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4-7

 ショッピングモール・ナイオンの建物は、独特な形をしている。西から東に向かって方形・円形・三角形・半月形・宝珠形の形をした建物が連なっており、上から全体を見るとまるで串に刺さったおでんをイメージさせる。

 場所を指すときには方形フロアの一階、円形フロアの二階などといい、買い物客の間ではその呼び方が定着しているそうだ。完成したフロアマップを配りながら、ランが教えてくれた。このマップは私たちスタッフだけでなく、モールコンの参加者にも配ってある。

 そして、今回のモールコンにおいて必須アイテムである「比翼連理」が入った端末も、同じタイミングで受け渡した。参加者どうしが事前に顔を合わせず個別に受け取れるよう、時間を調整するのが大変だった。

 この端末には当日の正午にメールが届くようになっている。メールには「比翼連理」のロックを解除するパスワードが記載されていて、このパスワードを入力すれば、自分のツリーネーム、バードネーム、パーソナルカラーを知ることができるというわけだ。


 時計を確認する。モールコン開始の午後二時まであと少し。

 私は一階宝珠フロアにあるナイオンの入口の一つ、南入口Bで待機していた。

 参加者に正午のメールはとっくに届いているはずだ。自宅で受け取った人もいれば、ナイオンへ向かう途中で受け取った人もいるだろう。私は運営する側なのにどきどきしてきた。なんだか仮面舞踏会を始めるみたいだ。

 南入口Bの自動ドアが開いて、誰かが店内に入ってきた。よく見ると知った顔だった。

「あら! タンニンくんじゃない」

「あ、モナミさん。ここに来てたんですね」

 タンニンくんは遠くからでも目立つような、明るい色のセーターを着ていた。

「おしゃれですね、そのセーター」

「ああ、俺の比翼連理ネーム『カキ・オオタカ』なんですよ。だから、柿色の服を着てきました」

 タンニンくんは端末の画面を見せてくれた。

 カキ・オオタカ。パーソナルカラーは緑・青・赤・白の四色。

「こんな風になってるんだ。着替える時間はありましたか?」

「ええ。割と家が近いんで」

 入口付近にいれば他の参加者と出会いそうなものだが、タンニンくんと話している最中に入店してくる客の中にそれらしい人は見受けられなかった。

「そろそろ二時ですね」

 タンニンくんも私も時計を覗き込む。ちょうど針が二時を指し示した。

 すると、タンニンくんの持っていた端末が振動した。「比翼連理」が起動したのだ。

「この瞬間をどれだけ待ち望んでいたか。高まってきた……!」

 タンニンくんの鼻息が荒くなる。

「うまく起動しましたか?」

「そうみたいですね。まだ試験段階ということもあって、簡素な画面です」

 「比翼連理」を開いた端末は静かに画面を光らせて、誰かとすれ違うのを待っている。

「さて、どこに行こうかな」

 タンニンくんが顔を上げて呟いた。この瞬間から、参加者は自由に店内を歩き回って出会いを探す。マッチングした人と買い物するもよし、食事するもよし。ただし、映画を観ることは禁止にしている。密室に長時間閉じこもれば、それだけ出会いの数が減るからだ。ゴールドフラワーは誰がどんな人と出会ったのか、なるべく多くのデータが欲しいらしい。

 私もそろそろタンニンくんと別れて見回りに行かなければならない。彼にそう告げようとしたところ、誰かが私たちに接近してきた。

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