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憧れの診療所勤務!  作者: 赤坂秀一
最終章 清川村を去った後
52/55

52 挨拶回り

お待たせしました第52話を更新しました!


上杉先生の胃内視鏡検査講習でしたけど、玲華が身体を張って協力してくれました。しかし、胃内視鏡検査は玲華も私も初心者だったので、お互いにキツかったです。

 今から検査室の隣の部屋を借りて玲華(れいか)の検査結果を説明しないといけません。

「玲華、大丈夫?」

 ベッドから起き上がる事は出来たものの、まだ身体は怠いみたいです。初めての胃内視鏡検査は結構キツいみたいです。私は経験が無いので解りませんけど……

「玲華ちゃん、取り敢えず写真を撮っているから順追って見て行くからね! まずここは玲華ちゃんの声帯だ。この下が食道の入口だ」

 上杉(うえすぎ)先生は、淡々と説明しますけど、玲華はどうかしたのか顔がちょっと赤いです。

「玲華、どうしたの?」

「うん…… 検査とは言え私の声帯をみんなに見られるのはちょっと恥ずかしいかな……」

 もう、先生がそんな事言っていたら検査なんて出来ないじゃない!

「えっと…… それで問題はここなんだけど」

 上杉先生はちょっと気まずそうに真っ白の食道の写真を見せます。

「なに、これ!」

「見ての通り、逆流性食道炎だ! 胃液が食道まで上がって来ているから食道内が荒れて真っ白になっているんだ。要は食道が火傷状態みたいになっている」

 玲華は、相当深刻な顔をしています。

「これって…… 食道癌とかじゃ無いですよね!」

 玲華は相当焦っているみたいですけど、あなたも医師なんだからそれくらい解るでしょ!

「まあ、今の所は大丈夫そうだけど、ほっとくと癌化する事もあるから薬は必要かな」

「薬ってP-CABですよね」

 はあ…… 上杉先生が全部説明しているので、私の出番は無いようです。

「うん、そうだね。それで、胃の噴門がちょっと緩いんだ」

「はあ…… それって下部食道括約筋が緩くなっているんですよね。あのゲップでそうかなと思いました」

「うん、玲華ちゃんの場合飲酒が原因だろうね」

「玲華はお酒が好きだからね…… それに食べた後にすぐに横になるのもよく無いんだよ! 大学生の頃から玲華はそうだったから……」

飛鳥(あすか)、もう解ったからそんなに言わないでよ!」

「でも、ほかに変な菌とかもいたりしてね!」

 私がちょっと悪戯っぽくそう言うと……

「ちょっと、ピロリ菌はいないんだよね!」

 心配症の玲華は私の話に引っ掛かりました。

「ハハハ、それは大丈夫だ! 一匹も確認出来なかった」

 上杉先生が笑顔でそう言います。

「あの…… ピロリ菌って白っぽくてウニウニ動いて、胃が痛くなったりするんですよね」

 (しずく)は、少し顔が青ざめているようですけど、痛い? かな……

「雫さん、それは多分アニサキスと勘違いしていないかな? 青魚に寄生していて、それを食べると腹痛が酷いからね」

「もう、びっくりさせないでよ! 私が言っているのはヘリコバクターピロリだから」

 まったく雫は、ピロリ菌とアニサキスを間違えるとは、看護師なんだからね! でも、上杉先生の説明がなかったら私も考えつかなかったかも……

「ハハハ……すみません」

 雫も恥ずかしそうに頭を下げています。でも、それを聞いた玲華も顔を青くして……

「飛鳥、本当にいなかったんだよね!」

「玲華、大丈夫だよ! 胃や十二指腸は綺麗だったから」

 それに写真だってあるんだから…… そういう事で、玲華の検査説明も終わりました。

「玲華ちゃん、P-CABの処方箋を書こうか!」

「あっ、いえ自分でやります。ありがとうございました」

 そう言って玲華は行ってしまいました。

「上杉先生ありがとうございました」

「うん、大腸の方はまた機会があれば一緒にやろう。

「はい」

 講習もこれで終わりましたので北総(きたそう)へ向かいましょう。


 私と雫が北総に着いたのは午後一時を回っていました。

「あれ、飛鳥先生?」

 受付のお姉さんです。

「あっ、有希(ゆき)ちゃん!」

「えっ、雫!」

「うん、久しぶりだね」

 雫はこのお姉さんとは仲が良かったようですね。

「また、戻って来るんですか?」

「ううん、城南中央(じょうなんちゅうおう)でクリニックをする事になったから」

「えっ、それって開業医ってことですよね! 凄い」

「あっ、違うの知り合いの先生から一緒にって誘われただけだから」

「そうなんですか?」

 そういう会話をした後、院長室へ行きます。

『コンコン』

「はい、どうぞ」

「失礼します」

 そう言って中へ入りました。

「やあ、お帰りなさい今村先生、雫さん」

「院長先生、いろいろとお世話になりました」

「うん、ジェンダークリニックをするんだって?」

「えっと…… 何故それを」

「うん、今津(いまづ)赤十字病院の案西(あんざい)先生から訊いたんですよ」

 鳥越(とりごえ)院長と案西先生も繋がりがあるんですね。

「はい、いつかはやってみたいと思っていましたので」

「そうですか、頑張ってくださいね」

「はい、ありがとうございます」

「雫さんも一緒なんですか」

「はい」

「もう、雫さんも一人前の看護師さんになりましたね」

「はい!」

 雫は嬉しそうに返事をしましたけど……

「それで、明日から勤務ですか?」

「いえ、まだ工事が終わっていないので勤務は来週くらいになりそうです」

「そうですか、まあ元気で頑張ってください」

「はい、ありがとうございます」

 私達はそう言って院長室をあとにしました。

 今度は外科の医局へ来ました。

「こんにちは!」

「あっ、飛鳥先生」

 最初に声を掛けて来たのは山田(やまだ)外科部長です。

「ご無沙汰しています」

「ジェンダークリニックをするんだって」

「はい」

「うちの院長が得意気に話していたよ」

「飛鳥!」

 あっ、慶子(けいこ)先輩も来ました。

「お帰り、飛鳥、雫」

「はい、只今戻りました」

「ジェンダークリニックは上杉先生のところでやるの?」

「はい」

「そうか、良かったね」

「はい」

「ところで雫は、一人前の看護師になれたかな」

「はい、もう一人前ですよ」

 ハハハ、まあそういう事にしておきましょう。

「飛鳥、以前緊急で行った北山(きたやま)ハイランドの事故覚えてる?」

「えっと…… スノボでコース以外の所を滑って崖から落ちた……」

 それがどうかしたのかな……

「あの、ドクターヘリで搬送されたんですよね!」

「うん、そうヘリで搬送された彼が、今リハビリ頑張っているんだって!」

「えっ、大丈夫だったんですか? 確か心停止で三十分くらい経ってたんですよね」

「うん、ハッキリとは判らなかったはずだけど、麻痺が少しは残っているみたいだけど、頑張ってリハビリと臨床検査技師の国家資格を取るために勉強してるんだって!」

「専門学校に行ってるの?」

「さあ、その辺は判らないけど」

 そうか、彼の生存は厳しかったと思っていましたけど、助かったんですね! 良かった。

今村(いまむら)、どうしたんだ!」

 内科の大河内(おおこうち)先生です。

「先生こそ、ここは外科ですよ!」

「ああ、俺は手術の件で来ただけだよ」

 そういうと大河内先生は山田外科部長と話を始めました。

「あっ、いたいた!」

 えっと……

河合(かわい)部長!」

「いや、いつまで経っても精神科の医局に来ないから様子を見に来たんだ」

「河合部長、お世話になりました」

「うん、本当はうちに残って欲しいんだけど仕方ないね! ジェンダークリニック頑張れよ!」

「はい」

 本当、最後にみなさんと逢えて良かった……

「飛鳥、ちょっとお茶しない?」

 慶子先輩からお茶に誘われるのは、なにか話があるんでしょうか?

「私は良いですけど……」

「飛鳥先生、私はナースステーションに顔を出して来ますね」

「うん」

 そう言って雫は行ってしまいました。本当は梨子(りこ)ちゃんに逢いに行ったんだと思います。

「飛鳥とも、またしばらくは逢えなくなるかもね……」

 なんだか淋しそうに慶子先輩が言いますけど……

「えっ、私は城南中央にいますからいつでも逢えますよ!」

 病院のレストランへ行きながらそう話しますけど……

「うん…… 私が橋本市(はしもとし)に行くから」

「えっ、北総辞めるんですか?」

「うん、橋本市で開業医をするの!」

 そう話をしながらコーヒーを注文して席に座ります。

「橋本市で開業ですか……」

「うん、正樹(まさき)君が新築を建てるって、それで自宅兼クリニックにして、正樹君が大学を辞めてからでも医療が出来るようにだって」

 それって上杉先生と美彩(みさ)先生みたいですね。

「それじゃ、ようやく桐生先生と一緒に住むんですね」

「えっ、今でも一緒に住んでるよ! 正樹君のマンションに、でも夜勤とかで帰れない時は北総に泊まるけど」

 という事は慶子先輩は橋本市から北総まで通っているの? でも、今はちゃんと夫婦をしているんですね!

「でも、橋本市なら城南市まで一時間くらいだし、いつでも逢えますよ」

「うーん…… お互い開業してるのに?」

「だって医院なんだから、一次救急でも無い訳だし、遅番も宿直も無いでしょう」

「まあ、そうだけどね」

「いつで辞めるんですか?」

「一応、今月いっぱいで……」

「飛鳥先生!」

 突然雫が私の事を呼びました。

「どうしたの、雫」

「先生、梨子ちゃんが北総を辞めるって!」

「えっ、梨子ちゃんが! 結婚でもするのかな」

 それを聞いて、慶子先輩は微笑みながら言いました。

「梨子はうちの医院に看護師として来るの、実家も一條市だからそんなに離れてないしね」

 そうか……

「飛鳥、お互いに頑張ろうね」

「はい」

 そう先輩と話をした後、私と雫は北総を出て城南市へ戻ります。

「雫、今津の方にも挨拶に行かないとだね」

「あっ、そうだ忘れてました」

「明日行ってみる」

「でも、明日から北条クリニックへ行かないと……」

 そう言えば美彩先生が言ってましたね……

「その件はあとで美彩先生に話すから、明日今津に行こう。雫のご両親のところに」

「あっ、はい……」

 清川村からこっちへ戻って、挨拶回りで忙しいです。

北総への挨拶が終わりましたけど、今津の方へまだ挨拶に行けてません。本格的にクリニックが始動する前に挨拶に行かないと……

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