プロローグ『あなたを美少女ゲームの世界へ』
『私はずっとあなたの傍にいたいです。
この手を取ってくれますか?』
暗い部屋の中、ゲーム画面に映し出された桜色のツインテールの女の子が上目遣いで愛の告白をしている。
「っしゃ〜!やっと桃花たん攻略完了〜!」
俺の名前は藤原 翔。
俺はたった今、美少女ゲーム『ラブダイアリー』、略してラブダイのヒロインの一人、桜野桃花とのラブエンドを迎えたのだ。
桃花たんは俺の推しだが、推しの攻略は最後に食べるデザートのように、最後に攻略した方が達成感が強いと思い、最後に残しておいたのだ。
ラブダイアリーのヒロインは4人いる。
案の定、ヒロイン4人を攻略した俺は今達成感に満ちている。
ふと時計を見ると時刻はちょうど0時を指していた。
今日はラブダイアリーの続編、ラブダイアリー2の発売日だ。
朝一でお店でパッケージ版を買いたいため早く寝なくてはいけない。
その時─。
リーンゴーン♫リーンゴーン♫
『おめでとうございます。
ラブダイアリーを強く愛する上位3名様をゲーム世界へご招待させていただきます。』
急に教会にあるベルのような音が鳴ったと思ったらゲーム画面から激しい光とともに女性のアナウンスが聞こえてきた。
「はっ!?なんだこれー!?」
みるみる身体がゲームに吸い込まれていく。
そして気がついた時には─。
「……進学おめでとう。今日から2年A組の仲間としてみんなで頑張っていきましょう。」
目の前には黒板があり、教壇の前では恐らくクラスの担任であるだろう女性が長々と話をしていた。
周りを見るとクラスメイトであろう、学生服を着た男女が席につき各々先生の話を聞いていた。
そして俺も教室の窓際の一番後ろの席に座っていた。
「ここどこだよ〜?!これはなんなんだよ〜〜!!!」




