6ー12 偶然の産物
冬休みの間に、調色編集委員は新任の先生へのインタビューを敢行する。インタビューの内容は一問一答形式で「調色」の先生紹介のコーナーに掲載される。この日は二年生全員が学校に集まる予定だった。
俺は少し遅れて学校に到着した。今年は雪が多い。下駄箱で上履きに履き替えると急いでいつもの教室を目指した。なぜか気分が高揚していた。
教室に入ると、おなじみのメンバーが視線をこちらに向けてきた。もう全員そろっているのか。いいや、違う。よく見るとランの姿が見当たらない。ヨネもだ。来たばかりの俺はさりげなくウメコに尋ねた。
「あとの二人はどうした?」
「まだ来てないみたい。でも靴はあったから、トイレじゃない?」
別に心配になったわけじゃない。インタビューは先生の都合もあるから、今日やっておかないとスケジュール的に困ることになるんだ。
このところの俺はおかしい。ランのことを必要以上に気にかけてしまう。ほっとけないといえば、過保護になるだろうか。
しばらくして、二人が戻ってきた。
だが、様子がおかしい。
ヨネが深刻そうな顔で俺たちに告げる。
「みんな、聞いてほしいことがあるの」
ヨネの隣にいるランは、いつになく青い顔をしていた。
「ラン、どうしたんだ?」
ヨネが頷き、目で促す。するとランは声を震わせ話し始めた。自身の身にどのようなトラブルが降りかかったのかを……。
「……っていうことがあったの」
その話を聞き終わると、俺は激しい憤りを覚えた。ランをここまで思い詰めさせるなんて、犯人を到底許せたものではない。
俺は警察に相談するべきだと提案した。だが、ランには迷いがあるようだった。その気持ちは分かる。俺だって今まで生きてきて警察を頼った経験なんかない。本当に警察を動かすべきなのか。そもそも警察は助けてくれるのか。それに、警察に相談すると犯人との間に後々しこりが残りそうだった。そこで俺たちは話し合いの末、なるべく穏便に、自分たちだけで解決できないか手立てを考えてみることにした。
「みんな、ありがとう」
ランはちょっとだけ元気が出たみたいだ。
「仲間のためだ、これくらいなんてことはないさ」
俺たちは少しでも事態が好転するよう、全力で対処を考えて、実行に移した。学校の先生にも相談し、対策を講じてもらった。その甲斐もあって、ランの問題はいちおうの解決を見た。
この事件を経て、俺たちの結びつきは一層強固なものになったと思う。
そして、時を同じくして完成した「調色」が、終業式の日に一、二学年の生徒に配布された。




