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憧れの診療所勤務!  作者: 赤坂秀一
最終章 清川村を去った後
47/55

47 ジェンダークリニック

お待たせしました第47話を更新しました!


北条クリニックに来て、美彩先生から『お願いがあるの』と言われで疑問に思いました。私がお願いを聞いてもらうために来たんですけど……

 私は(しずく)の件で北条(ほうじょう)クリニックにやって来ました。

飛鳥(あすか)さん、何かあったの?」

 美彩(みさ)先生にそう言われ、私は張り詰めていた空気がパッと消え楽になりました。

「あの、美彩先生、今日はちょっとお願いがあって……」

「あら、奇遇ね! 私も飛鳥さんにお願いがあるんだけど」

 えっと、美彩先生が私にお願いとは……

「飛鳥さん、まだ診療中だから、奥の部屋で待っててもらって良いかな」

 はっ、そうですよね……

「はい、すみません!」

 そう言って私は、奥の部屋で待たせてもらう事にしました。ちょっと不安はありますけど、雫は看護師として多分雇ってもらえるとは思いますけど…… 私は取り敢えず、山脇(やまわき)先生に連絡をしましょう。先生出るかな?

『はい、山脇です』

「先生、ご無沙汰しています。今村(いまむら)ですけど……」

『あら、久しぶりね! 結局北総(きたそう)は辞めたの?』

「はい、三月までは勤務しないといけませんけど……」

『そう、慶子(けいこ)先生から連絡もらったときは驚いたわ!』

「えっと、色々ありましたので……」

『うん、知ってる。清川(きよかわ)村へ行ったのもそれが原因だよね』

「はい……」

『うん、取り敢えずセンター長には話してあるから、来れるときに連絡して! 多分面接があると思うから』

「はい、ありがとうございます」

 そこで電話は終わりました。はあ…… 取り敢えず少しはゆっくり出来ます。朝からちょっと不安と緊張でどうにかなりそうでしたから……

「美彩先生こんにちは!」

「あら、こんにちは」

 はあ…… 相変わらず患者さんが多いですね。

「奥の方に来てるわよ」

 えっ、奥って……

「いた、飛鳥!」

 患者さんと思われた女性は瑞稀でした。

瑞稀(みずき)…… どうしたの? 身体はもういいの?」

「えっ、何の話?」

「えっと、赤ちゃん……」

「もう、いつの話よ! 三月に生まれたわよ」

「あっ、そうなんだ…… おめでとう」

「うん、ありがとう」

「男の子?」

「ううん、女の子。だから隼人君がベタベタなの!」

「名前は?」

瑞穂(みずほ)! 隼人君が絶対可愛いって、それに私の字を一字使ってるからって!」

「そうか、瑞穂ちゃんか」

「それより飛鳥は大丈夫なの! 戻って来るんだよね」

「うん、そのつもりだけど、受け入れてくれる病院があればだけど……」

「病院はどこでも大丈夫でしょう」

「うん……」

玲華(れいか)北山(きたやま)大学にって、何か企んでいるみたいだけど……」

 うーん…… その話は慶子先輩にも聞いたけど、大学関連はね……

「私は大学関連は無理だって言ってるのに」

「まあ、飛鳥が選り好みしなければ良いんじゃない」

「だから、私は…… どうして玲華は解ってくれないのかな」

「まあ気持ちは解るけど、大学病院がみんな悪い訳じゃないでしょ!」

 まあ、そうですけど……

「やあ、飛鳥君来てたのか!」

 えっ!

上杉(うえすぎ)先生……」

案西(あんざい)先生から聞いたよ、DIDの患者さん、全て統合させたんだって!」

「えっと…… はい……」

「凄いね! 三人の人格を統合するなんてなかなか出来ないよ!」

「えっと、四年ちょっと掛かりましたけど……」

「うん、でも凄いよ!」

「でも、イマジナリーフレンドの子が協力してくれたので」

「そうか、飛鳥君は僕よりも凄い精神科医になりそうだね!」

「いえ、私はまだまだです」

「またまた、謙遜しちゃって、あっ、そう言えば玲華ちゃんから聞いたんだけどうちの大学病院へ来るんだって」

「えっ、大学……」

「いや、飛鳥君なら僕の代わりが勤まると思うよ!」

 えっ、上杉先生の代わり?

「あの、上杉先生は何処かにいかれるんですか? どうなっているんですか?」

「えっ、何も聞いてないのかい? 玲華ちゃんが、飛鳥君を北山(きたやま)大学へ呼んだって聞いたんだけど……」

「……」

 私は玲華から何も聞いて無いんですけどね。本当、何を企んでいるのか……

「ちょっと秀一(しゅういち)さん、それ本当なの?」

 上杉先生の話を聞いた美彩先生が慌てて話に加わって来ました。クリニックの方は良いのかな、患者さんとか……

「いや、僕は玲華ちゃんから……」

 流石の上杉先生も美彩先生にはタジタジですね。

「飛鳥さん私にお願いって、うちのクリニックで働きたいとかじゃないの?」

 えっと、今度は私ですか……

「あの…… 私は、雫を看護師としてここで雇ってもらえないかと……」

「うん、それは良いけど、飛鳥さんはどうするの?」

「私は、城南医療(じょうなんいりょう)センターへと思ってますけど……」

「飛鳥さんはそれで良いの? ジェンダークリニックは?」

 えっ、ジェンダークリニック……

「そうか、だから美彩はもう一つ診察室を作ったのか」

 上杉先生は何だか納得してますけど…… えっと、それってどういう事でしょうか……

「飛鳥君、ここのクリニックは三月いっぱいで移転するんだよ。建築中の建物が道の向かい側にあったでしょう」

「あっ、はい」

「私も大学を三月で退職して美彩と二人でクリニックをするつもりだったんだけど」

 あの建築中の建物が新しいクリニック? しかも、そこでジェンダークリニック!

「あの…… どうしてですか……」

 私のその問いに美彩先生は笑顔で答えました。

「うーん、私は飛鳥さんと一緒に仕事がしたいから…… かな」

「でも……」

「飛鳥君、城南市にも橋本市にもそうだけど、この辺にジェンダークリニックが存在してないのは知っているよね! だから、君がここでやってくれるなら、君と同じような悩みを抱えている人達がわざわざ遠くの病院へ行かなくても良い訳なんだよ」

「でも、私に出来るでしょうか……」

「出来るよ、飛鳥君なら! それに清川村でGIDの男の子を治療して手術までしたんでしょう」

 確かに治療はしました。手探り状態で、私が知っている先生達にも協力してもらって……

「でも、患者さんは少ないと思うんですけど……」

「その時は、私の手伝いをしてよ! そしたら患者さんの待ち時間も少なく出来るし、私も楽だから」

 すかさず美彩先生はそう言います。

「そうだね、飛鳥君は内科も小児科も出来るだろうから、でも、意外と噂が広まって近隣の市町村から沢山の患者さんが来るかもね」

 私はこの話を聞いて、とても嬉しく思いましたけど…… でも赤十字病院の案西先生や医療センターの山脇先生、それに玲華の件もどうしましょうか……

「上杉先生、美彩先生、この件はもう少し考えさせてください」

 折角、ここまで準備してもらっているのに私は…… やっぱり即答出来ません。私の事を考えていろいろと対応してくれてる先生達がいますので……

「うん、大事な事だし、まだ時間もあるからゆっくり考えると良いよ」

「飛鳥さん、私はいつまでも待ってるからゆっくり考えてね」

 まあ、考えるとは言いましたけど、私の中ではもうかなり心が揺らいでいます。でも、玲華が聞いたら怒るだろうな……

「飛鳥、良かったね! 美彩先生のところなら問題ないでしょう」

「うん…… でも玲華、怒るよね」

「大丈夫よ、私が言ってあげるから」

 えっ、瑞稀が言ってくれるって……

「ねえ、まさか玲華が来るの?」

「うん、六時くらいに……」

 そう言われ私は時計を見ましたけど、はあ…… 早く帰りたいです。その時でした……

「美彩先生、飛鳥来てる!」

 この声は玲華!

「玲華ちゃん、大学の方はもう終わったのかい?」

 こんな時でも上杉先生は冷静ですけど、私は早く消えたいです。

「はい、今日は早めにね!」

 はあ…… 来ちゃった。

「あっ、飛鳥久しぶり!」

「う、うん……」

「ちょっと玲華さん、飛鳥さんは渡さないからね!」

 へっ、美彩先生……

「ど、どうしたんですか、いきなり」

 美彩先生は厳しい表情で玲華を睨んでます。上杉先生はその横で頭を抱えているようですけど……

「飛鳥さんは、うちのクリニックでジェンダークリニックをするんだから」

「えっ、飛鳥、そうなの?」

「うん……」

 いや、まだはっきりと決めた訳じゃないけど……

「えっ、でも、大学の方で準備してたのに」

「大学は無理だって言ったじゃない」

「えーっ、もうどうするのよ」

「そんな事言われても、何も聞いてなかったから……」

 玲華の見切り発車です。でも、私のためにしてくれたのは解るけど……

「玲華ちゃん、上野教授には僕からも話してあげるから」

「うーん……」

 まったく、玲華はいつもこれだから…… まあ、今回は美彩先生も見切り発車だけど…… それで上杉先生がいつも迷惑してるような…… でも、上杉先生は笑顔です。ひょっとしてこの状況を楽しんでいる? でも、上杉先生のクリニックで美彩先生と一緒にお仕事出来たら楽しいでしょうね!

 この日は、久しぶりにこのメンバーで一緒に食事をしました。私には、こんなに心配してくれる仲間が沢山いて、私は幸せ者ですね!

私が、美彩先生のクリニックでジェンダークリニックをする!? とても嬉しいですけど、他にも私の事を気にして誘って頂いています。どうしましょうか…… でも、私は幸せ者です。みなさんに心配してもらって、もう感謝しかないですね!

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