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悲しき運命

久しぶりのジーク視点です。

今日は定期的に領地に戻る日だった。

といっても書類の確認をして問題なければすぐに王都の屋敷に戻る形なのでそこまで時間はかからないはずだ。

セバスに任せてはいてもせめて半月に一度は戻らないと何かあったときに対処できないからだ。


「この書類修正必要みたいだから見てもらえる?」

「確かにここ修正しないとだ。ありがとうステフ。」

「いいのよ。私も大分この仕事に慣れてきたのかしらね?」

「ほんと助けられてるよ……。最近領民が増えてきたのは嬉しいことなんだけど、手が回らなくなってきたのも事実だからね。」

「そうね、まぁもう数年耐えれば優秀な人材が手伝ってくれるわよ。」

「そうだね、それまで頑張らないと。今頃授業が終わったころかな?それはそれとしても学園生活楽しんでるといいけど。」

「私たちの時は色々ありすぎて中々学園生活を楽しめなかったものね?」

「ほんと忙しすぎるのは懲り懲りだよ。とりあえず一段落したしお茶でもどう?」

「あら、今日は淹れてくれるの?なら貰おうかしら。」


最近こうして紅茶を淹れることがある。

領主がやることではないといわれるが、これが中々奥が深いもので最近の趣味になっている。

といってもずっと趣味に力を入れ続けられる立場ではないのでたまに自分達の分を用意する程度なのだが。

紅茶を入れ終えてからテラスに移動してステフと一緒に優雅にお茶を飲む。

この瞬間がとても穏やかで仕事の疲れが吹き飛ぶようだ。


「今日はもう少しだけゆっくりして戻ろうか。」

「そうですわね。今日くらいはゆっくりしましょうか。」


そうしてのんびり過ごすことを決めてすぐに屋敷内が騒がしくなっていた。


「セバス、何かあったのか?」

「それが、どうやらジーク様へ用があるとダインス伯爵家の令息が訪ねてきておりまして。アポもないのでお引き取りを願っているのですが、全くこちらの話を聞かず……。」

「えぇ……どういうことなんだ?面識もないはずだけど、まさかダインス伯爵家でなにかあったとか?」

「いえ、どうやらそういう様子でもないようでして……。」

「セバス、何か言いにくいことなのかしら?」

「えぇ、その、どうやらマリアンヌ様について物申したいことがあるとか何とか……。」

「……余計に意味が分からない。」

「んー確かダインス伯爵家の次男は今年学園に入学していましたわね?もしかしてそういうことなのかしら?でもそんなことあるの?王家が認めた婚姻ですのに。」

「ですが恐らくはそういうことではないかと……。」

「二人で納得しないで教えてもらえる?」

「簡単に言うと特別厄介な色恋沙汰よ。」

「えぇ……。」


それからダインス伯爵家の次男―レイヴンへと会うことを決めたのだが。


「ジークハルト・ブリュンヒルド!貴様に決闘を申し込む!!私が勝てばマリアンヌ様を自由にしろ!!」

「……。」


応接室に入るや否や手袋を投げつけ決闘を申し込んできたレイヴン。

その様子に若干の懐かしさを覚えつつ現実逃避をしていた。

この事態に色々な後処理が必要にもなることを思うととにかく開いた口が塞がらないんだ。

結局僕はのんびりと過ごすことは許されない運命なんだろうか?

いかがだったでしょうか?

次回は来週となります。

お楽しみに!


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