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憧れの診療所勤務!  作者: 赤坂秀一
第四章 二人の受験
29/55

29 大学入学共通テスト

お待たせしました第29話を更新しました!


えびす屋さんの温泉を堪能した。飛鳥たちの前に、またもや如月先生が現れました。玲華はロビーの外へ連れて行かれますけど……

 私達が温泉を堪能してロビーへ戻った時、如月(きさらぎ)先生がいらっしゃいました。

「どうしてお母様が……」

玲華(れいか)、ちょっと良いかしら」

 玲華、ちょっと戸惑っているかな……

「はい……」

 玲華は如月先生とロビーの外へ出て行きますけど……

飛鳥(あすか)さんも一緒に来て!」

「えっ、私もですか……」

 如月先生はどういうつもりでしょうか。

「お母様、飛鳥は関係無いでしょ!」

 如月先生は無言のままちょっと表情が硬いです。私は言われるまま先生の側まで行くと……

「玲華、もう一度訊きます。あなたは如月総合病院へは戻らないのね」

「はい、戻りません! 病院を継ぐつもりもありません」

 あーあ、はっきり言っちゃった! 大丈夫かな…… 如月先生の逆鱗に触れなきゃ良いけど……

「ふーっ……」

 如月先生は一つ溜息を吐いて言いました。

「解りました。玲華、あなたは自由に生きなさい。それが、あなたにとって幸せなら……」

「お、お母様…… 認めてくれるの?」

「ええ、真司(しんじ)君にもよろしく言っておいてね、あなた達の事も認めます」

「でも、お父様もお兄様も私と真司の事は……」

「ええ、そんなにムキにならなくてもって、あの人にもみんなにも言われたわ! 結局、私ひとりが突っ走っていたのね……」

 如月先生はやっと玲華を許してくれました。

「飛鳥さん、あなたに言われてずっと考えていましたけど…… 玲華の人生を私が決める訳にはいかないと思いました。教えてくれてありがとう」

 如月先生は私の方へ向き直り、そう言ってくれました。

「いえ、私も生意気な事を言ってすみませんでした」

 すると如月先生はちょっと微笑んでから……

「良いのよ、これからも玲華の事よろしくね!」

「はい」

 そう言うと、如月先生はえびす屋さんの中へ入って行きました。

「飛鳥先生!」

「玲華先生!」

 (しずく)華純(かすみ)さんが心配そうに私達の側に来ました。

「大丈夫だったんですか?」

「うん、全然問題ないよ」

 それを聞いて二人は安心したみたいです。

「あの、さっきの先生とはお知り合いなんですか?」

 江下(えした)さんもそう言いながら私達の側へ来ました。

「知り合いもなにも、あの人は私の母よ!」

「えっ! あの方は如月総合病院の理事長ですよね」

「ええ、そうよ! 知ってるの」

「知ってますよ! でも、甲斐(かい)先生はどうして如月総合病院へ行かないんですか? それに何故名字が違うんですか?」

 江下さんは玲華に興味を持ったみたいですけど……

「さあ、帰ろうか! 明日も仕事があるからさ」

「えーっ、甲斐先生、教えて下さいよ」

「江下さん、明日私が教えてあげるから!」

「ちょっと、飛鳥!」

「良いじゃない、別に問題無いでしょう」

「人の過去を知らない人に言いふらす事はやめてよ!」

 何だかんだ言って玲華も解ってはいるのね。

 翌日から江下さんと栗山(くりやま)君の態度が、急に変わりました。あの二人も如月先生の事は知っているようです。その先生が、玲華はともかく私にも気軽に声を掛けてくれる事から二人は私の事を勘違いしているようです。


 二人が村にもなれた頃、玲華が大学へ戻る日が来ました。

「甲斐先生、本当に帰っちゃうんですか!」

「帰るに決まっているでしょう」

 何だか栗山君は淋しそうです。

「栗山、玲華先生に惚れたの?」

「えっ、江下! そんな訳ないだろう。甲斐先生にはご主人がいるんだから」

 玲華は栗山君にどう接していたのかな……

「あの、ちょっと良いかな……」

 声を掛けて来たのは徳間先生です。いらっしゃったんですね。

「明日から江下先生と栗山先生は交代で村立病院の担当をお願いします」

 徳間先生からそういう指示が出ました。

「解らない事はお互いに話をして、それでも解らない時は私や今村先生に訊いてください」

「はい、それは良いですけど、今村先生は村立病院へは行かないんですか?」

 栗山君がそう言います。私にも村立病院へ行けって事かな……

「別に行っても良いけど、私を頼って来る患者さんをあなた達が診る事が出来ればね!」

「僕だって医師ですよ! 患者さんを診るのは仕事です」

 言ったわね、栗山!

「栗山、飛鳥先生は精神的疾患の患者さんも診てるの!」

 あっ、江下さんに先に言われた……

「あっ、それは僕には無理です。専門外なので…… すみません……」

 ハハハ、なんだか栗山君は急に黙り込んでしまいました。でも、ここでは専門外の患者さんもある程度は診てもらわないと…… それにしても、いつもはおっとりしている江下さんですけど、栗山君には厳しいみたいです。この後、私達はえびす屋さんで玲華の送別会と新人二人の歓迎会をしました。もちろんアルコール抜きで…… だって急患があると大変ですからね! まあ私はどっちにしても飲めませんけど……


 玲華が大学に戻り新しい年を迎えました。いよいよ大学入学共通テストが始まります。そのため、晴翔(はると)君…… いや、(いつき)君は川本市へ早速前泊していますけど…… 晴翔君は、金、土と泊りになる訳で、他のみんなが邪魔しないと良いんですけどね! 特に(みなと)……

「飛鳥先生……」

 奏音(かのん)ちゃんが診療所の前にいました。

「どうしたの?」

「晴翔君、大丈夫かな……」

 奏音ちゃんは晴翔君の事が心配なんだね、まあ試験を受けるのは樹君なんだけど……

「先生、大丈夫だよね!」

「うん、大丈夫だよ!」

「でも入試に失敗したら晴翔君は川本市には行かないんだよね」

 また例えが不吉だな……

「うん、そうだね……」

 私は苦笑いですけど…… 奏音ちゃんはちょっと元気が無いようです。どうしちゃったのかな……

「飛鳥先生、私、剣岳南(つるぎだけみなみ)高校を受験します」

「えっ! 川本市の高校は受けないの?」

「えっと、私立は川本東(かわもとひがし)高校を受験しますけど、県立は剣岳南高校を受験します。ここだったら清川(きよかわ)村から通えるから」

 まあ、そうですね…… 今通っている中学校よりほんのちょっと遠いくらいですよね。

「晴翔君も大学不合格だったら清川村にいるよね!」

 まあ、そうなるのかな……

「だって、清川村役場に内定もらってますよね!」

「えっ、なにそれ?」

 私は初耳ですけど……

「先生は知らなかったんですか?」

「うん、何も聞いてないよ!」

「晴翔君一次試験合格した後、二次試験は清川村役場を受験して合格したんです」

「えっ、そうなの!」

 それなら別に大学に拘らなくても、役場勤めで良いんじゃないのかな……

「晴翔君はバスで川本市まで行ったの」

「ううん、晴翔君のお母さんが車で剣岳インターまで送ったみたい。高速バスで川本市まで行くって言ってたから」

「そうなんだ…… 穂乃花(ほのか)さんが送ってくれたんだ」

 でも、それなら川本市まで送れば良かったのに…… まあ、大丈夫とは思うけど晴翔君の事は気になりますね……


 週末は、何だか晴翔君の事で頭がいっぱいです。試験は上手くいっているのか、何か困った事は起きてないか…… 心配です。

「飛鳥先生、今日で試験は終わりですよね」

 ここのところ、奏音ちゃんは毎日診療所へ来ています。ただ、今日は日曜日だから休診日なんですけど……

「まあ、夕方には帰ってくるわよ」

 そう言ったものの、私もかなり心配です。まあ、共通テストで合格とかが決まる訳では無いですけど…… でも、A判定がもらえればもちろん良いですけど、川本産業大学はB判定でもいけるでしょう。

 そして、夕暮れ時になりました。

「あっ、やっぱりいた!」

 晴翔君が川本市から帰って来ました。

「晴翔君おかえり!」

 奏音ちゃんが晴翔君の側へ駆け寄ります。

「ただいま」

 奏音ちゃんも晴翔君もとても良い笑顔です。

「晴翔君はバスで帰って来たの?」

 私がそう訊くと……

「はい、母は旅館が忙しいから迎えには来れないからという事でした」

「そうか……」

「それで、それで試験はどうだったの?」

 奏音ちゃんが一番気になっているみたいですけど……

「多分、大丈夫だよ!」

 そう言って晴翔君は奏音ちゃんの頭に手を乗せて髪の毛をクシャとします。奏音ちゃんはなんとなく恥ずかしいのか顔が真っ赤です。

「奏音ちゃん帰ろう!」

「うん……」

 二人はなんとなく良い雰囲気ですけど…… 奏音ちゃんと晴翔君、あの二人っていくつ年が離れているんだっけ?

「ねえ晴翔君、樹君は大丈夫?」

「はい、ただ試験が終わった後は疲れたから変わってくれって」

「それじゃ、川本市からはずっと晴翔君のまま帰って来たの?」

「はい」

 彼がそう返事をした時、奏音ちゃんが彼の手を引っ張ります。よっぽど早く帰りたいみたいです。

「飛鳥先生、また明日報告に来ます」

 そう言って二人は手を繋いで帰って行きました。

「飛鳥先生、あの二人良い感じですね」

 えっ! 待合室に江下先生がいました。

「江下さんどうしたの?」

「はい、診療所を通りかかったときあの二人が見えたので……」

「そ、そうね」

 本当、仲が良いねあの二人。


 翌日、約束通り晴翔君が診療所へ来ました。

「先生、こんにちは」

「こんにちは! どうだった試験は?」

「ええ、良い感触だって樹が言ってました」

「そうか、それじゃ今度は二次試験だね!」

「はい」

 そう晴翔君は返事をしましたけど、様子が変です。

「どうかした?」

「あっ、はい…… 昨日もちょっと話しましたけど、実は試験が終わったあと、樹は、変わってくれと一言だけ言ってそれっきりなんです」

 晴翔君がそう言いますけど……

「樹君も疲れたんじゃないの、取り敢えず共通テストが終わったから」

「そうかな……」

 晴翔君は気になる所があるのかな。

「それより産業大学ってどの辺にあるの?」

「えっと、ほぼ中心部です。それこそ医療センターの近くですよ!」

「そうなんだ、それなら何かあったときでも安心だね!」

「はい」

 まあ、ちょっと樹君の事が心配ですけど、大丈夫かな……


 そして二月の二週目、二次試験受験のため晴翔君は川本市へ行ってしまいました。この試験ですべてが決まります。心配ですけど見守る事しか出来ないですよね……

樹君の受験、二次試験が行われます。そのため川本市へ行ってしまいました。大学入試で合格をもらう事が出来るでしょうか……

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