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平手打ちと無垢な悲しみ

 浮遊していたダンロットはゆっくりと地面に降り立つ。


「ありがとう、助かった!」


 礼を言うダンロットに、サニャは目に涙を浮かべつつ、キリリとした顔で頷く。


「へぇ、とても綺麗な魂の持ち主がいたもんだな」


 白髪の男が、感心したような顔でサニャを眺めた。


 得体の知れない何かはまたエルシュに多数の腕のようなものを伸ばすが、すかさずシュミナールとダンロットが切り落とす。だがすぐに腕のようなものは再生してエルシュに伸びていく。


「再生するのか、やっかいだな!」


 ラウルが爆破魔法で腕のようなものや体を同時に複数爆破する。シュゥゥゥと煙が引いていくと、爆破された箇所からぼこぼこと新しい腕のようなものが生え、体も再生されていった。


(くっそ、らちがあかねぇ!せめてエルシュが攻撃できるようになればいいんだが……)


 ラウルが歯を食いしばりながらエルシュを見るが、我を失ったかのように宙を見つめて放心していた。


「先輩!起きてください!先輩!!」


 サニャが必死に呼びかけるも宙を見つめたままだ。


「サニャ!エルシュだけの防御に徹しろ!あれの攻撃目的はエルシュだけだ!」


 シュミナールが言うとサニャはでも……と戸惑う。先程のダンロットのように攻撃目的がエルシュだけでなくなる可能性もあるのだ。


「大丈夫だ!防御魔法なら俺でもまかなえる!」


 ラウルが言うと、サニャは一瞬悩んだがすぐにわかりました!とエルシュへ防御魔法を徹底した。


 得体の知れないものから多数の腕がエルシュに向かうが、サニャの防御魔法で弾かれ砕け散る。その間に、シュミナールとダンロットが懐に回り込んで体を斬り込み、さらにラウルが炎魔法で体全体を覆う。炎が収まるとそこには得体の知れないものが丸焦げになり動きを止めた。


 だが、次の瞬間突如丸焦げの塊から腕のようなものがサニャに向かって、ものすごい速さで伸びる。


 あまりの速さにサニャもラウルも防御魔法が間に合わない。咄嗟に近くにいたダンロットがサニャを庇い、腕のようなものがダンロットの身体を貫いた。腕のようなものは鋭利にとがっていたのだ。


「ダンロットさん!!!」


 サニャの悲痛な叫びがこだまする。ラウルが防御魔法でエルシュとサニャたちを防御し、シュミナールが腕のようなものを切り落とした。ダンロットを貫いた腕のようなものは切られた瞬間に散り散りになる。


 倒れこむダンロットにサニャが駆け寄る。


「ダンロットさん!ダンロットさん!!」


 取り乱すサニャの変わりにラウルが治癒魔法を施すが、防御魔法と同時に行っているため治癒が遅い。


 そんなサニャたちを、エルシュは呆然と眺めているだけだった。


「先輩!!!ダンロットさんが!!ダンロットさんが!!」


 サニャが泣き叫ぶがエルシュはまだ呆然としたまま動かない。すると、突如サニャの平手打ちの音が遺跡内に響く。あまりの突然のことに、ラウルもシュミナールも驚きを隠せない。


「先輩!いい加減に目を覚ましてください!!ダンロットさんが死にそうなんです!!!あの敵を倒せるのは先輩しかいないじゃないですか!!!いつまでそうやって呆然としてるんです!!早く戻ってきてください!!お願いですから!!!!」

 

 うつむきながらサニャは叫ぶ。そして、体を震わせながらゆっくりと顔をあげエルシュの顔を見つめた。


「お願い……です…から……」


 エルシュの瞳には大粒の涙を両目からボロボロと溢すサニャの顔が映っていた。





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