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異常な変異

 ゼダル兵を追い返したシュミナールたちを、ベルシエの街の人たちは歓迎してもてなした。


「歓迎はありがたいのですが我々はこの先も任務があります。情報をいただきたい」

「なんなりとお聞きください!お答えできることがあればなんでもお教えします」


 人の良さそうな顔をした初老の長は、ニコニコと両手を擦り会わせながら答える。


「この先の渓谷にある洞窟から異常な魔力が漏れ出ていると聞いているのですが」


 エルシュが質問すると、街の長はあぁ……と暗い顔になった。


「街の人間は渓谷までは足を伸ばさないのですが、その手前の草原や森までは薬草や果物を採りに行くのです。ですがその異常な魔力のせいで今まで大人しく何の害もなかった野獣魔が突然暴れだすようになって採りにいくことができず困っております」


 長の言葉に、一同は顔を見合わせる。


「それによる街の被害はどのくらいなのでしょうか」


 ダンロットが尋ねると、街の長は深くため息をついて答えた。


「今の所は薬草と調合が済んだものどちらもある程度のストックがありますがいつまでもつか。果物については採取できないのですでに痛手です。街周辺は魔法を使うのが制限される地域のため、転移魔法も能力の高い限られた人間しか使えないので業者の往来も少ないですし……」


 街の長の話を聞きながら、エルシュたちは神妙な面持ちになっていた。


「どうかあの異常な魔力の原因を突き止めてなんとかしていただけないでしょうか」

「我々としても早急に対処はしたいと思っています。ですが実際に現地へ赴いてみないとなんとも言えません」

「自分たちにできる最大限のことはしたいと思います」


 不安げな長の言葉に、一行はそう言うしかできなかった。





 その日の夜。宿屋では男性の部屋と女性の部屋とでわかれていたが、この先の打ち合わせのためにとりあえず男性の部屋に五人全員が集まっていた。


「渓谷へまっすぐいくべきか、草原や森の野獣魔をとりあえず倒してくるかどちらがいいのでしょう」


 エルシュが悩ましげな顔で言う。


「一時的に野獣魔を倒しても根本的な解決をしないと同じことが何度でも起こるだろ。早く渓谷に行ってちゃっちゃと事を済まさねぇと意味ないだろうな。といっても渓谷に行くまでには森か草原どちらかを通って往かなきゃならないからな、対峙することにはなると思うが」

 

 ラウルが答えるとシュミナールは頷く。


「野獣魔はなぜ突然暴れ出すようになったんでしょうね」


 ダンロットが顎に手を添えて考え込む。


「きっと膨大な魔力が漏れ出たせいで異常な変異を起こしたんじゃないでしょうか。もしかすると気配や魔力を隠す野獣魔たちもさらに変異もしくは進化をしている可能性もあります」


 サニャが両手をグーにして答える。


「このまま魔力が漏れ続ければもっとおかしな変異を起こす可能性もあるな。急がないとまずそうだ」


 シュミナールの言葉に、一同は頷いた。




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