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光の剣

 エルシュはサニャの方を見る。そこには傷が塞がれたダンロットが座ったままだがラウルに支えられるようにゆっくりと起きあがっていた。


「サニャ、ダンロットの治癒は問題ないみたいね」

「はい!まだ戦える状態ではないですが、傷は塞がれてあとは少し安静にしていれば大丈夫です!」


 サニャの返答にエルシュは頬笑む。


「サニャ、ラウル先輩!一番強い防御魔法で自分たちとダンロット、シュミナール団長を完全に守っていてください!!」


 エルシュが言うと二人は目を合わせてからエルシュへ大きく頷いた。


 エルシュはまた白髪の男と得体の知れないものをしっかりと見据える。その金色の瞳はゆっくりと輝き出し、エルシュの周りに金色の粒が集まって風が起き浮遊する。美しい銀朱色の髪の毛がキラキラと輝きながらふわり、と浮かぶ。


(許せない。ダンロットのことをあんな目に合わせるなんて絶対に許せない。もしもそれが私がこの世にいるせいだったとしても)


「私のせいなら、私が決着をつける」


 片手を得体の知れない何かに向けながら、エルシュは言う。


 得体の知れない何かは呻き声をあげながら腕のようなものを沢山エルシュへ伸ばしていく。だがエルシュへ届く前に次々と破壊され、さらには魔法の鎖で得体の知れないものは完全に拘束された。



『光の根源よ我が呼び声に答えよ。神々の宿る光の剣で禍禍しい偽りの姿を解き あるべき姿 光の粒として空へ還せ』


 エルシュは、一字一句に最大の魔力が宿るように集中して唱える。


 詠唱と共にエルシュの片手に光が集まり、同時に得体の知れない何かの上空と足元に金色の魔方陣が浮かび上がる。


 そして上空に浮かび上がった魔方陣から大きな大きな光の剣が現れた。


『サラソスクシクレフォス!』


 光の剣が得体の知れないものに直下し、直撃した瞬間に光の爆発が起こりが辺り一面が光で覆われる。爆風と光でその場の全てが吹き飛んだ。




 爆風が落ち着き土埃が風に流されて少しずつ辺りが見渡せるようになる。


 そこには防御魔法で守られたダンロット、ラウル、シュミナール、サニャがいた。エルシュも当然ながら無事である。ジャノスと白髪の男も自らの防御魔法でそこに変わらずいた。


 サニャがキョロキョロと辺りを見渡すと、遺跡は洞窟もろとも吹っ飛んで無くなっていた。周りには文字通り何も無い。瓦礫すらなく丸裸の地面があるだけだった。



「すごいねぇ!さっすが猛朱の魔導師だ!」


 白髪の男は楽しげに笑いながら言う。隣でジャノスは信じられないものを見るように目を見開いていた。


「どうして、その魔法を……」


 ジャノスが呟くとエルシュがジャノスを見る。


「お師さまの書を読んでいて、気になる箇所があったので。とても重要な魔法だということはわかったので必要になるかもしれないと思い覚えていました」

「教えてもいないのに、そんなまさか……」


 ジャノスは驚愕と羨望の眼差しでエルシュを見る。


「すごいよね!驚いたよねぇ。これだけのことができるんだもの、声として申し分ない。ここまで見届ければもう悔いはないでしょう」


 白髪の男は薄ら笑いを浮かべながらジャノスの耳元で囁く。


「と、いうわけで」


 白髪の男がジャノスの胸元に手を差し込む。白髪の男の手はジャノスの胸を突いて輝き出し、ジャノスが血を吐き苦しそうに呻き声を上げる。


「お師さま!!」


 突然の出来事に、驚いたエルシュが悲痛な声で叫び、シュミナールたちも驚愕の表情でジャノスと白髪の男を見ている。


 白髪の男がその手を引き抜くと、手には大きく虹色に輝く鉱石が握られていた。



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