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彼氏ができたんだ[改]

幼なじみとの恋。

複雑な恋愛です。


わたしこと、高井沙都は、学校帰りの制服のまま、隣に住む幼なじみの畑野涼の部屋のドアを開けた。


「涼―。はい、これ」


そう言って見せたのは、さっき近所のケーキ屋で買ったばかりのプリン。


「おう。どう言う風の吹き回し? ドケチの沙都が差しいれなんてさ」


ベッドの上でゴロンと横に寝そべって、ゲームをしていた涼が眼だけをこちらに向ける。


視線の先はわたしの手にあるケーキ屋のレジ袋。


「ドケチ? まあ、反論は出来ないけどね。ねえ、何してるの?」


そう言いながら涼が寝そべっているパイプベッドの端に腰掛けPSPの画面を覗き込んだ。



男の子のわりに整理整頓が行き届いている涼の部屋。昼下がりの日差しが微かに差しこんでいる。


「モンハン」


そう言いながら、いつものジャージにTシャツ姿の背中をこっちに向けて、身体を横にする。


「ふーん。今日は、部活、早く終わったの?」


「まあね。監督の気分ってヤツ」


「そう……」


ベッドに腰掛けたまま、フンフンと鼻歌を歌いながら足をブラブラさせる。



「なんだよ。ヤケに機嫌いいな。プリンとか買って来たりして、なんか、いいことでもあったのか?」


PSPをベッドの上に放り投げ、起き上がって隣に座り、わたしの手からレジ袋を取り上げる。


「分かる?」


「うん。分かる」


「あのさ、涼。わたし、彼氏ができた」


レジ袋を弄っていた手がピタリと止まる。


「彼氏?」


「うん。となりのクラスの青木光輝クン。野球部だよ。涼はサッカー部だから、グラウンドで見たことあるでしょ?」


「青木……?彼氏って……何っそれ?」


手にしていたレジ袋をベッド下に放り投げて睨みつけて来た。


「ちょっと……プリングチャグチャになっちゃうじゃないの。なんてことすんのよ。折角買ってきたのに」


「沙都、それで浮かれてプリンなんか買ってきたのか?お前……今まで、そいつが好きだなんて言ったことなかっただろ?」


「うん。だって、今日、告白されて、初めて青木クンのこと知ったんだもん。なかなかイケメンだし、カッコイイって思ったから」


「はあ?なにそれ?」


「いいじゃん。別に。わたしのこと好きだって言ってくれたんだもん」


床に落ちたレジ袋を拾い上げて中身を確認した。カラメルとプリンが混じり合っていた。



「ほら、崩れちゃったじゃない」


「自分のこと好きだって言ってくれた男なら誰でも付き合うのかよ」


いつもボウッとしている涼が彼氏が出来たことに対して絡んできた。


「誰でもって、わけじゃないけど……」


「その青木ってヤツがカッコよかったからか?」


「うん。まあ……そんなかんじかな。並んで歩いても恥ずかしく無いって感じだし……」


「おまえ、それでいいのかよ」


いきなり、もの凄い力で、右腕をつかまれた。持っていたレジ袋が床にゴトンと落ちた。


「ちょっ……いたい。いたいよ。涼……何すんのよ」


「そいつが、こんなふうに、腕つかんできたらお前、どうすんの?」


顔を覗き込んで来た涼は、いつもの涼ではなかった。


色素のうすい、茶色がかった目を大きくみひらいて、こんどは左腕をつかんできた。


「ちょ……青木クンはこんな乱暴しないよ」


両手を掴まれたわたしは首を振って抗議した。


「お前、そいつの彼女になるんだろ?これくらい覚悟しといたほうがいいんじゃね?」


ベッドに両膝をついた涼が、わたしに顔を近づけてきた。


「わたしに彼ができたからって、逆ギレしないでよ」


「逆ギレ?」


「自分は彼女いないからって、当るなってこと。涼だって、この前告白された子と付き合えばよかったんじゃない」


すると、わたしの両腕を持ったまま、そのまま、おおいかぶさってきて、わたしはベッドの上に押し倒された。



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