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02  欠片

 そうして、俺は感覚的には初めてとなるのだが、懐かしきとでも言っておこうしばらくぶりの我が家での生活が始まった。始まって約15分で何を言っているのやら……。ちなみに俺がこの15分の間に思い出したこと(誰かに聞いたことは除く)はヤンデレという現代でさえ知らない人がいるいろんな意味でやばい単語を覚えているということだ。この単語の意味が知りたい人は自分で勝手に調べてくれ、あまりお勧めしないがな。

 はたして、この一週間に何度この言葉を発しただろうか?

 俺は本当に何者なんだ……?

 

 で


 俺は今、鈴音に家の中を案内してもらっている。何度も言うようだが、記憶からしてみればこの家に来るのは初めてである。体は覚えているとはこのようなことを言うのだろうか、なんとなく、すぐにどこがどこだか覚えられ、説明途中にトイレに行きたくなった時、まだ説明されていない扉に手をかけそこがまさにトイレだった。偶然であるとも考えられるが、おそらくそれはない。俺は扉を開くとき、ここがそれであるという確信持っていたからだ。

 なぜ、と問われれば何ともいいがたい。

 ならば俺は何と言うべきか……。

 よし!!決まったぞ。はっきりと言わせてもらおう……

「なんとなく!!」と。

 しかし、鈴音はその微妙な変化というか、なんと申しましょうか……そんな様子に気づく様子はなかった。まぁ、前はそれが普通だったのだ。ある意味、当然というべきだろう。


 その後、俺らはリビングに戻り、ごく普通の一般家庭と同じであろうやんわりとした時を過ごした。とはいえ、記憶喪失であることに変わりはなく、それ関係の話題しか持ち合わせていないため、うまく会話をつなぐことができない。今のところ交わした会話は……。

「何か思い出した?」

「いいや、なんも。」

 ……だけである。

 それから、リビングにたどりついてから、この空間、この家には、沈黙が続いている。正直言っていいですか?つらいです。空気重いです。とってもとっても重いです。もう嫌でーす。

 

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