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憧れの診療所勤務!  作者: 赤坂秀一
第五章 性別適合手術
38/55

38 認定と承認

お待たせしました第38話を更新しました!


高校受験も終わり四月から奏音ちゃんは女子高生になりますが、その前に夏休みの手術に向けて検査です。手術の前にGIDの認定が必要ですからね!

 花見が終わった二日後、奏音(かのん)ちゃんは剣岳南(つるぎだけみなみ)高校から呼び出しがあったそうです。まだ入学もしていないのに何か問題があったんでしょうか…… まあ、問題が無い訳では無いですけど、それは納得してもらっていますよね……

「こんにちは!」

 あっ、この声は葉月(はづき)さんですね……

飛鳥(あすか)先生……」

 慌てて華純(かすみ)さんが私のところへ来ました。

「どうしたんですか? 葉月さんですよね!」

「えっと……」

 華純さんはちょっと困った表情です。

「それが…… 葉月さんだけじゃないんです」

 華純さんの表情とその一言が気になった私は、待合室へ行ってみる事に、するとそこには葉月さん、川村(かわむら)さん、西條(さいじょう)君、そして奏音ちゃんの四人がいました。

「みんな揃ってどうしたの?」

「それが……」

 奏音ちゃんはちょっと不安気に元気がなさそうですけど……

「校長先生に話をして来たんです」

 まずは葉月さんです。

「でも、結構話の解る校長だったよな」

 西條君は悪びれる事もなくそう言いますけど……

「でも、あなた達は何も考えずに突っ走るから……」

「そう言う弥生(やよい)だって、教頭に食って掛かってたよな!」

「それは、あの教頭が煮え切らないから……」

 この三人は何をしでかしたのか……

「ちょっと待った! あなた達何をしたの?」

「えっと……」

 話を聞けば奏音ちゃんの対応をきちっとしてくれるように話をしに行ったらしいのですが……

「だって、こう言うのは最初にガツンと言っとかないと!」

 はあ…… 困った人達です。

「もう、ある程度の話は出来ていたのに……」

 私はそう言いましたけど……

「でも、校長先生も教頭先生も担任予定の森園(もりぞの)先生も奏音ちゃんが困らないように対応すると約束してくれましたよ!」

 葉月さんがそう言いましたけど…… まったく奏音ちゃんの事とは言えこの先輩達は……

「そういう事で私は呼び出されたんですけど、先輩達のお陰で全力で守ってもらえそうです……」

 奏音ちゃんはどことなく微妙な表情ですね! はあ…… 大丈夫なのかな……

この事件が終わり、春休みもそろそろ終わろうとしている四月五日、私と奏音ちゃんとそのお母さんは川本(かわもと)市の医療センターに来ています。彼女の検査及びGIDの認定を受けなければいけないからです。

長谷川(はせがわ)先生、今日はよろしくお願いします」

「はい、では五条(ごじょう)さんは身体的検査をしますので看護師と一緒に検査棟へお願いします。今村(いまむら)先生は検査の打ち合わせをしますのでこちらへお願いします」

 そういう事でお母さんと奏音ちゃんは看護師さんと一緒に検査棟の方へ行きました。私は診察室の隣の部屋へ長谷川先生と入ります。ここってカンファレンス室ですよね、プロジェクターのようなものもあるみたいですから……

「今村先生、こちらは臨床心理士の青山(あおやま)先生です」

 あっ! もう一人先生がいらっしゃったんですね……

「初めまして今村です」

「青山です。よろしくお願いします」

 青山先生はワンピースの上にドクターコートを羽織った女性の先生ですけど、何だか診療所での私みたいな人ですね…… ちなみに今日の私はというと、ボウタイの付いた白いブラウスにブルーのロングスカートとシルバーのパンプスです。ちょっと綺麗を意識しましたけど……

「今村先生、お噂は長谷川先生から聞いています」

 えっ、長谷川先生は何を話したんでしょうか……

「もう、青山先生その話は……」

「あは、すみません。そうでしたね!」

 そう言われると益々気になるんですけど……

「では、検査は五条さんがこちらへ戻って来てからカウンセリング方式で行います」

「今村先生、手術はいつ頃の予定ですか」

「手術は山岡(やまおか)大学病院で奏音ちゃんの高校の夏休みに予定しています」

「そうですか、それなら承認は少々お時間をもらっても大丈夫ですね」

「えっと、承認ですか?」

 私の時は確か認定だったと思いますけど…… あっ、でも今は精神科学会ではなくてGID学会のガイダンスによるものでしたね!

「ええ、承認がないと手術も治療も出来ませんので」

 長谷川先生からそう説明がありましたので話を合わせておきましょう。

「はい、そうでしたね! 夏休みまでに間に合えば……」

「ええ、それは大丈夫です。実は承認について、うちの病院も山岡大学病院にお願いするんですよ!」

「えっと、どういう事でしょうか?」

「うちの病院はGIDの認定医では無いんですよ! だからうちで承認は出来ないのでカウンセリングと検査結果を山岡大学病院へ送りますので、うちの病院でもGIDの患者さんは久々で私は初めての症例なもので色々と調べましたよ」

 なるほど、長谷川先生にも色々とお手数をお掛けしたようです。そう言えば、私の時もちょっと時間が掛かりましたけど、他の病院へ検査結果とかが行ったんでしょうか…… でも、それなら山岡大学病院で検査をした方が長谷川先生にもお手数をお掛けしなくてすんだかも知れませんね! でも、手術後のホルモン治療だけというのも何だか申し訳ないと思ったんですけど……

「そうでしたか、すみませんお手数をお掛けしました。私が城南(じょうなん)市へ戻った後は奏音ちゃんの事をお願いしないといけないと思ったので……」

「あっ、手術が終わったら城南市に戻られるんですね」

「はい、手術が終わって一年ちょっとは清川(きよかわ)村にいますけどね!」

「そうなんですね……」

 まあ、そんな話をしながら、その後も打ち合わせと休憩をした後に奏音ちゃんとお母さんが看護師さんと一緒に戻って来ました。

「あっ、お疲れ様でした。どうぞお掛けください」

 何だか奏音ちゃんもお母さんも緊張していますね。

「あっ、こちらは精神科医の長谷川先生と臨床心理士の青山先生です」

 私が五条さんに紹介しました。

「よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします。それでは精神的検査を始めます。まず五条さんが最初に性について違和感を感じたのはいつ頃ですか」

 まずは長谷川先生です。

「私は、違和感ではないんですけど、幼稚園の制服のスカートに惹かれたんです」

「スカートを履きたかったの?」

 私もちょっと気になりましたので訊きました。だってスカートが履きたかったなんて私と同じですもの……

「いえ、履きたかったというよりスカートが欲しかったんです」

「えっと、どういう事ですか?」

「私の通っていた幼稚園の制服は男女の違いとしてスカートか半ズボンなんです。それで私は半ズボンを履いていましたけどスカートも欲しかったので母にお願いしたら『拓君は男の子だからスカートはダメだよ!』って言われました」

 なるほど…… よく聞く話ですね!

「その事はお母さんは覚えていますか?」

「はい…… ただ、いきなり変な事を言うので何かのジョーダンだと思ってました」

「そうですか…… 奏音ちゃんは手術をする事は訊いてますけど、他には何か要望はありますか?」

「他にですか?」

 今言われてもなかなか判らないですよね……

「奏音ちゃん、例えば豊胸手術とかは?」

 私がそう訊いてみました。

「豊胸手術は後からでも良いかな…… 取り敢えず飛鳥(あすか)先生くらいになれれば……」

 いや、私はたまたまここまで成長しましたけど……

「あの、飛鳥先生というのは……」

 青山先生に訊かれました。先ほどは名字でしか言ってませんでしたね…… 私は小さく右手を挙げました。

「あの、私です……」

 ちょっと恥ずかしいそうに言いました。

「あっ、そうなんですね! でも……」

 青山先生は、私の胸をチラッと見て……

「うーん、今村先生くらいはちょっと無理かな」

 そう言われてしまいました。

「でも、飛鳥先生も私と同じGIDですよね!」

 いや、だから奏音ちゃん……

「今村先生もそうなんですか……?」

「あっ、はい……」

 なんだか話が変な方向へ行ってしまいました。その後も奏音ちゃんが中学生になった頃、つまり私に出逢った頃の話をしました。

「それじゃ、夏休みが終わった後は学校を休んでいたの?」

「はい、学校へ行っても楽しくなかったし、学生服は絶対に嫌でしたから……」

「その時に飛鳥先生に逢ったんですね!」

「はい、飛鳥先生に私の親と学校の先生に説得してもらってセーラー服を許してもらいました」

 何だか今更ながらに説明されると恥ずかしいですね……

「今村先生って凄いんですね!」

 青山先生そんな事ないですから……

「でも、飛鳥先生からクラスの生徒に私の事を説明してもらった後、私はクラスのみんなに奏音という通称名をプレゼントしてもらってとても嬉しかったんです」

「そうですか、あなたの友達は凄いですね!」

「はい、だから飛鳥先生とクラスの友達には感謝しています」

 奏音ちゃんはその頃の事を思い出して、ちょっと目頭が熱くなったみたいです。そこで、カウンセリングは終わりました。この後は、青山先生の心理テストです。

「それでは奏音ちゃん、この用紙に自然の絵を描いてください。山や海、小川の絵でも良いですよ!」

 そういう事で、奏音ちゃんは里山や小川の絵を描いているみたいです。これって、清川村の風景じゃ…… それにしても上手いです! 私とは大違いですね。

「それではこれで検査を終わります。今日はお疲れ様でした」

「ありがとうございました。飛鳥先生、私達はお先に帰りますので!」

「はい、お疲れ様でした」

 そして、二人は帰って行きました。私はまだ、奏音ちゃんの検査結果を三人で確認しないといけません。今回の場合、承認は山岡大学病院ですけど、それを申請するのは私と長谷川先生の二人の精神科医ですので! もちろん臨床心理士の青山先生の意見も踏まえてと言う事ですけどね……

「身体的にも問題はないですね」

「はい、染色体異常もありませんね!」

 長谷川先生と私は、奏音ちゃんの診断結果を見ています。

「それにしても、今村先生がGIDだったとは…… 豊胸手術もしたんですか?」

 青山先生、私の事はもういいですので……

「でも、今村先生は性別適合手術もしてないですよね……」

 長谷川先生まで…… やめましょうよ……

「えっ、そうなんですか!」

 だから、私の事は……

「あの…… 私は、手術はちょっと抵抗があったので……」

「でも、それにしては胸が大きいですよね! 羨ましい」

 また、私の胸をチラッと見ましたよね!

「これは、私にも判りませんけど、母も大きいので……」

「遺伝ということですか?」

「断定は出来ませんけど……」

 それに私の姉は青山先生と同じくらい小さいですからね!

 取り敢えず、検査の結果としては五条奏音ちゃんはGIDであるという事で山岡大学病院へ申請する事にしました。

 検査も終わり、私は医療センターの駐車場にいます。また、長谷川先生から夕食のお誘いがあると思ったんですけど…… 今日は忙しそうでしたね! と、そう思っている時でした。病院の夜間入口のとこから青山先生が出て来ました。先生は、もう上がりのようです。しかし、その背後から長谷川先生も出て来ました。長谷川先生も今日は終わりだったんでしょうか…… そう思った時です。二人は仲良く手を繋いで反対方向の駐車場へ歩いて行きました。ふーん、そういう事ですか! 長谷川先生良かったですね。

 その後、私は医療センターを出て、いつもの店でマカロンをお土産に買いました。華純さんも江下先生も、特に雫は大好きですからね! あっ、それと山岡大学の馬場(ばば)先生にも連絡をしておいた方が良いですよね、その方が今後も事がスムーズに行くでしょうから。

検査も無事に終わりました。あとは山岡大学病院で承認されれば予定通り手術です。このまま上手く行くと良いんですけどね……

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