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部活動

作者: たな刀

 2013年11月3日、〇〇中学校の2年3組と4組の3限目は体育であった。二組合同での着替えの時間、4組の柔道部員であるそうたとバスケ部員のはやとが、3組の大城君に目を付けた。彼は特別支援学級の生徒ではなかったが、日ごろの挙動から、周りの生徒たちから笑われることが多い子であった。二人は遊び半分で大城君の着替えを邪魔して、体操服のズボンを上げさせないようにしていた。そして柔道部員のそうたが、もう一人の柔道部員であるナオキに声をかけた。そうたは重量級で、ナオキは軽量級である。

「ナオキ、Ipodで今のうちに動画撮って!」

「OK!」

そう言ってナオキは着替えの邪魔をしているところを動画に撮った。そして気が済んだのか、3人は何事もなかったようにそれらの行為を止めた。

 その日の放課後、そうたはナオキに落ち込んだ様子で声をかけた。

「今日の体育の着替えのときのこと、大城が生徒指導の先生にチクった。」

「まじ?」

「うん。さっきまでずっと怒られてた。橋爪先生にも絶対報告いってると思う。」

「うわぁ。」

「でも大城、ナオキの名前は出してないらしくて、俺とはやともナオキの名前は出さんかったで。」

「そうか、ありがとう。」

橋爪先生は柔道部の顧問の先生だ。予想通りその日、いつもより早く橋爪先生は道場に来た。

「そうた、ナオキ、ひろし。」橋爪先生は3人の名前を呼び、手招いた。ひろしは、6組の柔道部員である。

「先、稽古始めといて。」

『はい!』

橋爪先生は3人を、先生やOBの人が着替える部屋に呼んだ。その部屋にも畳が敷かれていて、奥にひろし、真ん中にそうた、ドア側にナオキの順番で正座した。橋爪先生はその前にパイプ椅子を置き、座った。

「さっき小山先生に聞いて俺びっくりしたんやけど、そうた。」そういって橋爪先生は腕を組んだ。そうたは黙って下を向いている。

「なんか、着替えの時間に、着替えてる子の邪魔して、なんや、ズボン下げたとかなんとかって聞いたんやけど、ほんまか?」

そうたはまだ黙って下を向いている。

「俺の手が出る前に応えてほしいんやけどな。」

そうたは下を向きながら「はい。やりました。」と答えた。

「あそう。そうかそうか。」と言った瞬間橋爪先生はそうたにとびかかり左右の頬を何発も叩いた。そうたが痛さのあまり手で顔を防ぐと、今度は腹を思い切り何発も蹴った。お腹を防ぐとまた何発も頬を叩いた。左右の二人はずっと下を向いたままだった。60秒くらい叩く蹴るを繰り返し、橋爪先生は椅子に戻った。

「これからお前らが中心になって、そうたがキャプテンで来年の夏まで頑張っていこかってときに!まさか貴様がこんなことするなんて思ってなかったわ!」橋爪先生は怒鳴った。そうたはぶるぶる震えて泣いている。ナオキもひろしも、心臓をバクバクさせている。

 3人は稽古に戻った。戻ってからもそうたはずっと泣いていた。ナオキは心の底からホッとした。しかし、自分だけが救われていない気がした。

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