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6ー7 偶然の産物

「オミオくんは何が言いたかったんでしょう?」

 私の問いに、ヤツエさんが首を振った。

「私も分からないの。ランなら知っていると思って。ラン、どうなの?」

 ランは気が進まないようすだった。

「オミオに直接聞けばいいじゃない。連絡先知ってるでしょ」

「知ってるけど、このことは聞いても教えてくれないの。のらりくらりかわされるだけで」

「なら教えたくないんでしょ。あなたは知らなくてもいいことよ」

「そういうわけにもいかないの!」

 ヤツエさんの声が店内に響き渡った。オミオくんのこととなると、彼女は感情の抑えが効かなくなる。

「この言葉の意味は何なの? オミオくんはどうして私を選んでくれなかったの? なぜ、あの子なの? そもそも、オミオくんはどうしてカナヅ高校に来たの? 彼の学力ならもっと上の高校を狙えたはずでしょ。オミオくんが本当はどんな気持ちで高校生活を送っていたのか、私には分からない。私は、あの最後の言葉にこそオミオくんの本音が込められているんだと思う。それが分からないことには、私は前に進めない!」

 ヤツエさんはたたみかけるようにランに質問した。やや息が乱れている。

「……質問しすぎ」

 ランもどこか困ったようすだった。重苦しい空気が場を支配する。なんとかこの状況を打開せねばと私はランに問いかけた。

「ラン、言ったよね。ヤツエさんと向き合うって。あれは嘘だったの? ヤツエさんのことが気に食わないからといって教えないのは、ちょっと大人げないよ。それに、ここにある朝食って、このあいだ話してた朝食会と何か関係があるんじゃない?」

「朝食会?」

 ヤツエさんがあの時の私と同じ反応を示す。彼女も朝食会の存在を初めて知ったようだ。

「……そうね。モナミの言う通りだわ」

 張り詰めていた空気が少し緩んだ。ヤツエさんを冷たくあしらっていたランだが、ようやく彼女を認める気になったらしい。

「あの言葉の意味、か。じつは私もうまく説明できないのよ」

「そうなの?」

「ええ。なんとなく言いたいことは分かるんだけど……私が下手な解釈を話すより、もっと頭の良い人たちに聞いた方がいいかもしれない」

「頭の良い人たち?」

「朝食会のメンバーよ。それこそ、カノウ高校に合格するくらいの頭脳を持った人たちがいるわ。私よりはるかに読解力があるし、生徒会誌の件に関してはまさにうってつけ」

「朝食会って、一体どういう集まりなの?」

「私ね、中学の時、生徒会誌の編集に携わったことがあるの。その時、仲良くなった同じ学年の編集委員五人と、卒業後も定期的に集まろうってなってね。それが朝食会。小さな同窓会みたいなものね。オミオもそのメンバーの一人」

「そんな集まりがあったなんて、知らなかった……」

「みんな、オミオとは付き合いが長いから、オミオのことなら誰よりも理解してるんじゃない。朝食会のメンバーに会って話を聞くことで、さっき私にぶつけた疑問を晴らせばいい」

「会わせてくれるの?」

「だからそう言ってるでしょ」

 ランとヤツエさんの仲はまだ多少ギスギスしたところはあるが、二人は和解に向かって歩き始めているように思える。謎の一言に込められたオミオくんの真意とは一体何なのか。こんな話をされては、気になってご飯ものどを通らないではないか。私もとことん付き合おうと思う。

 ……あれ? 婚活は?

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