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4月ー1 『さくらんぼの瞳』


「桜野どうした?」


思わず叫んでしまった為、先生に声をかけられるのはもちろん、クラスメイト全員の視線を集めてしまった。


「な、なんでもないです……。っ!?」


あれ?俺の声なんか女子の声じゃないか?

よく自分の服装を見たらスカートだし、意識し始めたらすごくスースーする…。

自分の手のはずの手もなんだか小さく感じる。

そして自分の視界に両サイドから見える桃色のものが自分の髪の毛であることに気づくのに時間はかからなかった。

もしかしてこれは……!


先生の話が終わると共に、新学期最初のホームルームが終わった。

俺はすぐさま鏡で確認したく教室を出た。

教室を出る時に他の生徒から一緒に帰ろうと声をかけられたがもちろん断った。

学校にある鏡と言ってもどこに行けば…。

やはりトイレか?

トイレと言ってもどっちに入れば…。

もう自分の視界から見える情報量だけで自分が女子であるということが確定している。

ならばやはり女子トイレか!

生まれて初めて入る女子トイレに今、勇気を持って一歩踏み出してみる。

女子トイレに入るとすぐ左側に洗面台と鏡が備え付けられていた。

鏡を見るとそこには─


「っ!桃花たん!?」


そこに写っていたのは、桃色のくるくるしたツインテールにまるで さくらんぼ のような赤い瞳の女の子。

ラブダイアリーの俺の推し、桜野桃花だった。

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