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悪役令嬢ってカッコよくないですか?〜異世界の令嬢たちにうっかり前世のなろう小説の話をしたら、憧れの的になってしまいました〜

作者: 桜木ひより
掲載日:2026/07/20

「ミレーヌ様、また難しい顔をしておりますよ」


隣の席からフェリシアが覗き込んできた。

白い手袋をはめた指先が、私の眉間をちょんとつつく。


「……してないわ」


「しています。眉間に皺が、きっちり三本。わたくし、数えましたもの」


春の陽光が、テラスに並んだ銀の茶器に反射して眩しい。

運ばれてくる焼き菓子からは、焦がしバターの甘い香りが漂っている。


周囲の令嬢たちは背筋を伸ばし、人形のような微笑みを貼りつけて、昨日の天気や刺繍の進捗について語り合っていた。


退屈で、あくびを噛み殺すのすら限界だった。



前世の記憶を持つ私にとって、この手の茶会は苦行でしかなかった。


前の人生では、休日にソファで寝転がりながら、スマホで小説を読み漁るのが至福の時間だった。


その中でも特に好きだったのが、異世界転生、悪役令嬢、ざまぁといった王道ジャンルだった。


金曜の夜にビール片手にランキングの更新を追いかける、あの背徳的な幸福感。

月曜の朝の通勤電車の中で自分の理想のファンタジーに没頭する、あのささやかな現実逃避。


ところがいざ転生してみれば、チート能力もなければ、乙女ゲームの世界でもなく……。

そこには断罪も婚約破棄もない、ただただ平和で退屈な西洋の貴族社会があるだけだった。


前世を思い出したときの、あの凄まじい拍子抜け感は今でも忘れられない。


せめて悪役令嬢にでも転生していれば、やることがあった。

フラグ回避や、婚約破棄の準備で忙しくできたはずだ。


なのに私の立場は、ロートリッヒ伯爵家の一人娘。


なにかとちょっかいを出してくる敵もいなければ、私を溺愛してくれる婚約者すらおらず、平和すぎて逆に干からびそうだった。



「ミレーヌ様って、たまにすごく遠い目をなさいますよね…」


フェリシアが焼き菓子を一つ手に取りながら言った。


ハイネス子爵家の一人娘。

退屈なこの茶会で、唯一まともに本音で話せる相手だ。


好奇心が旺盛で、面白いものを見つけると、猫のように目をきらきらと輝かせる。


「……少し、考え事をしていたの」


「どんなことですの?」


「昔、好きだった物語のことをすこし…ね」


口にしてから、しまったと後悔した。


フェリシアの瞳が、らんらんと輝き始めるのが見えたからだ。

この子は面白い話を嗅ぎつけると、絶対に逃がしてくれない。



「物語!ぜひお聞きしたいですわ。どのようなお話なんですの?」


身を乗り出してくる彼女を前に、私はため息交じりに紅茶のカップを置いた。

カモミールの優しい香りがふわりと立つ。


「ええと……ジャンルとしては『悪役令嬢』もの、かしら」


「あくやくれいじょう……?」


フェリシアが小首を傾げた。

聞いたことのない不思議な言葉に出会った子供のような顔だ。



それもそのはず、この世界に「悪役令嬢」なんて概念は存在しないのであった。



社交界を舞台にした恋愛小説はあるが、主人公に立ちはだかる敵役の令嬢を一言で表す言葉はなかった。


でも…期待に満ちたフェリシアの視線を前に、ここで話を打ち切るのも不自然だった。


「ええ。物語の中で、主人公の恋路を邪魔する高位貴族の令嬢がいるの。実家の権力を振りかざして、主人公をいじめたり、陰謀を企てたりする役割ね」


「はい、はい。それで?」


フェリシアは焼き菓子を持ったまま、さらに身を乗り出す。


「最後は、主人公とその味方に悪行を暴かれて断罪されるの。婚約を破棄されたり、国を追放されたり。その敵役の令嬢たちのことを、悪役令嬢と呼ぶのよ」


「なるほど……」


フェリシアは顎に手を当てて、真剣な考え込み始めた。

そして、はっと目を見開いた。


「ちょっと待ってくださいな。つまりその悪役令嬢という方は……権力者にも物怖じせず、己の信念を貫いて、最後まで折れない女性ということですか?」


「……え?」


「しかも、国を追放されてもなお、自分の足で荒野を歩むのですよね。どんな逆境にも屈しない、不屈の精神。それって…」


フェリシアの白い頬が、じわりと赤く染まっていく。

その瞳に、まるで星を詰め込んだような輝きが宿った。


「ものすごく、カッコよくないですか!?」


声が大きかった。

周囲の令嬢たちが数人、怪訝そうにこちらを振り返る。



「違うの、フェリシア。そういう格好いい話じゃなくて…」


「だって、誰にも媚びないのでしょう?王太子にすら堂々と立ち向かうなんて。この息苦しい社交界で、そんなことできる令嬢が他にいて?」


いない。確かにいない。それは認めるけれど。


「フェリシア、悪役令嬢は悪い人なのよ。陰湿な嫌がらせや、卑怯な陰謀を企てたり、主人公をいじめたりするの」


「逆境を切り開くための、知的な戦略ですわ!」


「ち、違うわ…」


「でも、最後は皆の前で断罪されるのですよね。それでも目の前の立ちはだかる理不尽に泣き喚かずに立ち尽くす!」


「そうだけど」


「そして、高笑いをするのですね!」


なぜそこだけピンポイントで正確に伝わっているのか。



フェリシアがガタリと椅子から立ち上がった。

ふくよかな胸に手を当て、ドレスの裾を翻して背筋を美しく伸ばす。



「おーっほっほっほっほ!」


澄み渡る春 of 庭園に、子爵令嬢の朗々たる高笑いが響き渡った。


令嬢たちが一斉にフリーズしてこちらを見ている。


給仕の侍女は盆を取り落としかけ、隣のテーブルの侯爵夫人は危うく紅茶を吹きこぼすところだった。


数秒の静寂。


それから、ひそひそと囁き合う声が波のように広がっていった。


「何かしら、今の……」


「ハイネス子爵家のフェリシア様よ」


「あんなに堂々と大きな声で笑うなんて……でも、少しだけ、スカッといたしませんこと?」


最後の一言が耳に痛かった。

まずい…。これは流行病のように伝染する前兆だ。


私は両手で顔を覆い、深くため息をついた。




それから一週間後。



知人の令嬢に誘われ、小規模な茶会に顔を出した。


あの日の一件は、フェリシアの一時的な興奮だったと思いたかった。

彼女がすっかり忘れていることを祈りながら、テラスに足を踏み入れた。


耳に、聞き慣れた高笑いが飛び込んできた。


それも、一つではない。複数だ。

テラスの奥で、五人ほどの令嬢が輪を作っていた。


「違うわ、もっとお腹から声を響かせなくては。悪役令嬢の笑い方は、横隔膜を意識するのが基本よ」


「こうかしら?おーっほっほ!」


「素晴らしいわ。もう少し顎を上げて、相手を見下ろすように視線を落としてみて」


私はその場に立ち尽くした。


フェリシアが輪の中心にいた。

両手を腰に当て、完璧な姿勢で後輩令嬢たちに高笑いの実技指導を行っている。



「あ、ミレーヌ様!」


しまった、目を合わせてしまった。逃げ損ねた。



「皆様、こちらが悪役令嬢の伝道者、ミレーヌ・ロートリッヒ様ですわ!」


伝道者。呼ばれたくなかった肩書きだ。


令嬢たちが一斉にこちらを向き、その瞳をキラキラと輝かせた。


「ミレーヌ様、悪役令嬢の精神って本当に素敵ですわね!」


「私、昨夜お父様に『悪役令嬢になりますわ』と宣言いたしました!」


「……お父様、何と?」


「感動で泣いておられました!」


「それは…そうですか…」


頭が痛い。

ずきずきと脈打つこめかみに指先を当てながら、私はフェリシアを睨んだ。



「一体ここで何をしているの、フェリシア」


「悪役令嬢研究会ですわ!ミレーヌ様のお話に感銘を受けた有志が集まり、悪役令嬢の精神性を学んでいるのです」


「学ばなくていいわ。というか、悪役令嬢って悪い人だって言わなかったかしら?」


「ええ。旧態依然とした権力に屈しない、強い女性のことですよね」


「悪い人ね」


「逆境を恐れずに自分の道を行く、不屈の存在!」


「悪い、人、ね」


「カッコいい人!ということですね!」


会話になっていない。


一人の令嬢が、手を挙げた。


見覚えのある顔だ。

以前の茶会ではいつも部屋の隅で猫背になり、話しかけられると怯えたように視線を逸らしていた子だった。


「あの、ミレーヌ様。私、悪役令嬢の高笑いを練習するようになってから、自分の声がしっかり出せるようになったのです」


確かに、彼女の背筋はすっと伸びている。


「お母様からも『最近、堂々としていて頼もしいわね』と褒められましたの」


それは確かに良いことだと思う。思うけれど。



「すべては悪役令嬢のおかげです!ありがとうございます!」


ついに感謝の対象になってしまった。

前世のなろう作家たちが聞いたら頭を抱えるだろう。


別の令嬢が嬉しそうに言った。


「私は悪役令嬢の『扇子パチン』を極めていますの!相手の顔の前で扇子を広げ、次の瞬間にぴしゃりと音を立てて閉じるのです」


「それ、ミレーヌ様に教わったの?」


「いいえ、悪役令嬢の所作として自分で開発いたしました!」



私の手を離れ、悪役令嬢の概念はすでに独自に進化を遂げつつあった。


人間って、自然に同じ方向に向かうようになっているのかしら…。



そこに、周囲が急に静まり返る気配がした。


さっきまで高笑いの練習をしていた令嬢たちが、慌てて背筋を伸ばし、一礼する。

すべての視線が、テラスの入り口へと集まっていった。



光を透かす淡い金髪を完璧に結い上げ、サファイアのような青い瞳が静かにこちらを見つめている。


薄い唇には、いつもの完璧な微笑みが貼りついていた。

だが、その白手袋をはめた指先だけが、シルクのスカートをかすかに強く握りしめている。


ベアトリーチェ・フォン・ヴェステルン公爵令嬢。

王太子エーリッヒの婚約者であり、この国の社交界の頂点に君臨する女性だ。


「……お噂は伺っておりましたわ」


ベアトリーチェの声は静かだが、よく通った。


「悪役令嬢。自らの意志で立ち上がり、権力にも屈せず、追放されても折れない女性……」


どうして全員、そこだけを抽出するのだろう。



「それは、とても素晴らしい姿勢だと思いますわ」


ベアトリーチェが一歩踏み出すと、令嬢たちが自然と道を開けた。



「私は長い間、淑やかで控えめな公爵令嬢を演じてまいりました。求められる通りに微笑み、意見を求められても『殿下のお考えの通りに』とだけ答えて」


その声が、かすかに震えた。

握りしめられた白手袋の拳が、小さく震えている。


「……正直に申し上げれば、わたくし、疲れましたの」


テラスにしんと静まり返った空気が満ちる。

遠くで小鳥のさえずりだけが聞こえていた。


「ですから私も、悪役令嬢を目指そうと思いますわ」


令嬢たちから歓声が上がった。

フェリシアは我がことのように飛び跳ねている。


私一人だけが、その場で凍りついていた。



「…ベアトリーチェ様」


声が裏返るのをこらえながら、私は一歩前に出た。


「あなたは絶対にダメです…いいえ、根拠があるわけではないのですが」


「……あら、なぜですの?」


「王太子の婚約者が悪役令嬢を目指すのは、物語の構造上、最も破滅に近いパターンです」


「構造上?」


「悪役令嬢は、最後に断罪されて婚約を破棄され、追放される役割なのです。ひどい場合は命を失うこともありますのよ」


ベアトリーチェは丸い目をした。

それから、ふっと、柔らかく微笑んだ。


「処刑されてもなお、己を曲げないのですか?」


「……いえ、曲げない云々の前に、死んでしまいます」


「命を懸けてまで信念を貫く。これ以上の覚悟がありますこと?」


「…美化しないでいただきたい」


「いいえ、むしろ美化が足りませんわ」


ベアトリーチェの瞳は、この場にいる誰よりも真剣だった。

本気で言っているのだ。



「殿下に、来週の晩餐会で申し入れようと思います。『私の意見も聞いていただきたい』と」


「しかし、それは悪役令嬢ではなく、ただの正当な権利の主張では……」


「その正当な主張すら口にできないのが、この社交界…そして今の女性の立場ですのよ」


返す言葉がなかった。

ベアトリーチェの指摘は、ぐうの音も出ないほどに正論だった。


ベアトリーチェが小首を傾げた。


完璧な微笑みが崩れ、彼女の素顔のような少女の表情が覗く。


「ロートリッヒ様。あなたは悪役令嬢を悪いものだと仰いますけれど」


「はい」


「でも……その物語を、とても愛していらしたのでしょう?」


「……それは、まあ」


「なぜ、そこまで惹かれていらしたの?」


言葉が喉に詰まった。


前世で読み漁っていた理由。ただの暇つぶし、定番だから。

本当にそれだけだったか。


違う。


誰にも媚びない彼女たちが好きだった。

負けると分かっていても、プライドを捨てずに胸を張る後ろ姿が好きだった。

高笑いの裏にある、決して折れない強い芯に憧れていたのだ。


沈黙する私を見て、ベアトリーチェは作り物ではない、本物の笑みを浮かべた。


フェリシアが私の肘をつつく。


「ほら、ミレーヌ様。悪役令嬢は、この社交界にこそ必要だったのですわ」


…勝手に話をまとめないでほしい。


けれど、否定する言葉はどこにも見当たらなかった。




それから二週間ほどが経った。


社交界の空気は、確かに変わりつつあった。


月例茶会に出席した私は、テラスの空気が以前と一変していることに気づいた。

令嬢たちの話し声が、明らかにハキハキと大きくなっている。


天気や刺繍の話題は影を潜め、領地経営の問題点について議論する声や、読んだ専門書の感想を堂々と述べる声が響いていた。


あちらのテーブルでは、二人の令嬢が国境貿易の関税について熱く意見を交わしている。


先月まで薔薇の品種についてしか話していなかったはずの二人が、だ。


「悪役令嬢精神」という言葉が、社交界の一部で肯定的な意味で定着し始めていた。


意味は「自立した意志を持ち、堂々と意見を表明する姿勢」らしい。


元の定義とはかけ離れているが、もう訂正する気力は私には残っていなかった。



フェリシアの主催する『悪役令嬢研究会』は正式に発足し、毎週のように活発な活動を行っている。


高笑いの発声練習だけでなく、「自分の意見を三十秒で簡潔に述べるスピーチ訓練」や「扇子を使った視線の誘導術」まで教えているらしい。


後者は完全にフェリシアのオリジナルだが、彼女たちが生き生きとしているなら、もう何も言うまい。



ベアトリーチェが王太子に意見を申し入れた一件は、翌日には社交界を駆け巡っていた。これは記憶にも新しい話だ。


王太子殿下は当初、酷く驚かれたらしい。


だが、風の噂によれば、殿下は困惑しつつも「嫌いではない」と周囲に漏らしていたそうだ。

『今まで何を考えているか分からなかったが、初めて婚約者と本音で向き合えた気がする』、と。



「殿下がそう仰ったそうですわよ」


フェリシアが嬉しそうに耳打ちしてきた。


「……それは、何よりだわ」


口では呆れたように言いながら、私の胸の奥は、温かい何かで満たされていた。



テラスの端から、活気にあふれる庭園を見渡す。


あちこちから、高らかで、どこか誇らしげな笑い声が聞こえてくる。

あの隅っこで縮こまっていた令嬢が、自分から楽しそうに別の令嬢へと歩み寄っていた。


前世で読んでいた悪役令嬢は、確かに悪役だった。

ヒロインを虐め、陰謀を巡らせ、最後は無様に断罪される。


けれど、この世界の令嬢たちが見出したのは、もっと純粋な力だった。


誰にも媚びない。自分の意志を持つ。堂々と声を上げる。



ああ、悪役令嬢って――。


考えてみれば、最初からとても格好いい存在だったんだ。


私が読んでいた物語の中でも、彼女たちは誰よりも自分の足で、孤独に立っていた。

ただ、その立つ場所が敵側だっただけで。


「ミレーヌ様」

いつの間にか、フェリシアが隣に立っていた。


「一緒に高笑いの練習、しませんか?」


「……え」


「伝道者であらせられるのに、一度もなさらないなんて、大問題ですわ!」


「伝道者を引退したいのだけど」


「却下です!」


フェリシアが私の手を引き、テラスの中央へと連れ出した。

令嬢たちが一斉に集まり、にこにことした期待の視線を向けてくる。


「私、そういうのは苦手で……」


「胸を張ってください。顎を上げて。悪役令嬢は、決して俯かないのです!」


フェリシアの言葉に、周囲の令嬢たちが深くうなずく。


覚悟を決めた。


背筋を伸ばし、顎を上げる。


前世では猫背で俯きがちだった派遣OL。

今世でもどこか遠慮がちだった伯爵令嬢。



けれど、今だけは。


「……ほほほ」


「小さいですわ! 全然足りません!」


フェリシアが両手を広げる。


「もっとお腹から! この社交界の全員に、生き様を聞かせるつもりで!」


無茶苦茶を言う。

けれど、彼女のキラキラした瞳を見ていたら、おかしくて堪らなくなった。


悪役令嬢を最初に「カッコいい」と言い表した彼女の直感は、きっと、大正解だったのだ。


息を深く吸い込み、お腹に力を込める。


「おーっほっほっほっほ!」


声が出た。

自分でも驚くほど、澄んだ大きな声が。


それはテラスを抜け、庭園の木々を超えて、青い空へと吸い込まれていった。




割れんばかりの拍手が沸き起こる。

フェリシアが一番に手を叩き、ベアトリーチェもまた上品に拍手を送ってくれた。


顔がカッと熱くなり、耳まで赤くなっているのが自分でもわかる。


けれど。


なぜか不思議と、清々しかった。



「やればできるではありませんか、ミレーヌ様!」


フェリシアが私の腕に抱きついてくる。


「次は扇子の開き方と合わせた実演ですわ!悪役令嬢は小物の扱いも命ですものね!?」


「そんなこと、私は一言も言っていないのだけど……」


「あ、それと来月の茶会で『悪役令嬢コンテスト』を開催したいのですが、審査員長をお願いできますでしょうか?」


「話が飛躍しすぎよ、フェリシア」


しかし彼女はもう私の話を聞いておらず、次の企画について他の令嬢たちと相談を始めていた。


まあ、いいか。




悪役令嬢が世界を変えるなんて、前世のどの小説にも書かれていなかった。



けれど、この世界では、きっとそういう物語になっていくのだろう。


私がうっかり始めてしまった、悪役令嬢たちが誰よりも格好良く輝く、新しい物語が。


【終】


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