6月ー6 『本気で向き合いたい』
俺はまた月曜日の放課後に白雪さんといつもの空き教室で集会をしていた。
そこで海音先輩とユニットを組んでアイドルデビューすることになってしまったことを伝えた。
「良かったじゃない。
ユニットを組むということはそれだけ海音先輩に近づける時間が増えるってことだし、本番であなたがミスすれば確実に優勝は無理ね。
足を引っ張り放題ってわけね。」
「でも、海音先輩は本気で頑張っているんだ。
本気で頑張っているのだから、俺も彼女に本気で向き合いたい。」
「あなた、元の世界に帰りたくないのかしら?」
そんなの帰りたいに決まっている。
だが、探せば他の方法もあるはずだ。
「まぁいいわ。
そろそろ体育祭ですわね。
お互い麗華様と桃花たんの顔に泥を塗らないよう尽力しましょう。」
そう、6月後半は1学期最大の行事、体育祭がある。
1組が赤、2組が白となっている。
ラブダイの主要キャラクターで言うと、赤組に遥斗、桃花、渉、海音
白組に麗華、栞が属している。
シナリオでは海音先輩は全校リレーのアンカーだが、途中で転んでしまい赤組が負け、白組の優勝に終わるのはわかっている。
ここで俺と白雪さんに求められるのはいかに桃花と麗華らしい結果を作れるかだ。
桃花はあまり運動は得意でないので俺は手を抜き、逆に麗華は運動が得意で白雪さんは苦手らしいので毎日体力作りに励んでいるそうだ。
俺は下校して家に帰ってから、白雪さんが言った「海音先輩に近づける時間が増える」という言葉に少し納得してしまい、俺は改めて海音先輩に正式にアイドルになる了承のメールを送った。
これは海音先輩の足を引っ張るためではない。
確かに俺がユニットを組まなくても海音先輩はアイドルコンテスで優勝することができる。
むしろ俺がユニットを組むことで優勝の可能性を無くしてしまうかもしれない。
だけど俺はあんな悲しそうな顔をした彼女、海音先輩の力になりたいのだ。




