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憧れの診療所勤務!  作者: 赤坂秀一
第二章 真実
9/55

9 それぞれの検査

お待たせしました第9話を更新しました!


いよいよ、医療センターでの検査が始まります。

 私が晴翔(はると)君の件でえびす屋さんを訪れた時、麻子(あさこ)さんのそばに如月(きさらぎ)先生がいました。

飛鳥(あすか)先生、ちょっと待ってくださいね」

 そう言って麻子さんと如月先生は話を続けています。たぶん、また医師会の会合で使うのかな……

「飛鳥先生、お待たせしました」

 麻子さんが、私のそばへ来ました。

「それで今日はどうかしましたか?」

「あの、晴翔君の事なんですけど……」

「飛鳥さん、晴翔君をどうするの!」

 如月先生から訊かれてしまいました。

「あの…… 如月先生も晴翔君の事はご存知なんですね」

 私がそう言った時、先生は……

「うん、女将さんにちょっと聞いたのよ! でも、私は専門外だから……」

 そうですね、如月先生は確か専門は外科でしたよね。

「飛鳥先生、それで晴翔の治療の事なんですか」

「はい、一度川本医療(かわもといりょう)センターの方で診てもらおうと思ってます」

 私がそう言った時、麻子さんの表情がちょっと変わったような……

「でも、今は飛鳥先生に診てもらってますから……」

「そうなんですけど、ここの診療所では検査とかも出来ませんし、それに私は初めての症例なので、他の先生とも相談して治療を進めたいと思っています」

「入院するってこと?」

「いいえ、違います! 今回は検査が目的です」

 なんだか麻子は動揺してるようですけど……

「それで、医療センターにはいつ行くの?」

「はい、旅館や晴翔君の都合もあると思うのでその事で相談に来ました」

 すると麻子さんはペラペラと何かを見てます。

「それじゃ、来週の火曜日とかでも良い?」

 えっと、そんなに簡単で良いのかな……

「はい、医療センターに聞いてみます」

 私がそう言うと……

「今、聞けるかしら……」

 まあ、麻子さんの都合もあるでしょうからね…… 私は医療センターの長谷川(はせがわ)先生に電話をしました。

「長谷川先生、清川村診療所の今村(いまむら)です。お忙しい中すみません」

『いえ、大丈夫ですよ』

 そうやりとりをした後、私は晴翔君の来院の予定を話しました。

『ええ、別にそれで構いませんよ! 十一時くらいですよね』

「はい、それくらいになると思います」

『解りました。準備をして待ってますので』

「はい、よろしくお願いします。それと他にも検査をお願いしたいんですけど……」

『ええ、構いませんよ、詳しい事はメールをお願いします』

「はい、よろしくお願いします」

 これで予約が取れました。

「麻子さん、来週の火曜日に予約が取れましたのでよろしくお願いします」

「あの、飛鳥先生も一緒なんですよね」

 麻子さんはちょっと不安そうですね。

「はい、大丈夫ですよ! 一緒に行きますので」

 私も一緒に行って勉強しないとですね! それに入院している朝田大和(あさだやまと)さんの様子も気になりますから…… そうと決まったら徳間(とくま)先生に話をしておかないといけませんねシフトの件もありますので……


 その日の夕方、徳間先生が診療所の方へ来てくれました。

「飛鳥先生、徳間先生がお見えですけど」

 (しずく)が私を呼びに来ました。私は返事をした後、待合室の方へ行きました。

「今村先生、ちょっと早かったかな」

「あっ、いえ、診療所の方まで来て頂いてすみません」

「それで、いつ医療センターへ行くの?」

「はい、来週の火曜日に行ってきます」

「解りました。それじゃ、火曜日勤務の分を金曜日にお願い出来ますか?」

「はい、解りました」

 一応そういう事で話はつきましたけど……

「なんなら私が月曜と変わっても良かったけど……」

 慶子(けいこ)先輩にもそう言ってもらったんですけど……

「あの、それだと私の代わりに先輩が村立病院へ行く事になりますので診療所が休診になりますけど……」

 私がそう言うと先輩は、ハッとしたのか顔を赤らめて納得してくれたみたいです。まあ、清川(きよかわ)村には医師が三人しかいませんからね…… それに半年後慶子先輩が帰ってしまったらもっと大変です。やっぱり医師三人は欲しいところですよね……

「今村先生、この間頂いたレンドルミンをまた処方してもらえませんか?」

 そう言うのは徳間先生です。

「あの薬、どうですか?」

「うん、あれがあると良く眠れるんですよ!」

「そうですか、あの薬でよく眠れるなら良いですよ! それじゃ七回分処方しますね。あと、徳間先生も解るとは思いますけど連続して服用しないで下さいね」

「はい、それは解っています。いや、本当何年ぶりにあんなにゆっくり眠れたかな」

 しかし、その話を聞いた慶子先輩は……

「飛鳥、睡眠薬をそんなに出して良いの?」

 ちょっと心配してますけど……

「はい、あの薬はかなり弱いので大丈夫です」

 先輩はそれでもちょっと心配してます。でも徳間先生は弱いと聞いて安心しています。

「まあ、あの薬は副作用もほとんど無いですから大丈夫ですよ」

 そういう事で話も終わり、今日は雫と二人で夕食です。

「二人で夕食なんて久々ですよね」

「そうね…… ところで雫、髪はどれくらい伸びたの?」

「髪ですか……」

 雫はウイッグを外して見せてくれました。

「これくらいあればショートヘアでいけますよね」

 実際にはショートヘアをちょっと短くしたベリーショートのような感じです。

「ウイッグもそろそろ卒業しようと思うんですけど……」

「うん、でもその前に一年目検診をしないとね、もう一年以上経過してるでしょう」

「大丈夫ですよ! たぶん……」

「駄目よ! 今度の火曜日雫も医療センターに行くんだからね」

「でも……」

「でもじゃ無いの! もう検査の予約もしてるから、それに私の半年検査もしないといけないから」

「でも、私まで休んだら……」

「癌を甘く見ちゃ駄目! 再発しない保証はないんだから!」

「あっ、はい……」

 雫は納得してくれたようです。


 火曜日になりました。今日は川本医療センターへ行きます。九時くらいに診療所に集合と言ってましたけど…… 晴翔君はちゃんと来てくれるかな。そんな心配をしている時でした。診療所の前に青い車が止まりました。

「おはようございます」

「あっ、おはようございます」

「先生、今日はよろしくお願いします」

 そう挨拶されましたけど……

「えっと、麻子さんは?」

「あっ、すみません。どうしても外せない用が出来たみたいで、今日は私が行きますので」

 そう言うのは、たぶん麻子さんの妹さんの穂乃花(ほのか)さんだと思います。私は初対面なので……

「えっと、穂乃花さんですか?」

「はい、先生! 晴翔のことよろしくお願いします」

 そのあと、私達は穂乃花さんの車に乗り、慶子先輩と華純(かすみ)さんに見送られて川本市へ出発しました。

「ねえ穂乃花さん、上條(かみじょう)PAに寄ってね」

「はいはい」

 この澄み通った可愛い声は(りん)ちゃん?

「凛ちゃん、上條PAに何かあるの?」

 凛ちゃんになりすました晴翔君は……

「美味しいソフトクリームがあるの!」

 そう言いますけど……

「あっ、それは帰りにしてもらって良い!」

 穂乃花さんも凛ちゃんも不思議そうな顔をしています。

「今日は検査で採血をするから…… 朝ご飯は食べて無いよね!」

 私の問いに凛ちゃんは……

「私、出発の時に変わったから判らないよ!」

 えっと、それじゃ数値がまともに出ないんだけど……

「えっ、なに?…… あっ、食べて無いんだって! 今、晴翔に聞いた」

「あっ、良かった! それじゃ、検査が終わるまでは食べ物を食べないようにね」

「うん、大丈夫だよ! 晴翔以外はお腹が空いたという感覚は無いから」

 はあー、そうなんだ……

「なあ飛鳥ちゃん、お昼は食べても良いんだよな!」

 えっと、今度は(みなと)君かな……

「うん、とにかく検査が終わってからね」

「でも、飛鳥ちゃん達は朝ご飯食べてるからいいけど、俺達食べて無いからな」

「あっ、私も食べて無いよ!」

「そんな訳無いだろう」

「本当だよ、私も検査を受けないといけないから」

「えっ、検査ってなんだよ!」

「私も採血とMRIを受けるから」

「えっ、先生も病気なんですか?」

 運転中の穂乃花さんに訊かれました。

「えっと、はい、ちょっと……」

 まあ、詳しい事はまた今度ですね! そういう話をしながら車を走らせる事九十分、川本市街地に到着ですけど……

「あの、穂乃花さん場所は解りますか?」

 私が行こうと言っておいて、今ひとつ場所が判りません。

「先生、私はよくこっちに来てますから大丈夫ですよ」

 そう話をしていたら見えて来ました。『川本市医療センター蒼井会(あおいかい)』というのが正式名称のようです。私は長谷川先生から貰った名刺で確認したらそう書いてありました。間違いないようです。

「先生、正面玄関の方で良いんですか?」

 穂乃花さんにそう訊かれましたので……

「あっ、精神科医療センターの方へ、そこを左にお願いします」

 すると、別にセンターへの入口がありました。ここですか…… なんだかこの建物だけで迷いそうな大きい病院です。私達は車から降りて入口の方へ行くと、なんだか見覚えのある人が……

「今村先生、お待ちしていました。こちらへどうぞ!」

 長谷川先生が待っていてくれたみたいです。

「長谷川先生、今日はよろしくお願いします」

「はい、そろそろお見えになる頃だろうと思ってました。さあ、どうぞ」

 私達は医療センターの中へ案内されました。

「えっと、今村雫さんは?」

 中へ入ると看護師さんがそう言います。

「はい、私ですけど……」

「雫さんは腫瘍内科の方へお願いします」

「えーっ、私一人ですか!」

「雫、また後でね!」

 雫は看護師さんに連れられて行ってしまいました。

「それでは、星野(ほしの)さんと今村先生もまずはMRI検査からお願いします」

 まずは最初に晴翔君からですけど……

「晴翔君、どうしたの?」

「これ、大丈夫……」

「大丈夫よ、別に痛くもなんとも無いよ! ただ、機械の動く音がするだけよ」

 私がそう言いましたけど、なんだか不安な晴翔君です。

「それじゃ、私が先にやるから、その後だったら出来る?」

 ちょっと、晴翔君は考えているみたいですけど……

「…… はい、やります……」

 そういう事で、まずは私が先ですね! その後も採血をするのを拒んだりしましたが、なんとか検査に応じてくれました。その後、晴翔君の脳波検査を終えて、後は食事をしてからになりました。

「先生、これで終わりですか?」

 穂乃花さんもちょっと疲れたかな……

「あとは、内科検診と心理検査くらいです」

「それで、何が解るの?」

「晴翔君の病気が本当に解離性同一性障害なのか、ほかの病気ではないのかを調べているの! 検査の結果で治療方法も考えないといけないから」

 それを聞いて晴翔君は黙っていましたけど、嫌がってはいないかな……

晴翔君の検査があったので、私のGID検査と雫の一年目の癌検診を一緒にやりました。たぶん問題は無いと思いますけど、晴翔君にしても私達にしてもまずは検査をしておかないとですね……

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