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命の代償

 デーゼにあっさりと拘束魔法を解かれ驚くが、シュミナールはすぐさま攻撃魔法をしかけつつ剣をふるう。


(こいつは一体何者だ?こんなにあっさりと高速魔法を解くなんて相当のものだ、気を抜けば危ない)


 シュミナールが攻撃を仕掛けながら冷静に考えているあいだにもデーゼはいとも簡単に避け、シュミナールに対して反撃する。シュミナールもなんとかその攻撃を跳ね返すが、しかし反撃の手が緩むことなくすぐに魔法の剣が四方八方から降り注いだ。


「……っ!」


 デーゼの攻撃を剣で受けるがその攻撃の強さに思わず体勢が崩れる。そしてその瞬間をデーゼは見逃さず、シュミナールは爆破魔法で吹き飛ばされた。


 シュミナ―ルは地面に叩きつけられるが、すぐに起き上がる。だが目の前にはすでにデーゼの笑顔があり、気づいた時には魔法で切り刻まれていた。


「ぐっ……」


 血だらけで横たわるシュミナールに、デーゼは微笑みながら近づいてくる。魔法省内にはすでに異常な魔法攻撃を感知して警報が鳴り響いていた。


「命の火が消える前に、あなたの魔力と魂をもらってあげる」


 デーゼがシュミナールに口づけをして魔法を吸い取り、さらに魂を吸おうとしたその時。ジャノスが駆けつけ、それに気づいたデーゼは魂を奪う前に姿を消した。





 デーゼが魔導師の一人の身体を乗っ取って姿を眩ましたと知った時、ジャノスはすぐに魔法省へ帰還してした。

 そして瀕死寸前のシュミナールを見つけることとなる。


 自分が生み出した人形ヒトカタが勝手な行動をおこし、将来有望な若者の命を奪おうとしたという事実はジャノスにとって自らに失望するひとつであり、二度とこのようなことが起こってはならない。


 シュミナールを医務室へ運んでからすぐにデーゼを追いかけ、遺跡に戻っていたデーゼを拘束する。


「どういうつもりだ」


 怒りの籠った瞳でジャノスはデーゼに聞く。


「もうあれからずいぶん経ったでしょう、ずっと待っててもつまらないのよ。ここから出てみたかっただけ」

「魔導師一人身体を乗っ取り帝都に行って騎士団員の魔力を奪いさらに魂まで奪おうとするとは何事だ!!」


 普段声を荒げることのないジャノスは怒鳴った。だがデーゼはどこ吹く風だ。


「何?私がいないとあなたの使命は果たせないんだよ?それなのにこんなことして良いわけ?なんならここにいる魔導師の魂と魔力全部奪ってやってもいいんだよ」


 ジャノスの拘束を破り宙に浮くデーゼからは、禍禍しい魔力が発せられ威圧される。咄嗟にケイトが拘束魔法をしかけ、それに準じて他の魔導師達も次々に拘束魔法を重ねていった。


「こんなことしても意味がないってなんでわからないかな」


 余裕そうなデーゼをジャノスが睨む。すると、魔導師の一人が口を開いた。


「ジャノス様、早くあれを」


 ケイトを含めた他の魔導師たちも、ジャノスに視線を向けて首肯く。


「……すまない」


 ジャノスは一言謝り、そして大きく息を吐いた。デーゼを睨み付け、両手を向け古代語を発した。途端にデーゼの身体が光出す。


「何っ!?」


 デーゼが慌てて拘束を解こうとするが、何重もの拘束は簡単には解けない。そのうちに次第にデーゼの身体が形を歪ませていく。

 デーゼに拘束魔法をかけていた魔導師たちの身体から魔力と魂が一斉にデーゼへ流れ込んでいった。


「お前は失敗作だ。作り替えるためにまた形のない状態に戻ってもらう。そのための魔力と魂は皆が請け負ってくれる」


 苦々しい顔をしながら、ジャノスは一度両目をつぶり、深呼吸する。そして、目を開けるとひと思いに両手を握り潰した。その瞬間、魔導師たちの身体は崩れ落ち、デーゼの身体も弾け光の粒になる。


 光の粒は様々な色の大量の鉱石になり、魔方陣の上に積み重なった。そこにはジャノス以外、誰一人として生きている者はいなかった。




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