貴族
それから僕たちは別室にてレイヴンの話を聞くことにした。
その前にどうしても納得できないという顔をしていたのでこちら側の事情をある程度説明した。
この領地で起きたこと、そしてマリーとの婚約の経緯を全てとは言えないが話せることは大体話した。
そうすると顔を伏せて少し体を震わせていた。
レイヴンが落ち着くまで少し待った後にレイヴンの事情を聴くことにした。
わかったことは次の通りだった。
・マリアンヌ様の婚約については学園に入るまで知らなかった。
・それも教えてもらったのは同級生からだった。
・婚約の経緯は誰も詳しくは知らないらしく、相手の公爵については近年に数多くの功績を立てているいという。
・社交界には参加しているようだが、公爵と話す機会は中々巡り合えない。
・父も兄も僕のことを応援してくれていた、はずだが公爵については詳しく教えてくれなかった。。
・市井で断片的ながらも情報を集めていたら、悪い噂も多かったのでそれが本当ならば居ても立っても居られないと思い行動した。
・内容は「多くの功績も不正の結果で王家はそれを知らずに騙されているのだ」と。
それを聞いて僕たちは開いた口が塞がらないかった。
途中までの自分で少ない情報をかき集めようとしている姿勢はよかった。
そこまではよかったのだ。
そこから不確かな情報に逆に踊らされ真実を見抜けず―もしかしたらどこかでそうであってほしいという願いもあったかもしれないが―悪い噂に振り回されたのは貴族としてもよくない。
次男ということもあってそういった教育がされていなかったのかもしれない。
どちらにせよ今回の件はダインス伯爵家の落ち度であると言えるだろう。
どんな理由があったにせよ、婚約についても然り、公爵家についても正しい知識を伝える機会はあったはずだから。
今回の不幸はそういったことが重なったことで起きたものだ。
「さて、ダインス伯爵を呼んでくれるかな?ご子息のことで話したいことがある―そう伝えてくれればいいから。」
「……かしこまりました。」
本来こういったことは使用人にやらせるべきことではある。
が、今回決闘まで持ち出されて僕は勝利した。
レイヴンも今は反省の色が見えるので、このまま伝言役を頼むことにした。
もしかしたら逃げるかもしれないし、このことを伝えないかもしれない。
それならそれでやりようはある。
そう、これは最後のチャンスだ。
この行いでいかに正しくダインス伯爵に伝言が届けられるかがレイヴンの罪に直接関わることになるだろう。
……若干僕もこの数年で貴族に染まってきたかな?
そんなつもりはなくてもどうしても悪だくみしたくなってしまう。
良くない癖だと思いつつも僕は回答を心待ちにしていたのだった。
いかがだったでしょうか?
次回は明日となります!
お楽しみに!
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