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振り返ると、ジョー大師がそこにいた。
「おお。モナミどの。御苦労」
「大師? 何をしているんです?」
「ちょっと通りがかったものでな。おや、そこの御仁は……」
大師はタンニンくんの方へ目を向けた。
タンニンくんは目を輝かせている。
「ジョー大師! 本物だ! お会いできて光栄です!」
「もしや貴君は、『カキ・オオタカ』くんではないかな?」
「ええ、そうですけど」
「いやなに、貴君の名前は非常に素晴らしい。占っていて惚れ惚れしたものだ」
「本当ですか! ありがとうございます!」
「貴君に大事な話がある」
突然大師にそう言われて、タンニンくんは緊張の面持ちになった。
「……何でしょうか」
「『ツバキ・スズメ』という人を探しなさい。拙僧が見た限り、貴君にこれほどまで相性がいい女性は他にはいない。もし二人が結ばれれば、二人の間には、必ずや器量と才能に恵まれた子供が誕生するであろう」
「マジですか! ツバキ・スズメ……」
「パーソナルカラーは緑・青・白の三色だ」
「その人が俺の運命の人なんですね」
「左様。ぜひ頑張ってくれたまえ」
私は参加者の情報を流す行為に心配になって、大師に詰め寄った。
「ちょっと大師。こんなことをして大丈夫なんですか」
「彼は特別だ。しかし、このことが知れたら拙僧の立場も危うい。ここだけの話にしておいていただきたい」
うーん、これはえこひいきでは。看過してはならない気がするが……。
「拙僧もモール内を見て回るつもりだ。運良く彼女に遭遇したら、彼女にも貴君のことを伝えよう」
「向こうも俺のことを認識するわけですね」
タンニンくんにしてみれば、憧れのジョー大師に目をかけられて嬉しくないわけがない。舞い上がりたくなる気持ちも分かる。
「そこで、モナミどの。あなたに折り入って頼みがある」
「何でしょうか」
「彼についてやってくれぬか。運命の人に巡り会えたか、道中のことも含めて、第三者の目で、見たこと感じたことを後で拙僧に教えてほしい」
「それは、大師のためですか」
「拙僧のためだけではない。多くの人の、幸せのためだ」
ちょっとずるいなあ。そう言えば私が納得すると思って。
「いいじゃないですか、モナミさん。その方が、俺も心強いです」
大師は自らルールを破るほど、タンニンくんの行く末を気にしている。一体大師の目には何が見えているのだろうか。
タンニンくんをそばで支えることが、タンニンくんの、ひいてはこれから「比翼連理」を利用する人のためになる。私はそう思い直して、折れることにした。
「うーん……はい。分かりました」




