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4月ー5 『2人の美少女』


朝、目覚ましの音で目が覚める。

現実世界の俺は目覚まし程度の音ではなかなか起きられなかったが、桃花はしっかり者だからか桃花の身体になった俺はすっと起きることができた。

桃花の朝はまずリビングに降りて桃花ママが作ってくれた朝ごはんを食べるところから始まる。

今日の朝ごはんはイチゴジャムを塗った食パンと目玉焼きだ。

桃花ママは料理上手でどれも絶品だ。

イチゴジャムも手作りらしい。

朝食を食べ終えたら着替えだ。

うさ耳のフード付きのパジャマを脱いで啓蟄高校の制服を着る。

昨夜、パジャマに着替える時に小さくも大きくもないちょうど良い膨らみや、初めての女の子の身体にドキドキしたが段々とそれも慣れてきた。

桃花が通う啓蟄高校の制服はスカートが青地のギンガムチェック柄のセーラー服だ。

胸元のリボンの色は学年ごとに違っていて桃花の学年の2年生は薄紫色だ。

現実世界の俺のままだったらリボンの付け方もろくに分からなかっただろう。

だがサッと着替えることができた。

着替えた後はヘアセットだ。

ブラシで髪の毛を梳かしてから櫛で髪の毛を大きく半分に分ける。

そして髪の毛をまとめながら目より少し高い位置まで持ち上げてリボンで束ねる。

今日は赤いリボンだ。

そして仕上げにヘアアイロンで髪の毛を巻いてクルクルツインテールの完成だ。

これも桃花の身体が覚えているおかげで自然にヘアスタイルを作ることができた。

女の子はヘアセットだけでもこんなにやることが多いなんて大変だ。


「気をつけて行ってくるのよ〜」


「はーい、行ってきます!」


家を出る時に桃花ママに挨拶をして学校に向かった。



- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


学校に着いてから授業中も休み時間も放課後も何度も遥斗に話しかけるチャンスを狙ったがなかなか話しかけるきっかけがない。

というか話しかけたところでどんな話をしたらいいか分からない。

無難なのは、今日はいい天気ですねとかか?

いやいや、いきなり天気の話なんて誰が楽しいんだ。

そうこうしている間に一日が終わってしまった。


次の日学校に来ると、両腕を2人の女子生徒に挟まれるように組まれている黒髪の男子生徒が登校してくるのが見えた。

その男子生徒は遥斗だった。

少し困ったような苦笑を浮かべている様に見えた。

そして遥斗を取り合う様に遥斗の左右にいる女子生徒は2人ともラブダイのヒロインである。

遥斗の左腕にしがみ付く様に歩いている紅葉栞(もみじ しおり)は黄緑色のスカーフをしている1年生で、オレンジ色の三つ編みにエメラルドの様な緑色の眼をしている。

とても小柄で病弱だが、裕福な家庭に生まれたお嬢様だ。

遥斗の右腕に寄り添うようにニコニコして歩いている葉月海音(はづき みおん)は黄色のスカーフをしている3年生で、金髪に赤と黄緑のメッシュカラーが入っているサイドテール、ミカンのようなオレンジの眼をしている。

彼女は子役からデビューした人気タレントで、学校一の有名人だ。


俺はまだ遥斗に話かれることすらできていないのに、なんだこの急展開。

そんな美少女2人に取り合われている遥斗が正直羨ましい。


今日もなんのアクションも起こせなかった。


とりあえず遥斗に気づいてもらおう。

こちらから話しかけずとも向こうから話しかけてもらえばいいのだ。

俺はとりあえず遥斗に近づくことを考えた。


ある日は食パンを咥え走りながら登校した。

またある日は遥斗が廊下を通りかかるのを見計らい音楽室で大きな声でラブソングを歌ってみた。

そしてまたある日は下校時に校門前で待ち伏せをし、下校する遥斗をガン見して見送った。


って俺は不審者か?!

そうこうしているうちに1ヶ月が経った。

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