33 友達の絆
お待たせしました第33話を更新しました!
前回、葉月さんの様子を見に行った飛鳥でしたが、川村さんが本当に何とかしたみたいでした。
用事はすぐ終わるだろうと思ってました。葉月さんの病室をちょっとだけ覗き見るだけのつもりでした。でも、意外と時間が掛かってしまいました。華純さん車の中で待ってますよね…… そう思い、私が彼女の車に戻った時には、華純さんはいませんでした。何処に行ったんだろう? 怒って何処かに行ったとか…… 取り敢えず電話してみましょう。私はスマホを取り出して電話しますけど…… コールが五回、六回目出ないかなと思った時でした。
『もしもし』
「あっ、華純さん、今何処に?」
『あっ、飛鳥先生、お腹が空いたので病院のレストランで先に食事してます』
なんだ、そうなんだ! 私はてっきり…… まあ、十二時過ぎてますからね!
「私も今からそっちに行くね!」
『はい、待ってますね』
そういう事で私は安心して駐車場から病院のレストランへ行くことにしました。でも、もう少し待っててくれれば病院じゃなくてお洒落なレストランで食事出来たのに…… レストランに到着すると華純さんが手を振ってます。
「先生お先です!」
華純さんはお昼からステーキを食べていました。
「かなり豪勢ね!」
「はい、村ではなかなか自分で作りませんからね」
確かに、こういうのはレストランで美味しく頂くのが一番です。後片付けも考えなくて済みますしね!
「私もステーキにしようかな」
「良いんじゃないですか」
まあ、華純さんはそう言うけど雫に悪いかな…… そう思って食券を買いに行きます。レストランと言ってもここは病院、街のレストランとは違いほとんどがセルフです。メニューを見ると焼肉定食もあります。うーんでも、カツ丼定食もありますね…… 悩むとこですけどね…… でも、私が選んだのはご飯とお味噌汁が付いている焼肉定食です。だってステーキはライスとコンソメスープだし、どんぶり物も良いけど、今日の私の気分ではないのです。やっぱりご飯にはお味噌汁でしょう。そういう事で食券を買ってカウンターに出してテーブルへ戻ると……
「飛鳥先生は何にしたんですか?」
華純さんは平然と訊いてきます。
「何だと思う」
「そうですね、多分定食ですよね!」
えっ、華純さんって何故解るの?
「華純さん見てました?」
「いえ、飛鳥先生は大体ご飯には味噌汁派ですから、それで定食だと思ったんですけど、違いました?」
やっぱり、華純さんは鋭いです。
「ううん、正解! 焼肉定食にしました」
「やっぱり」
そう言って、にこやかに微笑む華純さんです。
「あっ、飛鳥先生!」
「えっ、川村さん!」
「私達も今から食事なんですけどご一緒しても良いですか」
「うん、良いよ! 葉月さんは?」
「今、病室でお粥と格闘中です」
「そうか、今まであまり食べてなかったから軽めの食事なんだね」
「はい」
でも良かった! 少しずつでも食べてくれるようになったから…… その時、私の注文番号が呼ばれました。私が焼肉定食を持って席に戻ると……
「先生達って、お昼から豪勢なんですね!」
えっと、西條君っていったかなこの子は……
「そうじゃ無いのよ! 普段村では質素な物しか食べてないから、街に出るとその反動でね!」
「あの、こちらの方は何科の先生なんですか!」
「えっ、私先生に見える?」
洞察力や観察力は優れているのでそう見えても可笑しくは無いと思います。
「えっ、違うんですか?」
「違うよ! 私は看護師」
華純さんはそう訂正します。
「そうなんですね」
「でも、普通の看護師じゃなくて優秀な看護師ね!」
「ちょっとハードル上げないでくださいよ飛鳥先生!」
はい、ちょっと調子に乗っちゃいました。
「それにしても川村さん、ちょっと心配したんだからね、何とかしますなんて言うから」
「だって、私から見たらこの二人が別れるなんてありえないから」
「ぶっ、何言うんだよ!」
西條君はそう言うけど、側から見てたらそういう物なんだよね。
「まあ、もと通りに戻ったから良いけどさ」
「もう良いだろう、その話は」
この三人は仲が良いんだね! なんだか私と瑞稀と匠君みたいだね。
「それよりアジフライ定食食べようぜ!」
「そうね!」
あっ、これはこれで美味しそうなアジフライが二枚とキャベツの千切り…… あっちが良かったかな……
「あら、注文していたのね」
「えっ、はい」
「してなかったらもっと良い物ご馳走してあげたのに!」
「別に良いですよ」
えっと、華純さんは私にご馳走しろと……
「でも、残念ね!」
華純さん、ちょっと意地悪だよ、それ……
「いえ、それは良いんですけど、もし良ければ葉月が退院したあと飛鳥先生に診て頂きたいんですけど」
「えっ、私!」
「はい」
「でも、医療センターで診てくれるんじゃないの?」
「でも、南川上町から通院するなら川本市より清川村の診療所の方が近いですよ!」
「でも、葉月さんは私じゃ嫌なんじゃ無いかな」
「飛鳥先生、良いじゃないですか、診てあげれば、葉月さん喜んでくれると思いますよ」
華純さんのこの優しげな視線はどういう事でしょうか…… しかしそうなると、長谷川先生にも一言話した方が…… でも、まあ良いか!
「葉月さんが良いのなら良いわよ」
「はい、お願いします」
そういう事で食事も終わり私と華純さんは医療センターを出ました。
「それじゃ、今度は華純さんの番ですね」
「あっ、そうですね、でも先生もしますよね! ショッピング」
「うん、まあね……」
そう話しながら私達は、繁華街の方へやって来ました。ここでは地下駐車場に車を停めて歩いてショッピングモールへ入って行きます。わあ、もう夏物のセールをやってますね!
「飛鳥先生、水着がありますよ!」
えっ、水着! しかもビキニの…… それに結構なハイレグですよね…… いや、無理無理無理無理…… 絶対に無理です。
「か、華純さん、どっちにしても海にもプールにも行けないから……」
私は、顔を真っ赤にしながら、首を横に振りながら言いました。
「飛鳥先生…… だだ、ありますよって言いたかっただけなんですけど……」
ハハハ…… 華純さん、あまり揶揄わないでくださいね…… あっ、こっちには靴もありますね。
「華純さん、私はこっちにいますから」
「先生はパンプスでも買うんですか?」
彼女はそう言いながらブラウスとショートパンツを手に持っています。
「ううん、診療所で使う上靴をね」
「でも、お洒落なメディカルシューズを持ってるじゃないですか!」
「うーん、そうなんだけど…… あれって、脱いだり履いたりするのが面倒だからミュールでも良いかなって」
「えっ、診療所内でミュールを履くんですか……」
「だって、別に走り回ったりしないし……」
「まあ、先生が良いなら私は別に……」
華純さん、そんな目で見なくても…… そういう事で私はミュールを二足とパンプスも買っちゃいました。
「先生、何足買ったんですか?」
「えっと、ミュールが二足とパンプスが一足ですけど……」
「そんなに……」
えっと、そんなに多いですか……
「でも、一足は雫にお土産だから!」
「そうですか……」
私って、ちょっとズレてますか……
「華純さんは何を買ったの?」
「えっ、私はTシャツとショートパンツとサマーニットですけど……」
華純さんも結構買ったんですね! そのあと私達はお土産のスイーツを買います。
「マカロンで良いよね!」
私がそう言いますけど……
「飛鳥先生、あれ!」
華純さんの指差す先には、美味しそうなカスタードプリンがあります。
「華純さん、あの生クリームが乗ってるの良いですね」
私と華純さんはほかにもチョコやマカロンなど美味しそうなスイーツがある中、生クリームの乗ったカスタードプリンをお土産に買って帰りました。
私達が診療所に着いたのは夕方の四時くらいでした。
「あっ、飛鳥先生お帰りなさい! 奏音ちゃんが来てますよ」
えっ、何かあったのかな?
「奏音ちゃん、どうしたの?」
私がそう訊くと……
「飛鳥先生、食塩水の濃度ってどうやって出すの?」
いきなり訊かれてしまいました。しかも数学……
「それは……」
昔、私もやってたな…… 食塩水の濃度が判らなくて美彩先生に無理やり飲まされた事があったよね、もちろん夢の中で…… 大体飲めば濃度が判るって可笑しいでしょう。
「えっとね、教科書に公式が載ってるはずだから…… ほら、あった!」
私は、食塩水の重さ、食塩の重さ、水の重さの関係を公式に入れて奏音ちゃんに計算させました。
「何だ! 結構簡単なんですね」
奏音ちゃんの最初の一言がそれでした。
「まったく、教科書にちゃんと載ってるじゃん!」
「そうですけど…… 訊いた方が安心感があるじゃないですか!」
はあ…… 樹君がいなくなったから、私にずっと訊いて来るのかな……
「先生、奏音ちゃんコーヒーを淹れたからどうぞ!」
雫がコーヒーとクッキーを持って来ました。流石にお土産のプリンは出さないよね…… まあ、それにしても葉月さんの様子が少しずつ良い方向に傾いているので良かったと思います。しかし、退院後は本当に診療所に来るのかな……
葉月さんは少しずつですけど、食事もしてるようです。しかし、川村さんが言っていた退院後の事は大丈夫なんでしょうか?




