表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/79

6ー12 偶然の産物

 冬休みの間に、調色編集委員は新任の先生へのインタビューを敢行する。インタビューの内容は一問一答形式で「調色」の先生紹介のコーナーに掲載される。この日は二年生全員が学校に集まる予定だった。

 俺は少し遅れて学校に到着した。今年は雪が多い。下駄箱で上履きに履き替えると急いでいつもの教室を目指した。なぜか気分が高揚していた。

 教室に入ると、おなじみのメンバーが視線をこちらに向けてきた。もう全員そろっているのか。いいや、違う。よく見るとランの姿が見当たらない。ヨネもだ。来たばかりの俺はさりげなくウメコに尋ねた。

「あとの二人はどうした?」

「まだ来てないみたい。でも靴はあったから、トイレじゃない?」

 別に心配になったわけじゃない。インタビューは先生の都合もあるから、今日やっておかないとスケジュール的に困ることになるんだ。

 このところの俺はおかしい。ランのことを必要以上に気にかけてしまう。ほっとけないといえば、過保護になるだろうか。

 しばらくして、二人が戻ってきた。

 だが、様子がおかしい。

 ヨネが深刻そうな顔で俺たちに告げる。

「みんな、聞いてほしいことがあるの」

 ヨネの隣にいるランは、いつになく青い顔をしていた。

「ラン、どうしたんだ?」

 ヨネが頷き、目で促す。するとランは声を震わせ話し始めた。自身の身にどのようなトラブルが降りかかったのかを……。

「……っていうことがあったの」

 その話を聞き終わると、俺は激しい憤りを覚えた。ランをここまで思い詰めさせるなんて、犯人を到底許せたものではない。

 俺は警察に相談するべきだと提案した。だが、ランには迷いがあるようだった。その気持ちは分かる。俺だって今まで生きてきて警察を頼った経験なんかない。本当に警察を動かすべきなのか。そもそも警察は助けてくれるのか。それに、警察に相談すると犯人との間に後々しこりが残りそうだった。そこで俺たちは話し合いの末、なるべく穏便に、自分たちだけで解決できないか手立てを考えてみることにした。

「みんな、ありがとう」

 ランはちょっとだけ元気が出たみたいだ。

「仲間のためだ、これくらいなんてことはないさ」

 俺たちは少しでも事態が好転するよう、全力で対処を考えて、実行に移した。学校の先生にも相談し、対策を講じてもらった。その甲斐もあって、ランの問題はいちおうの解決を見た。

 この事件を経て、俺たちの結びつきは一層強固なものになったと思う。

 そして、時を同じくして完成した「調色」が、終業式の日に一、二学年の生徒に配布された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ