4ー16
私はロベールにアプリ「比翼連理」のテストプレイを兼ねたモールコンのこと、オオタカくんのツバキ・スズメさん探しのこれまでの道のりを話した。ジョー大師に報告しようと思っていたことを、まさか先にロベールに話すことになるとは。
「なるほど『比翼連理』か……ジョー大師も考えたものだね」
「何か分かった?」
ロベールは頷いた。
「おおよその見当はついた」
「ええっ、どこですか。彼女はどこに?」
オオタカくんがロベールに詰め寄る。
「結論から言うと、その彼女は一階の半月フロアにいる可能性が高い。なぜだか分かるかい?」
「いえ……」
「話が長くなるかもしれない。今すぐ向かってもいいんだよ?」
「いえ、聞かせてください。納得したいんで」
「そうか。じゃあ話そう。まず、きみたちはパーソナルカラーの意味を考えたことはあるかい?」
「その人の本名を占って大師が決めると言っていたけど……」
私はゴールドフラワー本社で受けた説明を思い出す。
「緑、青、赤、黄、白と聞いて、何かを思い浮かべないかな」
「うーん……」
なんだろう。どこかで見たような……。
「もしかして……五色旗?」
オオタカくんが呟いた。
「正解。モナミもこの国に来て、目にしたことはあるだろう?」
「ええ」
五色旗は経文旗ともいう。多数の五色の旗をくくりつけたひもが木と木の間に渡され、万国旗のように空をいろどり風にはためいているのは、この国の至る所で目にする風景だ。
「あれってどんな意味があるの?」
「ざっくり言えば幸せを願うものだ。緑色は地、青色は水、赤色は火、黄色は風、白色は空を表すという。自然を構成する五大要素だね」
「じゃあ俺は、風以外の四つの要素を持っているってことですか?」
「そうなるね。そして、同じ五大を表すものに、五輪塔がある」
「五輪塔?」
「モナミ、ナイオンの全体マップを見て、どう思った?」
「変わった形だなあ、と……」
「ナイオンの建物は、ちょうど五輪塔を横に倒した形をしているんだ。方形は地輪、円形は水輪、三角形は火輪、半月形は風輪、宝珠形は空輪を指し、そのことから一部の人からは方形フロアではなく地フロアなどと呼ばれている。隠語みたいなものかな」
なぜそれをロベールが知っているのか。ナイオンに詳しいランもそんなことは一言も言っていなかった。
「ということはオオタカくん。きみのパーソナルカラーはナイオンの地フロア、水フロア、火フロア、空フロアを意味していることになる」
「えーと……それはどういうことですか?」
「きみは自分で言っていたじゃないか。タカはスズメを捕食する。自由に空を飛ぶのを阻害するって。つまり……」
「スズメは、タカのいない場所を選ぶ……」
オオタカくんははっと自分の端末を見た。
「俺が唯一持っていない黄色、風フロアに彼女はいる……!」
どうだ、オオタカくん。そんなに鼻息を荒くして。これがロベールのすごいところ。
「で、でも、本当にいるという確証はないですよね?」
「相性がいいなら同じ発想をする。彼女ならこの結論に至ってくれる。あとは、きみたちが今日ナイオンを歩き回って肌で感じたことを、信じることだ」
そう言われて私は急いでマップを取り出し、確認した。
「オオタカくん、風フロアには一階と二階合わせても服屋は一つしかないですよ!」
「一階の風フロアにある服屋で、彼女は竹刀を肩に担いで、マネキンを前にして待っている……! うおお!」
オオタカくんはよほど昂奮しているのか、脇目もふらずエスカレーターの方に向かって駆けだしていった。
「あー、行っちゃった……ごめん、ロベール。私も行かないと。ありがとう!」
私はオオタカくんのあとを追った。




