないはず。
学校の敷地内を張り巡らせているフェンス伝いを歩き、朝の通勤ラッシュでもあるこの時間、車が終始行き交う国道に出た。そして、歩道を一直線に二キロほど歩いて、総合病院に着いた。
総合病院の玄関ロビーから入ると、外来患者と見られる患者たちが、たくさんソファに座っていた。
その傍を通ると、何人かの人がわたしに注目している。
この時間、学生服を着ている自分が場違いだと思い知らされた。
それでも、今の自分には、学校の授業なんかより大事なことだと思い直し、受付で、青木クンの病室の番号を聞いた。
青木クンの入院先は整形外科病棟だった。
額を切って血を流していた青木クンを思い出した。
どうして、整形外科病棟なのだろうか?
不安な思いが心の中にズシンと入り込んで来た。
足を速めて、入院病棟のエレベータに乗り込んだ。
あのマネージャーは試合に出られないと言っていた。
額の傷だけなら、試合に出られないことは無いかも知れない。
整形外科病棟……
身体を震わせながら、エレベータ内の階を示す点滅する数字だけを見ていた。




