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6.ひょろ男視点

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ラピスル視点 (ひょろ男)


今日は討伐が早く終わった。

なぜか今回の討伐は従兄弟が参加しているらしく、魔物が少なかった。


あいつは何をやっているのだか・・・


この国は年に2回魔物討伐を大規模に行う。この街の近郊に魔物が溢れる場所があり、騎士団と共に冒険者も参加する。大物の魔物から小物の魔物までいるため、強い冒険者から弱い冒険者まで参加することができ、街は人が増えお祭り騒ぎである。



ゆっくりギルドに戻っていると、ギルドの入口の前にフードを被った小さい子供がいた。

チャイブ(大男)の声に驚き怯えてしまったが、俺が声をかけると可愛らしい声で返事を返してくれた。

思わず頭を撫でてしまった・・・俺らしくない。


ギルドに入り買取と査定をしてもらった。思いのほか高額取引されてよかった。ただ取引最中、さきほどの子供が気になってそれどころではなかった。


先程案内したカウンターで登録を行っているところだった。

周りも子供が気になるようで、子供の声や仕草1つ1つつに反応をしてギルド内が湧き上がっていた。


査定が終わりギルドを見回すと、いつの間にか子供は居なかった。ただギルド内では『フードの子供を見守る隊』という謎の組織が結成されていた。

まさかの見守る隊の隊長が『この国で1番胸毛が濃い男』と呼ばれるギルドマスターだったのは驚きだ。


思わず俺達も加入してしまった。


それから借りている宿へ向かったところ、先程の子供が床に座っていた。



宿の女将さんの様子からすると···部屋が確保できなかったのか?

するとチャイブが俺の肩をトントンと叩き「部屋を譲ってやろう」と言った。


まさかコイツが譲るとは驚きだ!!!


いつも1人じゃないと眠れないというコイツが···ふふ思わずクスクスと笑ったらチャイブにつねられたが、、、


その後子供に部屋を譲ると伝えると、「ありがとう」と笑顔で言われた。


あの笑顔は目に毒だ·····心臓が掴まれドクドク言っている。隣を見るとコイツまでやられたらしい。


ボソッと「カワイイ」と呟くコイツに珍しく激しく同意した。


それから階段をスキップしながら登っていく子供を見送って俺達も手続きを済ませた。

一応俺達は1ヶ月予約を取っている。 

魔物の討伐は騎士団は1週間だが俺達冒険者は関係がない。 ある程度狩ったら他のところに行く予定だ。


俺達も部屋へ入る。コイツと2人部屋かぁ···久しぶりすぎて何を話していいのか分からながったが案外話せた。


もうこれから2人部屋でいいのではないかと思ったほどだ。



それから夕食の時間になり食堂へ降りた。冒険者や商人で溢れかえっていた。

何とか席を確保し、2人でステーキを注文し運ばれてきたステーキとワインをガツガツと素早く食べた。部屋へ戻ろうとしたところ「ちょっといい??」

と女将さんから話しかけられた。 


「なにか?」と尋ねると、困ったような顔をして「貴方達が部屋を譲った子は知り合いかしら?食事に降りてこなくて心配なのよ。これからの時間は皆お酒が入るでしょ?あの子ちょっと心配なのよ」


ああそうだ。普段もこの宿は人で溢れているが、今は討伐のためいつも人が異常に多い。

そして商人の中には奴隷商も討伐に合わせて来ている者がいる。なぜなら奴隷を使って戦う者もいるからだ。胸糞悪い···自分で戦えないなら来るなよって思う。



そんな事を思っていたら隣のコイツがいち早く

「俺達が見てきますよ」と答えた。


「ありがとう」と女将さん言い、部屋番号を教えてくれた。


ちょっと簡単に部屋を教えすぎでは?と心配になったが、信頼されていると解釈し、部屋へと向かった。

部屋は案の定隣の部屋だった。


コンコンコンとノックをするが返事がない・・・

「部屋にいないのか?」とチャイブが呟く。


安い宿だと鍵を無理やりこじ開けられ物を取られることもある。


もう1度コンコンコンとノックをしたがやっぱり物音1つしない。

ここはしっかりした宿だが心配となり、一応ドアの取っ手を引くと開いた・・・鍵が閉められていない。もしや?何かあったかとかと慌てて2人で部屋に入ったところ・・・・・・!!!!!


あまりの衝撃で声が出なかった。 コイツも同じようで口を開いて固まっている。


そりゃそうだろう。

ベットの上にフードがズレた絶世の美少女が「くぅーくぅー」と寝息を立てながら寝てるなんて、誰が予想する???



しかも美少女で黒持ちなんて誘拐されるだろう・・・もしかしたら目も黒なのか??

笑顔は見たが目元をはっきり見ていなかった・・・


隣のコイツはまだ静止をしている。しかもヨダレがボタボタと垂れている···

「おい」と肘で叩くと口をパクパクで動かしながら指で美少女を指し「これ生き物?」と真面目に聞いてきた。


俺もそう思った。あまりにも美しい···


「あぁ生きてる。まさかの子供がこれとはな。チャイブは食事をもらってこい。何でもいいから女将に体調不良とか適当に行って持って来い。俺はここで見てる。」


「はぁお前が行ってこい。俺が見てるぞ。お前が見たら減ってしまうだろ。」


なに言ってんだ?こいつ!


「ふざけてないで言ってこい。もし起きた時お前が顔を覗いていたら怖いだろう?冒険者ギルドでのことを忘れたのか?」


ッチと大男が呟き、「わざとじゃないのに」とブツブツ呟きながら渋々取りに行った。


その隙に観察してみると、本当に綺麗だ···このフードを全て外して全部見たい。


生きてる黒はいないのではないか?

従兄弟が聞いたら喜びそうだ。そういや死体を購入したって言ってたな〜他国へ行く前に見せてもらおう。


ドンドンドンと物凄く煩い足音が聞こえてきた。

思ったより早いな?

ただドアはそーっと開けて部屋に入ってきたようだ。


うん?なんか食事が変じゃないか?


「女将さんに言ったら消化に良い物を出された。」


あぁ〜体調が悪いと言ったからか。


とりあえずドアを閉めて、改めてチャイブとこの子供を見る。


「この子は何歳だろうか・・・」とチャイブが呟いた。


確かに何歳なんだろう?12.13歳か?

親はこんな幼い子供を1人にして何をしてるんだ?


この世界は子供がなかなか生まれない。

なぜか解明されていないが、長生きする種族だからと言われている。

生きている間に子供を生める期間は生きてる内の1/10程度しかない。

そのため子供を何よりも大切にする。


特にこの国は孤児院に引き取られた子供はすぐに親が決まるほど子供を切実に欲しいと願っている。


中には冒険者になる子供も少なからずいるが、、、この子供は明らかにおかしい···



「全く起きないな〜」チャイブが人に興味を示すのは珍しい。



「あまりにも不用心で警戒心が無さすぎる。」


その時寝返りをうった弾みでベットから落ちそうになったところは慌てて2人で支えた。


あまりの柔らかさとこの子供から放たれるいい香りにバフッと顔が赤く染まった。

隣のチャイブは鼻血を出している、それに私にかかった。くっそーーまだこれ買ったばかりのシャツだぞ···ってそんな事を考えている余裕がなくなってきた。子供から放たれる危険な香りで身体がおかしなってきた。危険になる前に子供を起こすことにした。


「起こすぞ」とチャイブに伝えようとする前に、なぜかチャイブが子供を軽く揺さぶった。


「おい、起きろ」


うーんと身動ぎしながらふぅぁーーーと吐息をもらした。


思わずグホッ·······と子供の色っぽい吐息にさに身体中から熱が出る。


何だこの生き物は???危険すぎる。


わぁーーと欠伸をかいた子供が起きた。


「あれ?うん?寝ちゃってた。」と呟いた子供が何かの気配を感じて下を向くと「うわぁーーーー」と叫び、驚いた弾みでベットから落ちお尻をドンッ強打した。


「おおおおおい大丈夫か?」

と音に驚いた2人が復活し慌てて駆け寄る。



「うぅぎーーーイタイ」

あまりの痛さに千織は涙が目にたまりポタポタと止まらなくなった。

グズンッ······

お尻が痛い·····なんでグズンッ涙が止まらない。



男たちは泣いている千織に大慌てである。

オロオロオロオロといったり来たり、手を伸ばしたかと思うとしまい······勇気を振り絞って手を伸ばすと2人のタイミングが偶然に合いぶつかった。

お互い目を合わせッチと呟いた。


その間涙を手で拭いても拭いても止まらなず、、、今まで泣けなかった分が溢れてきた。


オロオロしていた男たちだったが

「大丈夫か?」とやっと声をかけ、

「そんなに擦ると目が腫れるぞ」と言ったチャイブが優しく背中を擦り、ラピスルは濡れタオルを貰いに行くのだった。


慎重に背中を擦る男はあまりの背中の小ささに心配になった。

大男は急に子供を持ち上げ、ベットに座らせた。

それに驚いた千織は泣き止んだ。


「ご飯を食べろ」とポソッと呟いた。持ち上げた時の軽さに驚き、思わず身体の心配よりも食べ物の話を言ってしまった。


キョトンと傾いた千織は、

うん???で頭がいっぱいなったが「はい」と呟いた。 


それからすぐにラピスルが戻ってきた。千織が泣き止んでるのを見ると、素早く駆け寄りびしょびしょのタオルを目に添えて「大丈夫か?」と声をかけた。


ポタッポタッとマントにタオルから水が落ちる・・・


フフフと思わず笑った千織が

「ご心配をおかけしました。」と伝えた。

千織はタオルを外し、お手洗いへタオルを絞りに行った。

それを後ろから眺めていた2人・・・

濡れタオルの隙間から目元が赤く染まる・・・見惚れてしまった。

読んでいただきありがとうございます!

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