6月ー4 『約束の日』
海音ルートに入り数日経ち、今日は日曜日。
遥斗と海音がプラネタリウムに行く約束の日だ。
都内の駅前に遥斗と海音先輩が集合するのを俺と白雪さんは2人に気づかれないように陰からこっそり待っていた。
私服のキャラクターたちを見るのはこの世界に来てから初めてだ。
俺(桃花)は白いTシャツに少しふわっとした白とピンクのギンガムチェックのキュロットスカートを着てきた。
制服で慣れてきたとは言え、スカートがまだ恥ずかしい俺は桃花の部屋にあった中で1番ズボンに近いものがキュロットスカートを選んだ。
髪のリボンは涼しげに水色を選んでみた。
白雪さん(麗華)は紫のシアージャケットの下に白いワンピースを着ていて大人っぽい。
黒い小ぶりなショルダーバッグを肩から掛けていた。
集合してすぐに俺がバッグを持っていないことに気づいた白雪さんに、女の子らしさを意識するならバッグを持つようにと指摘された。
外に出かける時は鍵と携帯と財布さえ持っていればいいと思っていたので現実世界でもあまりバッグを持ち歩く週間はなかった。
だが女の子はそれに加えてハンカチ、ティッシュ、コスメ、櫛は必需品らしい。
俺も白雪さんを見習って、完璧な桃花を目指すために次回からの参考にしようと思う。
俺たちが集合してから待つこと数分。
先に遥斗が集合場所に着くのが見えた。
遥斗は白いTシャツに黒いズボン、黒い帽子となんともシンプルで普通の格好だ。
そして数分後。
「ごめーん!お待たせ!待ったかな?」
「海音先輩!…っ!?
ぼ、僕も今来たところです!」
そこに現れたのは、大胆な格好をした海音先輩だった。
海音先輩はお腹がちらっと見える黒いタンクトップに、デニム生地の短パンを履いていた。
肩周りがスッキリしているせいか、シルエットがくっきりして胸元につい目がいってしまう。
普段サイドテールにまとめている髪は下ろして緩く巻き、デニム生地の帽子を被っていた。
帽子はオシャレでもあるが、有名人であるためファンの人に見つからないように顔が分かりずらくするためでもあるのだろう。
ゲームでどんな私服を着てくるかは知っていても、やはり現実として目の当たりにすると見惚れてしまう。
さすがモデルの仕事も担当している人気タレントのオシャレ度は桁外れだ。
そんな海音先輩を見て、さすがの遥斗も顔を赤くしていた。
海音先輩もやっぱり小ぶりなハンドバッグを持っている。
女の子はみんな小さなバッグを持っているようだ。
そして2人はプラネタリウムに向かって歩き出す。
プラネタリウムは60階建てのショッピングモールの中にあり、その最上階にある。
俺たちはバレないように2人が乗ったエレベーターの次に来たエレベーターに乗って最上階へ向かった。
プラネタリウムでは遥斗と海音先輩はプレミアムシートと呼ばれる二人で横になって星座を見られる席に横になり、楽しげに星座を眺めていた。
俺たちはその少し後ろの一般席で座って最初は星座よりも遥斗と海音先輩の2人の様子を気にかけていた。
段々と白雪さんは目的を忘れ星座に見入っていたようだ。
俺は変わらず2人のことを気にかけていたが、海音先輩の表情が時々曇ったように見えた。




