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第16話 しずく、主人公ぽくなる

シルバーラビットが光になって消えたあと、洞窟の空気がふっと揺れた。

ふたりの視界に、半透明のウィンドウが開く。


胸の奥に、あの感覚が走る。

体の芯から、じわっと熱が広がっていく。


「…あ」


小さく声が漏れた。


「来た」


レベルアップ。

ウィンドウが、次々に表示される。


【しずくレベルアップ Lv2→Lv3】


基礎ステータス上昇

(全ステータス平均的にアップ)


【固有スキル:ローグライク Lv2 → Lv3】


ロック枠増加:1→2


スキルカスタム開放


「…ロック枠2つ」


つまり、装備を二つ固定できる。

銀盾の横に、もう一つ残せる。


コメント欄も一気にざわつく。


『ロック枠2!』

『強い』

『装備残せるぞ!』

『ジャケットか?太刀か?』


さらにウィンドウが開く。


【スキル取得】


【守勢からの反撃】

ジャストガード、またはパリィ成功後、一定時間、攻撃力上昇(中)


【射撃修練】

機弩による弾丸ダメージ上昇


「…おお」


小さく声が出た。

今の戦いに、ぴったりのスキルだ。


銀盾で受けて、反撃。

そして機弩の火力も上がる。


ほのかも同時に声を上げた。


「あ、私も!」


彼女の前にもウィンドウが開いている。


【ほのかレベルアップ Lv2→Lv3】


基礎ステータス上昇


器用:大幅アップ

敏捷:大幅アップ

他ステータス:小アップ


【固有スキル:鷹の目 Lv2 → Lv3】


視力向上

器用補正向上


「やった!」


ほのかが嬉しそうに笑う。


「また当たる気がする!」


さらに、新しい表示。


【スキル取得】


【マーキング】

対象へ赤い紋様を刻む。

マーキングされた対象は、


被ダメージ上昇(小)

体勢を崩しやすくなる


ほのかが笑いながら、機弩をくるっと回す。


「うわ、これ絶対強い」


そして私を見る。


「しずくが盾で崩して」


今度は私の太刀を指差す。


「そこに私がマーキング」


さらに機弩を軽く上げる。


「締めで、チャージショット」


少しの沈黙。


「…ボス、死ぬよね?」


コメント欄が即答する。


『死ぬ』

『確殺コンボ』

『ボス泣く』

『崩してチャージショットは強い』


私は少しだけ笑った。

胸が少し軽い。


昨日までは一人だった、でも今日は違う。


「…うん、倒せる」


洞窟の奥は、まだ暗い。

でも、私たちは確実に強くなっていた。


そのとき、もう一つ別のウィンドウがゆっくり開く。

さっき表示された項目、その詳細だった。


【スキルカスタム】


他の型で付与されるスキルを、別の型でも使用可能にします。

現在使用可能枠:1

※ローグライクのレベルに応じて枠が増加します。


私は目を瞬かせた。


「…別の型」


つまりビルドが変わっても、スキルだけは持ち越せる。

ウィンドウが続く。


※注意

スキルは使用可能になりますが、ステータス補正は現在の型に依存します。


そのため、マジシャン型の魔法をガンナー型で使用した場合、

マジシャン型ほどの火力は発揮されません。


私は小さく呟いた。


「…別の型でも…使える」


機弩、太刀、魔法。


今まで、偶然みたいに全部使っていた。

でも、これで仕組みがはっきりした。


ほのかが横から覗き込む。


「どうした?」


私は説明ウィンドウを見せた。


「…え?それ…ヤバくない?」


私もそう思う、ヤバい。


例えば、アタッカー型で力と耐久を上げて、そこにマジックブロウを乗せる。

それって、完全に魔法戦士だ。

さらに、ガンナー型でマジックアローを使えたら…遠距離魔法+機弩。


ほのかが、にやっと笑う。


「それさ、全部乗せできるってことじゃん」


コメント欄が爆発する。


『理解した』

『万能型』

『主人公ビルド』

『全部盛りだ』


私はまだ少し信じられなかった。

自分が、そんな特別な存在。


でも、ウィンドウは静かに表示している。


ローグライク Lv3

スキルカスタム:解放


私は小さく呟く。


「…これ、強いかも」


ほのかが笑う。


「かも、じゃないよ、絶対強い」


私はもう一度、足元のドロップを見た。


ふわふわの、小さな尻尾。


【銀うさぎの尻尾】

器用アップ(小)

敏捷アップ(小)

運がよくなる


私はそれを、ほのかへ差し出した。


「…これ」


「ん?」


「ほのか、使って」


ほのかが一瞬きょとんとする。


「え、いいの?」


「…器用と敏捷」


それから、ほのかの軽機弩を見る。


「…ほのか向き」


ほのかは少し考えてから笑った。


「じゃあ、ありがたく」


尻尾を受け取り、腰のベルトに小さく結びつける。

その瞬間、補正が掛かったのか、彼女の目が少しだけ鋭くなった。


「おお」


ほのかが、軽機弩を構える。


「なんか視界クリアになった気がする」


コメント欄も納得している。


『ガンナー装備だな』

『最適解』

『ほのかに合ってる』


一方、私の前にはもう一つの銀色ジャケット。


【銀兎のジャケット】

軽量防具

魔法耐性(小)

運がよくなる


私はシステムウィンドウを開く。


【ロック装備】


①銀のバックラー


私は迷わず選択した。


②銀兎のジャケット


【ロック完了】

帰還後も装備は保持されます。


コメント欄がざわつく。


『残る装備きた』

『これはデカい』

『防具固定つよい』


私はジャケットを羽織った。


驚くほど軽い。

それなのに、体にぴたりと馴染む。


銀盾、銀兎ジャケット。

装備が、少しずつ揃っていく。


そして、もう一つ。

私はスキルカスタムのウィンドウを見る。


【スキルカスタム】

現在枠:1


選択可能スキル一覧の中から、私は迷わず選んだ。


【マジックブロウ】


【スキルカスタム設定完了】

マジックブロウを全ビルドで使用可能


私は太刀を抜きながら、ゆっくり振る。

その瞬間、刃にうっすらと魔力がまとわりついた。


ほのかが目を丸くする。


「…出た」


私は小さく言う。


「これで、魔力が乗る」


つまり、魔法斬撃。


コメント欄がまた盛り上がる。


『魔法剣士』

『強い』

『近接も遠距離もいける』

『主人公すぎる』


ほのかが笑った。


「いいね」


軽機弩を肩に担ぐ。


「前衛しずく」


指を立てる。


「遠距離、私」


少し間を置いてから、満足そうに言う。


「完璧じゃん」


私は少しだけ照れた。

でも、心の中は不思議と落ち着いていた。


昨日なら震えていた。

でも今は違う。


「…行こう」


ほのかが頷く。


洞窟の奥、一層の最深部。

ボス部屋へ。


推奨レベル3。


私たちは今、ちょうどそこに立っている。

通路を進んで行くと、巨大な石扉が見えてきた。


ほのかが小さく言う。


「…ここ」


私も頷く。


コメント欄がざわめく。


『ボス部屋』

『来た』

『一層の門』


扉の隙間から、低い唸り声が聞こえた。


ダンジョン一層、最奥。

私たちは顔を見合わせる。


そして、静かに石扉へ手をかけた。


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