8.千織は?
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その頃千織は白い空間を彷徨っていた。
とうとう死んでしまったのかな?先が見えないず、永遠に続く白い空間·····1人ぼっち······ぽたぽたと涙を流した。
すると目の前に顔がぼやけた人のような物が現れた。
突然「なにしてるの?」と聞かれた。
私は「泣いているの」と涙を流しながら答えた。すると「何故?」とすぐ聞き返された。
私はすぐに「死んでしまったから」と伝えた。
言葉に出して伝えるとより悲しくなった。朝出勤しようとしたら車にぶつかられ、大怪我をしたと思ったら異世界で売られていた。そして気付いたらこの空間へ···あまりにも短い人生で悲しかった。日本に戻れなかったとしても、新しい世界で生きてみたかった。だから泣いてしまった。
すると目の前からハハハと大きな笑い声が聞こえた。
あまりにも千織の話に笑うものだから千織はムスッとした。
「あぁごめんごめん笑ってしまった」泣き笑いで出た涙を指でサッと払い「お前は生きてるぞ」と話した。
「ふふぇ?」と千織は素っ頓狂な声を上げ、泣いていた涙が止まった。
目の前の者は突然腕を組み「俺は神だ」と堂々と名のり、今回の経緯を話し出した。
本来君は他の世界で『聖女や神子』という存在になり、その国の第一王子と結婚をする予定だった。
突然そのように言われた千織は?が頭にいっぱい浮かんだが、異世界へ来てから色々あり過ぎで何にも動じない鉄の心を持っていたため、『頷く』だけで会話を先に進めた。
しかし召喚が失敗してしまった···
本来君が召喚されるはずだったが、なぜか君を殺した者が召喚されてしまったのだ。
そして君は大怪我を追ったまま世界へ落ちてしまった。
私は慌てたよ。君を探し、怪我を治すために力を使ってしまった。
それによって今日まで君に会うことができなかった。
まさかその間に君が死体として販売されたのは予想外だった···面白かったよ〜?ハハハ
それの何処か面白いの?私は危なかったのに···神は笑いのツボが違うの?と千織は心のなかため息をついた。
まあもし君に何かあったら、、、ハハハハハ
「君は私の愛子だ」私の子どものような存在だから、君になにかあれば私は怒る。だから安心するといい。君の身はこれからは安全だ。
『ホントかよ?』と疑いの目を向けた。
君の身体は大怪我によって瀕死の状態だった。私はあの軽トラックの運転手に猛烈に殺意が芽生えた···だかまさか本人は酒を飲んでいたため覚えていなかった。 今は悠々自適に異世界で暮らしいいるよ。
今後どうなるか分からないがね。ハハハ
もう君の身体は大丈夫なはずだ。
身体の怪我は治せたが、心の怪我「精神」は治せない。また見た目は治っても身体は怪我を覚えている。そのため長い長い休息期間が必要で、あまりにも寝ていた時が長かった為『死しんでいる』と思われたのだろう。
もう君がこの世界に来てから2ヶ月は過ぎている。
今までの君の身体は、神の力で治したため食事や排泄排尿といった基本的な日常生活を必要としなかったが、
これから必要となる!摂らなければ死ぬから覚えておけ!
前世のように食事を疎かにするな!!!!
千織は突然怒られてショボンッとしょげた···
そんな会話を神としていた所にコツコツコツと誰かが近づいてきた。眩しい光に包まれていて顔が見えない。
その者が自称神に耳打ちをした。
あぁ〜?もうこんな時間かと呟き、あまりにも長くな話しすぎた。お前はもう大丈夫だよ。
下へ帰れ。この世界で末永く生きろ。
何かあったらいつでも教会へ訪ねてこい じゃあなぁと軽く手を振りながら言われたと思ったら急に眩しい光に包まれ、恐る恐る目を開けると大男とひょろ男が驚きに目を見開き、思いっきり抱き締められた。
するともう1人涙でグシャグシャになった謎の男に頭を抱え込まれた。
「ほふぇー」と声が出た。
千織は前後と頭頂部を3人に抱きしめられ、大混乱中であった。そして何故か湿ってきた気がする。
暫くそのままにしておくことした。
どれくらい時間が経っただろうか。
ひょろ男が抱きしめたまま前を向き「良かった」と涙を流しながら言った。
それに続くように背中では大男が背中に顔をつけながらグク持った声で「ありがとう」と言った。
はあー?何にありがとう??誰か状況を説明して下さい!!!と心のなかで盛大な溜息と共に思った。
「お前は俺の死体なのか?」と今度は頭の上で声がする。
すると『俺の死体』という声が聞こえた。
······待て待て待てと心でツッコんだ。誰だか分からなかった1人は死体愛好家だと気付いた。怖い。折角神からお墨付きをもらいこの世界に戻れたのに見つかった······殺される?また嫌だ·····
予想もしなかった出来事に突然涙が溢れ
「うわあああ〜ん」と泣き出した。
ドバドバドバと激しく涙が流れる。
3人は子供のように声を上げて泣くその声に驚き手を止め、今度は背中や頭をナデナデと目元はタオルで抑え泣き止むのを待った。
それでも泣き止まない。
すると千織が喋った。「わたじ···グスンッじぬの?」と······
間髪入れずに「死ぬわけ無い。俺が守る」と死体愛好家が叫んだ。
「ぅちょだ」と思わず嚙みながら言った。
「嘘じゃない。守るぞ。お前は俺の物だ。」と叫んだ。
千織は死体愛好家の物になるのが怖かった。死体にされたくない。死にたくないと思った。無言のままチラッと大男を見つめだと思うと素早く背中に隠れ袖をギュッと握った。
それに嫉妬したひょろ男も千織のところに行くと、千織はもう片方の手でひょろ男の手を指と指を絡めて恋人繋ぎをした。
絶対連れて行かれないように、離されないようにと袖同様にギュッ力を入れて握りしめた。
大男とひょろ男はその行動の可愛らしさに思わずニヤニヤと顔が蕩けて心の中で「可愛い、可愛い、可愛い愛してる」と叫んでいた。
そんな3人の行動が面白くなったものがいる。それが目の前にいる閣下だ。
イライライライラと全身で表現し、体が左右前後に揺れていた。
「何故その者たちの所に隠れたのだ?お前は俺が買ったのだ。俺の物だろう?」何とか怒りを沈め冷静に聞いた。
千織は「死体愛好家は怖い」とモソモソと小声で答えた。
それを聞いた閣下は目を見開き口をハクハクと動かし固まった。
大男とひょろ男は大爆笑である。
ハハハと笑いすぎ過呼吸になりかけるほどだった。ゼェーゼェーと2人が落ち着き、ひょろ男が千織に「アイツは死体愛好家なの?」と質問をした。
「うん。毎日死体に愛を叫んでた。」と真剣に答えた。
するとまた大爆笑に陥り、カオス化した。閣下は未だ復活せずハクハクと口を動かしているだけ、、、はたまた千織は真剣な表情で閣下の死体愛好家としての経歴を話し、それを聞いた2人が笑うという恐ろしい状態が出来上がった。
次第に落ち着きを戻した2人から閣下の名誉のために死体を買った理由から黒髪黒目がこの世でどんな存在か、また死体の少女へ一目惚れをした話などをしてくれた。
それでも信じられなかった千織だが、2人が説明している横で閣下の絶望た表情を見て少し雰囲気を和らげた。
その後閣下も交えて今後の話をすることになった。これからどうやって生きていくのか、生活は?などについて取り決めをした。
まず決まったのは「閣下の家で暮らすこと」だった。問答無用に安全のためだと押し切られた。
また売られたいのか?と言われ頷くしかなかった。
この世界の黒髪黒目伝説····どうにかしてほしい。きっと私みたいに間違って来ちゃったパターンの人がチートしたのかと思った。今度神様に聞いてみようと思った。
次に仕事の話になった時も全て駄目だと言われた。冒険者は「危険だ、野蛮だ」と冒険者の2人が即答し、偶々町中で発見した食事処は?と聞くと、それに対しても駄目だと言われた。
食堂の給仕は夜誘われることがあると·····うんうんそれは嫌だ。
「とりあえず俺達の心の平穏のために、しばらく休んで欲しい。」と3人がウルウルと目に涙を溜めながら言うので、グギュ〜ッと心が痛くなり「分かった」と頷くしかなかった。
それに神からこの世界に戻る時に「君を大切そうに世話をしているものが居る」と聞いたから素直に頷いたのだった。
きっとこの3人が私が寝ている間ずっとほぼ寝ずに看病してくれていたのかなと思った。(本当はストーカーのように見ていただけだが。)
そんな3人が私がいることで平穏になるならお安いもんでなと思った。。
それからあっという間にフードを被せられ、宿屋の前に止まった馬車に乗せられた。
途中女将さんに心配されたが「ありがとう、また来る」と言って別れた。
外に出ると夜中だった···逃げ出した日の夜のように星が輝き、紫色の月が2つ主張をしていた。
1つ違うのは歩くのではなく馬車に乗って向かっていることだ。それぞれが所有する馬は騎士団が連れて帰り、馬車の左右前後は物々しく警備されている。
馬車内では誰が膝に座らせるかで大揉めた。「私は1人で座る」と言っても「身体が心配、また倒れたら····」などをウルウル涙の3人の説得により、渋々頷いたが中々決まらず、結局最後に急遽馬車に乗り込んだレイブルの上に乗った。
「皆さんがモメてるからですよ?」とレイブルは言い、大事そうに城まで千織を膝に乗せたのである。
3人は城に着くまでレイブルを鬼の形相で睨んだが、本人は何のその〜という感じだった。
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