お茶会当日
投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
お茶会当日。
薄紅色の可愛らしいドレスに身を包み、馬車へと乗り込む。
「リアナ。」
「なんでしょうか。」
「このドレス、本当に私に似合っているかしら?」
不安になって尋ねる。
逆行前では自分が美しいと信じて疑っていなかったのにである。
「ええ。似合っておりますよ。サテリアお嬢様はお可愛らしいですから。」
「ならよかったわ……。」
言いながらふと外を眺める。
そういえば、ここに来るのは初めてね……。
逆行前ではクリス殿下のことで頭がいっぱいで社交界やお茶会などにはクリス殿下が来ない限り、顔を出すことは決してなかったのだ。
こう考えると、久しぶりのお茶会ね……。
「お嬢様。つきました。」
物思いにふけっていると馬車は止まっていた。
従者の手を借りながら馬車を降りる。
すると、目の前から小麦色の髪に優しげなくすんだ白色の瞳をした少女が慌てた様子で屋敷の庭から走ってきた。
息を切らす少女は急いで来たのか髪は乱れ、額にはうっすらと汗が浮かんでいた。
「す…い、ません。こんな格好で…。」
途切れ途切れに伝える少女にサテリアは慌てて言う。
「息を整えてからでいいのよ。」
少女が息を落ち着けたのを見てサテリアは口を開く。
「ごめんなさいね。私が遅れてきてしまったから…。」
「いいえ!サテリア様。数分しかたっていませんし、ちょうど今他の方達も集まってきたのですよ。遅れてなんかいません。」
少女は驚いた様子で早口で答える。
「そういえば!」
と、少女はぽんと手を打つと
「ご挨拶が遅れました。レタリナ•カリンと申します。この度は私の開くお茶会に参加していただきありがとうございます。」
ペコリと頭を下げるレタリナ。
「サテリア•クアルズですわ。お茶会にご招待していただきありがとうございますわ。」
挨拶を終えると、レタリナがお茶会の会場である庭園へと案内してくれる。
「こちらです。」
綺麗な薔薇の花で飾られたアーチがあった。
その奥には白いティーテーブルが二つ並んでいてティーテーブルを囲うように令嬢達が座っていた。
「サテリア•クアルズと申します。」
ペコリと頭を下げて、挨拶をする。
その次にティーテーブルにいた令嬢達が挨拶をしていく。
挨拶を一通り終えると、レタリナが声を上げる。
「では、お茶会を開始いたします。」
レタリナの挨拶でお茶会が始まる。
私のいるテーブルにはレタリナがいた。
他には男爵家の令嬢や私と同じ公爵家の令嬢もいた。
初めに口を開いたのは男爵家の令嬢だった。
「みなさんは、最近見つけられた宝石をご存知ですか?」
「ええ!とても綺麗な青色だとか。」
男爵令嬢の質問に公爵家の令嬢が答える。
「私、その宝石を叔父様に貰ったのですがとても綺麗でして…。」
などと会話が続いていく。
サテリアは会話を聞きつつ、テーブルの上に置かれたお菓子を食べているとある会話が耳に入った。
「この前、ルアム王子殿下にお会いしましたの!」
「隣国の王子殿下ですか?」
「ええ!とても格好良くてね……」
ルアム王子殿下か…。
(確か私と同じ歳ではなかったかしら。ただ、縁があれば復讐に使えそうね…。)
失礼なことを考えながら話を聞いたサテリアだった。
お茶会の翌日。
「サテリア様。」
「リアナ…?」
目をこすりながら起き上がるとふと時計を見て首を傾げる。
「どうしたの?こんなに早くに」
時計はサテリアが起床する2時間前だった。
「公爵様が至急執務室に行くようにとのことです。」
「どうしたのかしら…。」
ドレスに着替え、お父様の執務室へ向かう。
すると、申し訳なさそうな顔をしたお父様が出迎えてくれた。
「すまない、至急の要件だったものでな。」
「どうしたのですか?」
私が聞くと、お父様は話し始めた。
来週行われる建国祭に隣国の王族が招待されたらしい。
祭りまで王宮で泊まる予定だったそうだが、馬車の車輪の故障で応急に向かうことができなくなった。
馬車が故障したのがこの近辺だったそうで急遽、この公爵邸に泊まることになったそうだ。
「それでは、ご挨拶に向かうためのドレスに着替えてきますね。このドレスは部屋着なので。」
「着替えが終わったら応接室に来るように。」
「わかりました。」
リアナに身だしなみを整えるのを手伝ってもらいながら考える。
(隣国の王族といったら、この前聞いたルアム王子殿下も来るのかしら…?)
ルアム王子殿下は第一王子なので、今回の建国祭には来ているだろう。
そして、今回の馬車の故障の件。
馬車が故障したとなれば3日は滞在するのだろう。
これを機にお近づきになることができるのでは?とサテリア考えていた。
復讐の相手はアマリアは平民なので置いておくとしてクリス殿下はこの国、ディア王国の王族だ。
対等、または上の立場でなくては復讐には使えない。
隣国の王子、しかもディア王国と並ぶほどの大国レイア王国の王族ともなれば立場は上だ。
(これは、恩を売っておくしかありませんわ!)
隣国の王子殿下に失礼なことを固く胸に誓うサテリアなのだった。
応接室のドアをノックする。
「サテリアです。」
名前を名乗ると中から入室の許可が来る。
「失礼します。」
ドアを開けて中に入ると広い応接室に配置されたソファにお父様とその前には王族の人たちが座っていた。
けれど、そこには二人しかいない。
思わず首を傾げてしまうと
「あぁ、ごめんなさいね。子供達は先に客室にいさせてもらったの。」
二人のうちの一人、王妃殿下が口を開いた。
「そうなんですか。あっ!すいません。申し遅れました。サテリア•クアルズです。以後お見知り置きを。」
ペコリと頭を下げる。
王妃殿下と国王陛下が立ち上がり、
「ライア•レイアです。」
「ルナ•レイアです。」
国王陛下、王妃殿下の順に挨拶をする。
挨拶が終わるとお父様が手招きをして
「こちらに座りなさい。」
と、自分の隣を指した。
お父様の隣に腰掛けると国王陛下が口を開いた。
「今回はここに泊まらせていただくことになり感謝します。」
「いえいえ。当然のことをしたまでです。」
「馬車を直すまでに3日間はかかるそうなので、滞在は3日間でお願いしたいのだが……。」
「承知いたしました。屋敷内でご不便がありましたらお呼びください。」
一通り話し終えた後、国王陛下と王妃殿下が去り際。
私の方を振り返って
「サテリア様。どうかうちの息子や娘と仲良くしていただけると嬉しいわ。」
「とても可愛らしく、礼儀作法がなっていますからうちの息子が気に入れば婚約者になっていただきたいですな!」
と、言ってくださった。
国王陛下と王妃殿下に優しい言葉をかけられて喜んでいると後ろから黒いオーラが見えた。
後ろを振り返ると国王陛下と王妃殿下を見送るために立ったお父様がにこりと黒い笑みを浮かべていた。
「お、お父様?」
「うちの娘が好む者がいるかすらわかりませんがな。」
と、失礼なことを言い出した。
サテリアは慌てて
「す、すいません!お父様、失礼なことは言わないでください!王子殿下達は眉目秀麗な方だと社交界でも噂になっていますし……。」
「あら、期待してるわね!」
うっかり言わなくてもいいことを漏らしてしまったのを耳ざとく聞きつけた王妃殿下がそう返してきた。
「は、はい。」
恥ずかしくなり顔を赤くしたサテリアはお父様が見送りをするために部屋を出ていってからもうずくまっていたのだった。