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二人乗り

 背中から、真夏の朝の日差しが暑いほど感じられた。涼の白いシャツが反射して、眩しいくらいだった。

 国道沿いをしばらく走ってから、近回りでもある公園の中へと進路を変える。

 人もまばらなこの時間。犬の散歩をしている人たちとすれ違う。

 眠そうな人もいれば、犬と一緒に走っている人もいる。

 両側の桜の木が立ち並ぶ細い遊歩道。

 涼の自転車はスピードが落ちない。吹き抜ける風が心地よくて目を細めて涼の背中に頬をピタリとくっ付けた。

 公園を横切って、上り坂に入った。自転車のスピードが落ち、涼の息使いが聞こえ始めた。

「涼……大丈夫?」

「かなり……きついけど、頑張る」

 腰を上げようとしたので、涼の腰から手を離した。

 自転車は蛇行しながら、どうにか坂を上り切った。

「さすが涼だね」

「沙都、お前、重くなってないか?」

 逆に下り坂になって余裕が出て来た涼が、そう、突っ込んできた。

「失礼ね。体重は中学の頃と変わってないから」

「そっかあ? 俺の体力が落ちたか、沙都の体重が増えたのかどっちかだな」

「涼の体力が落ちたの」

「そっかな?じゃあ、これから朝連当番の時は違反トレーニングに付き合ってくれよ」

 さりげない、涼からの誘い。

「付きあって上げてもいいよ。協力する。涼の足を鍛える為、もっと太って重くなるから」

「それだけは勘弁してよ。別に太らなくていいし。沙都はずっと、そのままでいろよ」

 そう声を荒げて、さらに勢いよく自転車をこぎ始めた。


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