遺跡の祭壇
エルシュの詠唱に結晶魔石が反応し蒼く輝き出した。さらにそれぞれ片方のシュミナール、ラウル、ダンロット、サニャの胸元から蒼い輝きが放たれる。
守霊獣から結晶魔石を貰った際に、エルシュの魔法で魔石を人数分にわけそれぞれに渡していた。蒼い輝きが放たれている方が本物ということだ。
「これで誰が本物かわかるでしょう!」
「ナイスだエルシュ!」
本物が誰なのかわかれば攻撃を躊躇う必要はない。輝きを放つ本物が偽物を攻撃し致命傷を負わせると、偽物は煙となって次々と消えていった。
全員の偽物が消えると、広間全体が揺らぎ煙になる。煙が消え去るとそこには道ができていた。
「幻覚だったみたいですね」
「今までのは全部ジャノスの仕業なのだろうか」
「本人に聞けばわかんだろ。さっさと行こうぜ」
道を進んで行くと階段があり、それを降りて行くと二本の大きな柱と共に大きな広間があった。中央には祭壇のようなものがあり魔方陣が浮かび上がっている。
「どうやらここがあの男が言っていた祭壇みたいですね」
ダンロットが神妙な面持ちで言いながら周りを見渡すが、誰もいない。
「あいつらどこにいやがるんだ」
ラウルが苛ついた声で言うと、足音が聞こえてくる。
「やぁ、やっぱり早かったね」
祭壇の後方の入り口から、白髪の男とジャノスが現れた。
「あのトラップはお前たちの仕業か」
「違うよ。ここにあるトラップは太古の昔からあるものだからね」
シュミナールがややドスの効いた低い声で聞くと、白髪の男が微笑みながら答える。
「お師さま、ここは何のためにあるんですか、人形とは何なのです?お師さまは一体何を?」
エルシュがジャノスに向かって言った。
「息災で何よりだ、エルシュ。人形のことまでわかっているのならば私の書いた書を読んだのだろう」
ジャノスは無表情で答える。
「まだ途中までしか解読できていません。それに私はお師さまの口からちゃんと説明を聞きたいのです。私をあの日置いていったことも理由があるのですか?」
エルシュの問いかけにジャノスはほんの少しため息をついた。それはため息なのか深呼吸なのか本人にすらわからない。
「書に記した通り、ここは人形を造り出すための祭壇だ。ここでひとつ目の人形デーゼも作り出した」
ジャノスは落ち着いた声で答える。
「僕もここで生まれたんだよ」
白髪の男は嬉しそうに言うと、ラウルが怒鳴る。
「お前もデーゼって野郎も一体何なんだよ。魂や魔力を吸い込んで何しようとしてんだ!」
「僕たちが生まれることにはちゃんと意味がある。古くから何度も何度も繰り返されたことだよ。あぁ、でもその歴史については師から直接聞いた方がいいんじゃないかな」
君も関係することだからね、と白髪の男はエルシュを見ながら言う。
「エルシュが関係するってどういうことだ」
ダンロットが眉間に皺を寄せて言うと、ジャノスがエルシュをじっと見つめた。
「話せばずいぶんと長くなる。だがきちんと話すべきなのだろう。その時が今なのだろうからな」
ジャノスは一度目を伏せ、ゆっくりと開いた。
「人形が生まれる理由はただひとつ。人によって荒みバランスの崩れた世界を終わらせるためだ。そのために多くの魂と魔力が必要になる。そして私はその役目を代々継ぐ家系に生まれた」




