4ー14
「ですよね……自力で頑張ってみます」
「見つかるといいですね」
私たちはロゼと別れて、二階方形フロアの探索を開始した。地道に足で探すしかない。
まずは書店に入った。一階のスポーツ用品店と同じくらいの広さがある。奥まで行って調べたが、端末が反応することはなかった。
続いて、円形フロア。中央の通路を挟んで両側に楽器店、靴屋などの店が並んでいる。
「比翼連理」の反応があったのは、礼服を取り扱う店の前に来た時だった。
「ナンテン・ツバメ。ひょっとして……」
この店のスペースは広くない。その人物はすぐに見つかった。燕尾服を着用したマネキンを見つめるようにして立っていた。
「こんにちは……あの、何をしてるんですか?」
「ああ。私は、ツバメを待っているんですよ」
「ツバメを? 名前にツバメとつく人は、燕尾服を買いに来るかもしれないから?」
「燕尾服は買わないでしょう。そうではなくて、夢にまで見たツバメと待ち合わせするなら、ここがいいと思ったまでです」
「なるほど。でも、必ず来るという保証はないですよね?」
「来ますよ。来なかったとしたら、モールコンの参加者に私の運命の人はいなかったということです。モールコンが終わったあとも『比翼連理』が正式にリリースされれば私は燕尾服の前に来ます。同じ感性を持った人が現れると信じて。運命の人がそうでなければ、嫌じゃありませんか?」
「まあ……少し特殊な気もしますが……」
「私が変だとお思いですか? あなたからは同じ匂いがしますけど。カキ・オオタカさん」
「ははは……。もし燕尾服を着てきたら、変人でしたね」
「着てくるか迷いましたよ。さすがに一張羅を着てくるわけにはいきませんでしたが。それくらいの分別はつくつもりです」
「一張羅……」
「さあ、もう行ってください。あなたも大切な人を探しているのでしょう?」
「……そうですね。お互い、見つかるといいですね」
私たちは礼服店を離れた。
「変わった雰囲気を持つ方でしたね」
私はナンテン・ツバメさんにそんな印象を持った。
「でも、重要なヒントをくれました。一張羅ですよ、一張羅」
「それがどうしたの?」
「一張羅といえば着たきりスズメ。着たきりスズメといえば服屋のマネキン。つまり彼女も、どこかの服屋のマネキンの前にいるはず」
「着たきりスズメをマネキンと結び付けるのは強引な気がしますけど……」
「彼女ならきっとこの結論に至ってくれる。俺が信じる彼女を信じろ、ですよ。見てください、これから向かおうとしてた三角形フロアを。見事に服屋が続いてます」
マップを見ると二階の三角形フロアはファッション系の店であることを示すピンク色の割合が多い。マネキンを調べようと思った時にマネキンが提供される。なんとタイムリーな。
「急ぎましょう、モナミさん。ここから宝珠フロアまで、結構な数の服屋がある」




