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動き出す時

ゴーレムは崩れ去りついにこの地の龍脈の中心ともいえる竜穴へと辿り着いた。

僕達はこの場所だけが時間を切り取られたようなそんな静けさを覚えるようなそれくらい何故か寂しさを覚えていた。

それほどまでに周りには岩もなく風も吹かず音も聞こえない。

あたかも見えない空間に閉じ込められているような状況だった。


「ものすごく息が詰まりそうですわ。」

「あまり長居はしたくないですね……。」

「……兄様、ここ嫌。」

「あぁ、すぐに調べて戻ろう。」


僕たちがここに来た目的は調査だ。

確かにここに居たくないと思えるがそれでも何もせずに帰るわけにはいかない。

それがこの国の、この地を救う可能性が少しでもあるなら僕はやらなければならないのだから。

僕は辺りを見渡し()()よく凝らしてみる。

僕の左目にはこの場所が深い闇の帳に包まれているように見えている。

その中に差す一筋の光。

急な頭痛に苛まれながらもゆっくりと進み一か所だけ光が差す方向へと向かっていく。

ようやくたどり着いたそこには一振りの短剣が地面へと突き刺さっていた。

遠くからは何もないように見えたのに近づくとこうして視認することができる。

やはり何かしらの力がこの地に働いていて何かによって龍脈に不調をきたしているのだろう。

そしてその何かにはこの短剣が恐らく関わっているのだろう。

思えばブリュンヒルト公爵家の時も龍脈の内側ではあったが、今腰に下げているグラムンクが刺さっていたのも事実。

元々は龍脈の内側にあったこの短剣が龍脈が縮小していったことでこうして見える場所に押し出された、など幾つか予想もできる。

で、あればこの短剣を破壊、いや抜くことができればもしかしたら————。


「いや、これはもうダメだ。——え?今僕はなんていった?」


自問自答、傍からみればそう見えるだろう。

でも今僕の意志ではない何か?知らない記憶から否定された気がする。

自分に何が起きているのかわからない気持ち悪さに襲われる。


「いや、やめよう。今はこれを破壊しよう。」


迷いを一度捨て去る。

目の前にある漆黒の短剣を見据えてグラムンクを振りかざす。

パリンッと音を立てて短剣が割れると辺りの闇も霧散していく。

今まで重苦しく息が詰まりそうでいた場所に止まっていた時が動き出すかのように風が吹く。

すると短剣が刺さっていた場所から一筋の光が天へと昇っていく。

間もなくしてその光は消える。

ブリュンヒルド公爵領の時は光の柱に引き寄せられて竜が現れた。

今回も同じようなことが起きるのではと警戒するが、すぐにその警戒は解けた。

なにせ元々魔力も感じられない地だったのだ。

きっとあの光は龍脈に残っていた最後の魔力だろう。

それがなくなればこの地は更に酷いことになるかといえばそうではない。

この地を留めるあの結界はもうないのだ。

きっとこれから再びこの地は辺りから並みの魔力の供給を受けて動き出すことができるだろうから。



———ありがとう。



吹いた風に乗せられて聞こえた声が誰のものだったかはわからない。

それでもその声音からはこれから悪いことが起きる前兆には思えないほどに優しい声をしていたのだからきっと安心していいだろう。

こうして僕たちの調査は無事に終えることができたのだった。

いかがだったでしょうか?

一旦この章はここまでとなります。

次回からまた新しい章に入るのですが、来週になるかは不明です。

もしかしたらお時間をいただくことになるかもしれませんが、また活動報告のほうで詳細は報告します。

お楽しみに!


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