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憧れの診療所勤務!  作者: 赤坂秀一
第三章 多重人格と男の娘
20/55

20 玲華の特別研修

お待たせしました第20話を更新しました!


前回如月先生と玲華が清川村で鉢合わせして一悶着ありましたけど…… 『玲華を自由にして下さい』という飛鳥の言葉に如月先生はどう思っているのでしょうか……

如月(きさらぎ)先生は診療所の外へ出て行った後、いつもの黒塗りの高級車で行ってしまいました。

玲華(れいか)、どうなってるの!」

「……」

 玲華は先輩の問いにも答えず涙を必死に堪えて俯いたままです。口を開けば大声で泣き出してしまいそうな、そんな勢いです。

今村(いまむら)、ちょっと良いか……」

 甲斐(かい)先輩は私を診療所の外へ連れ出しました。

「今村、何も訊いてなかったようだが、玲華は城南(じょうなん)医療センターを辞めさせられたんだ! 如月先生に……」

「どういう事ですか?」

「如月先生は玲華を如月総合病院へ連れ戻すために医療センターに居られなくしたんだ! それで北山(きたやま)大学の上野(うえの)教授と上杉(うえすぎ)先生で玲華を北山大学の医局に招いたんだけど、とにかく俺も玲華と入籍すれば少しは状況も変わると思ったんだが……」

「入籍! 婚約じゃないんですか?」

「いや、入籍だ。反対されてるけど……」

 えっと、話が二転三転しているんですけど、状況はなんとなく解りました。

「それで、清川(きよかわ)村へ来たんですね!」

「いや、その話は訊いてなかったけど、玲華は君や城戸(きど)先生のところへ行きたかったんだと思う」

「そうですか……」

 玲華はかなり追い込まれていたみたいですね…… そのくせに強がって弱音を見せないから…… いや、私が解ってあげれなかったのかな……

「玲華はどれくらいこっちで勤務するの?」

「えっと、予定では一か月と訊いてますけど」

「半年くらいこっちに置いてもらえないかな」

 いや、私にそんな事を言われても……

「あの、そういう事は村立病院の徳間(とくま)先生に訊いてみたらどうでしょう」

「うん、それじゃ明日にでも聞いてみよう」

 そういう事で、今日はもう遅いので温泉街の方に甲斐先輩と玲華は泊まるようです。

「はあ、今日も一日大変だったわね! 玲華は大丈夫かな……」

「ええ、そうですね」

「ところで拓哉(たくや)君はどうだったの?」

「あっ、それがですね……」

 私は中学校での出来事を慶子(けいこ)先輩に話しました。

「へえ、生徒達はやるじゃない! みんなで通称名を考えてあげるなんて」

「はい、拓哉君もその名前が気に入ったみたいで」

飛鳥(あすか)先生、なんて名前なんですか?」

 華純(かすみ)さんは気になって仕方ないみたいです。

「えっと、奏音(かのん)ちゃんです」

「へぇー、奏音か」

 慶子先輩は何だかイマイチの反応ですね!

「でも、なんで奏音なんですか?」

 華純さんは、少しは気になっているかな。

「拓哉君はピアノが好きで、とても上手なの! だからクラスのみんなは音を奏でるという事で奏音になったみたい」

「そうか、こんな感じでみんなに通称名を付けてもらえれば、良い思い出にもなるでしょうね」

「はい」

 本当、奏音ちゃんが羨ましいよ! 私は元々中性的な名前だったからそのままだし、しかも、飛ぶ鳥で飛鳥だから…… せめて明日の香りで明日香の方が可愛くて良かったかな…… はっ、駄目駄目、可愛いは卒業して綺麗を目指すんでした。危ないとこでしたね!


 翌朝、診療所へ行くと玲華と甲斐先輩がいました。

「玲華、今日は休んだら甲斐先輩もいる事だし」

「うん、でも大丈夫! 飛鳥、昨日はありがとう」

「えっ、何が?」

「うちのお母さんに私を自由にして下さいって言ったでしょう!」

「うん、だって玲華にも人権があるんだから…… それに、もう私達は大人なんだから」

「まあ、そこのところをうちのお母さんが解ってくれれば良いんだけどね……」

「今村は今日も一日ここで仕事なんだろう」

 えっと、今日は村立病院ですね。

「いえ、私は今から村立病院です」

「そうか……」

「玲華、折角ここまで来たんだから甲斐先輩と川本(かわもと)市まで行って来たら」

「何かあるの?」

「えっと、何があるって訳じゃないけど、城南(じょうなん)市や橋本(はしもと)市よりも大きな都市だから気晴らしにはなるかもよ!」

 今の玲華は気持ちがちょっと沈んでいるようなので、甲斐先輩とおもいっきり遊んで来た方が良いと思います。友人としても、精神科医としてもそう思います。

「うん…… それじゃ、そうしようかな……」

 そう言って玲華は先輩の車で川本市へ言ってしまいました。

「それじゃ、私は村立病院へ行って来ます!」

 そう言って私は診療所を出ました。それにしても玲華は今から甲斐先輩とデートか、良いな…… 私は今日も村立病院で仕事なのに…… 何だか玲華がちょっとだけ羨ましいです。まあ、私がそう勧めたんですけどね。


 数日後、玲華は清川村に一年くらい勤務することになりました。あの日、玲華と先輩が川本市に遊びに行った日の夕方、二人で村立病院へ来て徳間先生と話をしてたようで、特別研修という事になったようです。如月先生もあの出来事の後からはお見えになっていないので玲華の事を諦めてくれたのかな……

「玲華、甲斐講師とはどこまで行ったの?」

 玲華はちょっと頬を赤くしてますけど……

「えっ、どこまでって川本市ですよ! 飛鳥が遊んで来いって言うから」

「玲華、そうじゃなくて……」

 先輩の言ってる事を玲華はようやく理解したみたいで顔が真っ赤です。

「慶子先輩、やめてくださいよ!」

「その様子じゃ良いとこまで行ってるようね!」

「慶子先輩、玲華は入籍してるんですから」

「えっ、入籍!」

「飛鳥、なんで知ってるのよ!」

 あっ、これは言っちゃダメなやつですか……

「玲華、どういう事よ!」

「飛鳥、誰に訊いたの?」

 えっと…… 他にいないですよね…… 慶子先輩もそんなに追及しなくても……

「甲斐先輩だけど……」

「もう……」

 玲華はまた、困ったように顔を赤くしてます。

「真司は、よりによって、もう……」

「ねえ玲華、式は挙げないの?」

「出来る訳ないでしょう…… 如月家(うち)はみんな反対しているんだから」

 やっぱりそうなんだね……

「飛鳥先生、たっ、じゃなかった…… 奏音ちゃんが来てますけど」

「えっ、うん、診察室に入れて!」

「奏音ちゃんどうぞ!」

 そう聞いて奏音ちゃんは嬉しそうに診察室へ入って来ました。

「奏音ちゃん、今日はどうしたの?」

「先生これ、お母さんに署名してもらったから!」

 あっ、これは二次性徴(にじせいちょう)抑制(よくせい)治療の承諾書ですね。

「うん、それじゃどうする? 今日から治療出来るけど」

「もちろん、お願いします!」

 そういう事で今日から奏音ちゃんの治療が始まりますと言っても二次性徴抑制治療なので、思春期を止める治療であって治療を辞めればまた、思春期が進む訳です。

「雫、注射をお願い」

「はい」

 雫が注射の準備をしていますけど、この瞬間は私はとても嫌いです。注射を待ってる時間が私の思考を巡ります。痛いのか、痛くないのか……

「飛鳥先生、どうかしたんですか? 顔を顰めてますけど」

 奏音ちゃんからそう訊かれましたけど……

「ううん、なんでもないよ」

 奏音ちゃんは注射は嫌いじゃないのかな……

「それじゃ注射しますね」

 雫に注射を受けた奏音ちゃんですけど…… 普通ですね。

「これで私の女性化が進むんですね!」

「奏音ちゃん、この注射で女性化はしないから」

 まあ、男性化を抑える薬というか思春期を進めない薬ですね!

「解ってますよ! でも、第一歩です」

 まあ、そうですけどね。

「奏音ちゃん、注射は二週間に一度打ちに来てね」

「はい、解りました。

 その時、慶子先輩が慌ただしく動いています。

「飛鳥、玲華、急患が来るわよ!」

 えっ、急患!

「今電話がありました。患者は五条耕三(ごじょうこうぞう)さん七十六歳です」

「えっ、それって私のお爺ちゃんですよ!」

 奏音ちゃんはびっくりしているようです。

「とにかく、救急車が来るから一旦診療所で受け入れて無理な場合、村立病院からドクターヘリで川本市の医療センターへ運ぶから」

「はい! 奏音ちゃんは待合室で待っててね」

 その後、救急車はすぐに来ました。

「患者は五条耕三さん七十六歳胸の痛みがあるそうです。バイタルは168-110、意識レベル3です」

「診察室へお願いします」

「お母さん、お爺ちゃんは大丈夫なの?」

 奏音ちゃんの呼び掛けにもお母さんは返事がありません。

「五条さん、判りますか?」

 私が呼び掛けますけど今ひとつ反応が悪いです。

「飛鳥モニター付けて、玲華ライン確保」

 先輩の指示通り準備しましたけど……

「飛鳥、胸の音を聞いてみて」

 私は聴診器で音を聴きますが……

「これ、可笑しいですよね……」

「うん、検査しないと判らないけど、心筋梗塞の可能性があるわ」

「それじゃ、ドクターヘリですね……」

「玲華、ヘリを手配して! 村立病院へ搬送します」

 慶子先輩の指示で患者は再び救急車へ乗せられ、ヘリポートがある村立病院へ搬送されます。

「飛鳥先生、お爺ちゃんはどうなるんですか?」

「検査をしないとなんとも言えないですけど医療センターへ搬送します」

 何事も無ければ良いんですけど…… 慶子先輩が村立病院まで一緒に行くみたいです。

「飛鳥、一緒に来て! メディカルバッグも忘れずに」

 えっ、私も…… そう思いながら私も先輩と一緒に救急車に乗り込み村立病院へ出発しましたが、その時でした!

『ピィー』

 警報音がなります。

「心肺停止!」

 救急隊員がそう叫びます。

「飛鳥、ボスミン投与!」

 私がボスミンを点滴から投与します。ボスミンとはアドレナリンのことですけど…… あっ、すぐに心肺再開しました。でもバイタルの数値が良くありません。

「簡易呼吸器をお願いします」

 その時……

『バラバラバラ……』

 ドクターヘリが私達の上空を大きな音をたてて通り過ぎて行きました。一足早くドクターヘリが村立病院へ到着するようです。あとは早く村立病院へ到着しないと、患者さんの容態もあまり良くありません。

『ピンポン』

「血圧低下してます。68-40です」

 ボスミンを投与してますけど非常にまずい状況です。でも、ようやく村立病院へ到着しました。

出羽診療所に久々の急患ですが…… 患者さんは奏音ちゃんのお爺ちゃんみたいです。しかし、診療所では手に負えないので村立病院からドクターヘリで搬送する予定ですけど、かなり危険な状態です。

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