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6月ー5 『誰かの1番』


その後も遥斗と海音のデートは続いた。


ファミレスでお昼ご飯を食べたり、ショッピングモールでショッピングを楽しんだり、最近流行りのクレープを食べたり。

傍から見たら仲の良いカップルだ。

俺たちも人混みに紛れながらも2人を見失わないように同じところを辿っている。

白雪さんはわざわざ買わなくてもいいのにクレープを2つ買って目を輝かせて頬張っていた。


そして空もオレンジ色の夕焼けになる頃2人は改札に向かっていた。

海音先輩はまだ用事があるらしく改札で遥斗を見送っていた。

デートは終わったようだから俺たちも帰ろうとしていたら


「で、私になにかようなの?」


海音先輩に気づかれてしまった。


- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


ゆっくり話すために俺たちは駅の近くにあったカフェに移動した。


「その、勝手に隠れて2人について行ってしまって申し訳ありませんでした。」


俺は誠心誠意謝った。


「別にそれはいいんだよ。顔上げて。

そっちの子は柊さんだよね?

ちゃんとゆっくり話すのは初めてだね〜

私は葉月海音!よろしくね〜」


海音先輩は別に怒った様子ではなかった。


「隠れて付きまとっていたことは謝るわ。

でも私はあなたとはよろしくしない。

もう帰るわ。」


白雪さんは冷たく言い放ち、何も注文せずに帰ってしまった。


「あちゃー。柊さんは人見知りなのかな?」


「あれを人見知りで済ませられるなんて、葉月先輩は優しいですね。」


「もう私たちほとんど毎日図書室で話してる間柄なんだから海音でいいよ〜」


海音先輩は慣れた手つきでパネルメニューから2人分のドリンクとパフェを注文してくれていた。

俺はお言葉に甘えて心の中だけでなく、本人に対しても海音先輩と呼ぶことにした。


「海音先輩はいつから私と柊さんが見ていることに気づいていたんですか?」


「んーとね、集合場所ではるくんを見つけた時からかな〜」


「最初っからじゃないですか!」


「ふふっ。ラブラブなのを見せつけてやろうと思って〜」


これは一本取られた。

海音先輩は意外と策士だった。


「海音先輩は四季くんのことが好きなんですか?」


ここで俺は海音先輩の遥斗への好感度を確認しておこうと思う。


「うん、はるくんのことは好きだよ。

とっても大好き。」


「もし四季くんに告白とかされたら、やっぱり受けるんですか?」


「…。告白なんてされるはずないよ。

私はずっと誰かの1番になんてなれない…。」


いつも明るく前向きな海音先輩が急に弱気になってしまった。


ちょっと気まずい間が流れているところでカフェの店員さんが2人分のパフェとアイスティーを持ってきてくれた。


「ごめんね、なんか暗くなっちゃって。

私さ、何に対してもこれが人より優れてるみたいなのなくてさ〜

芸能もね、子どもの時は演技がすごく褒められてたんだけど、主役になるのはいつも他の子。

中学生から始めたモデルもいつも雑誌の投票で1位になれたことないんだよね…。」


パフェを食べながら海音先輩が話す。


これはゲームのシナリオでも同じだったが、海音先輩はどの分野でも1番になれないことを気にしている。

学年5位を取れるほど頭は良いが1位にはなれない。

芸能も特に優れたものがあるわけではないから女優でもモデルでもなく、全部をこなすマルチタレントをしているのだ。


「でもね、8月のアイドルコンテストのオファーを受けててね、そこで私は1位を取りたい!

優勝したらきっと自信を持ってはるくんと向き合えると思うから。」


「海音先輩ならできます!絶対になれます!

私、応援してます!

誰がなんと言おうと、私の1番は海音先輩です!」


海音先輩の真っ直ぐな瞳と言葉に俺は心を動かされてしまいった。

恋愛ではライバルだけれど、そんなことはどうでもいい。

俺は海音先輩を応援したい。


まぁ、俺が応援しなくともそのアイドルコンテストは遥斗のプロデュースと応援で海音先輩が優勝することはほとんど確定しているんだけどね。

あとは、遥斗の頑張と気持ち次第ってところか。


「こんなに私のこと思ってくれるなんて嬉しい!

そうだ。決めた!

良かったらさ、そのアイドルコンテストで私と一緒にユニット組んでよ!」


「もちろんです!海音先輩のためなら!

って、えーーー!!!」


なぜか俺、桜野桃花はアイドルデビューすることになってしまった。

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