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馬車に揺られて、心も揺られて……いやいや幼女だから

「ジーク様、本日からお世話になるマリアンヌです。不束者ですが、どうぞ宜しくお願いいたします。やっと一緒にいられますねっ私の王子様!」


目の前に第三王女マリアンヌ殿下とメイドが一人座っている。

とりあえず状況処理が追いつかない。

何でこんなところに居るんだろう?

これからお世話になる?

王子様ってなんだ……?


「えっと、とりあえず殿下はどうしてここに?」

「やですね、ジーク様。殿下じゃなくてマリーとお呼びくださいっ!」


いやんいやんと体をくねらせながら顔を手で覆う殿下。


「そ、そんな恐れ多いこと……」

「婚約者になるのですからいいのですっ!ね、メリッサ?」

「はい、殿下の仰る通りかと。」


そうしてキッと睨んでくるメリッサと呼ばれたメイド。

恐らく早く呼べと言いたいのだろう。


「えぇ……と、ま、マリー?どうしてここにいらっしゃるのです?」

「それは勿論一緒にブリュンヒルド領に帰るためですわ!」

「ちなみに陛下はこのことは……?」

「書き置きを残したので今頃知っていると思います。そんなことよりも早く参りましょう!!」

「……問題になりませんかね?」

「むぅ、大丈夫ですっ!!それとも私と一緒はお嫌ですか?」


そうやって上目遣いでおねだりのポーズを取るマリー。


「うっ……そんなことはない、ですけど。」

「ならいいではありませんか!御者の方出発しちゃって下さい!!」

「は、はい」


御者も本当にいいんですか?とこちらを見てくるがメイドに睨まれた僕は諦めて首を縦に振る。

このメイド圧が強すぎないか?

そんなこともありつつ馬車は王都を出発する。

向かう先は当然ブリュンヒルド領。

今頃大慌ての王宮にとりあえずの謝罪を入れつつこれからの事を考える。

なんて報告しようか……。

王宮に招かれて表彰されたら幼女もとい王女を伴って帰ってきたなんて字面が酷すぎる。

さっき一瞬ときめいたけども幼女趣味は決してない。

絶対クライン辺りは弄ってきそうな気がするが……。


「あの、やはり迷惑でしたでしょうか?」

「え、迷惑ということは無いですけど陛下達が焦っているのでは無いかと思いまして。」

「それに関しては常々父上にはいずれジーク様の元へ参りますと言ってましたので大丈夫でしょう、きっと。」

「あ、はは。」


陛下達の苦労していた顔が浮かんでくる。

確かにお転婆なお姫様だなと思った。

それから少し沈黙が続く。

相変わらずメリッサは口を開かない。

マリーからの問にしか答えないのだ。


「ところで、婚約の話は本当に私で良かったのですか?今の領地はまだ復興を進めている段階です。まだ苦労することは多いかと思いますが……」

「はい、構いません。むしろ力を合わせて困難に立ち向かうなんて燃えるではありませんかっ!」

「な、なるほど。」

「それに、何度も言ってますがあなたがいいんです。あなたじゃなきゃ嫌なんです。」

「……それはどうして?」

「何故ともうされましてもピンチを助けてくれた王子様に惚れない女の子はいないと思いますよ?」

「助けた?」

「えぇ、覚えていませんか?特にメリッサとは直接話したと思うんですけど。」


言われてもう一度メリッサを観察する。

確かにどこかで見たことあるような気もする。

んーと頭を捻っていると詳細を話してくれた。


「数年前に襲われていた馬車を助けてくれた時に乗っていたのが私だったのです。馬車の中で怯えていた時に颯爽と現れ盗賊を倒していく姿がとても素敵でした!その後も震えて外に出れなかった私の代わりにメリッサに対応してもらったのです」


言われて思い出す。

確かにあの時のメイドはメリッサだったかもしれない。

髪型があの時と全然違ったので雰囲気が変わっていてすぐには思い出せなかった。


「そういうことでしたか。」

「はい。あの時からジーク様のことをお慕いしてました。いつか自分の口からお礼を述べたいと思っておりました。改めてあの時は助けて頂きありがとうございました。」

「いえ、マリーを助けることが出来たのは偶然でしたから。間に合って良かったです。もしかして異様に王都からの支援が多かったのは……?」

「はい。何度かお礼に伺いたかったのですがお忙しいと思いまして陰ながらご支援させていただいたという訳です。」

「こちらこそそこまでして頂いてありがとうございます。」

「それくらいしか出来ませんでしたので……」


なるほど、あの時の救助がこんなところに繋がってるなんて思わなかった。

情けは人の為ならずといったところなのかな?

ともあれ大体の事情は分かった。

それからはお互い他愛のない話をしつつ過ごしていた。

その間もメリッサは口を開くことは無かったがマリーが楽しそうに話してる様子を見て満足そうな笑みを浮かべていた。

そうこうしてるうちにブリュンヒルド城が見えてきた。

どうやって説明するか頭の片隅で考えつつ今はマリーとの会話を楽しむ。

ここ最近の中で不思議と一番心が安らいだ気がした。

……いやそれでいいのか?僕!?

本日はまったりとした馬車の旅をお送りしました。

明日は領地についてからのアレコレを……!

お楽しみに!


☆再度告知


12/29から1/4まで休暇ができました。

というわけで上記の期間連続投稿をしようと思います!

基本的にいつも通り21:00更新予定です!(今回は事前に予約投稿する予定です)

ぜひ楽しんでいただければと思います!


また、便利なブクマの登録や下の☆で評価をしていただければ励みになりますのでお願いします!!

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[気になる点] 馬車を襲っていたのはモンスターではなく盗賊では?
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