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続・押しかけ幼王女

押し切られる形で第三王女マリアンヌとの婚約の話が進んでしまった。

当の本人は満足したのか部屋を退出した。

まぁメイドや衛兵に連れられていたが見てないことにしよう。

部屋に嵐が過ぎ去ったかのような静寂が訪れる。


「……急ですまなかったな。マリアンヌがいないところで話を進めたかったのだがどうにもあのじゃじゃ馬は手が付けられなくてな。」

「ははは……」


もう乾いた笑いしかでない。


「陛下よいではありませぬか。昔は元気のなかった王女殿下もこうして自分の意見をいえるようになったのですから。」

「いや、まぁそうだがな?ちょっと元気になりすぎというか……」

「あの、どういうことですか?」

「あぁそなたは知らぬか。マリアンヌはな昔は暗い顔を常に浮かべていて元気がなかったのだよ。というのもこの王宮という場所が様々な陰謀が渦巻いているのも災いしてなぁ。姉兄に常に比べられることが多かったから引きこもり気味にもなっていたわけだ」


さっきの様子からは全く想像がつかなかった。

兄弟姉妹がいるとどうしても比べてしまう、比べられてしまうことは多いだろう。

それが王宮なら尚更。

確かに第一第二王女殿下のことや王太子殿下の話は父経由でもよく聞いていた。

それぞれが商才や武術、芸術に秀でていると聞いている。

第三王女殿下の話はどちらかというと市井で小耳に挟んだくらいだ。

王宮に片翼を失った天使がいると。

可愛らしい姿をそのまま天使と例えたのだろうけど前半部分は不敬だろうと思った。

そのときは市井に紛れていたので何かするということはなかったが。


「親の目から見ても十分過ぎるほど頑張っていたのだがな。それでも上の三人が優秀すぎたせいかマリアンヌにも無理強いしてしまってそのまま全てを拒絶するようになってしまった。これに関してはワシにも責任がある。忙しいからと構ってやれなかったのもあってどうしたものかと家族で悩んだものだ。せめて外に出るきっかけになればと絵本をたくさん買ったのだが……それが冒険譚や恋愛劇が多くてなぁ。それからは物語のような王子様を探すんだとか各地を見て回りたいだとかちょっと薬が効きすぎてしまった。」

「あれはちょっとどころではありませんぞ。騎士団総出で王都を探し回ったこともありました。」

「それは……」


話を挟むことができずにただただ話を聞く。

思った以上にたくさんやらかしてるみたいだなあの幼王女殿下は。

でも、引きこもったままではなくて外に興味を持ってくれたのはいいことだろう。

まだ六歳だ。

色んな事を体験してそれからどうするか決めるのがいいだろうから。


「まぁとりあえずだ。そんなわけで元気になりすぎた娘には手を焼いていてな。」


そんなことを言う陛下は困ったようなそれでも嬉しいような顔を浮かべている。


「それでも娘がいいと思う相手を選んであげたかったのだ。そしたらジークハルトがいいといい始めてな。」

「えと……なにゆえ!?」


そこで自分の名前が出てくるのは謎だ。


「そこは本人に聞け。ただその時はまだステファニー嬢との婚約もあったゆえ難しいといったのだが今度は第二夫人でも側室でも構わないという。ワシは気にしないがどうしても王宮貴族が騒ぎ立てるのは目に見えてる。かといって無理やり第一夫人にしろというのもしたくなかったのだ。」

「あの時は大変でしたな。なんでどうしての質問攻めで……」

「あ、はは……」


ほんと笑うことしかできねないっ。

二人がいい人で良かったと切に思う。

どうしても権力を使ってどうこうしようという貴族はやはり多い。

そんな貴族の思惑なんて知らなければ第二夫人でもいいというのも頷ける。

だが、王族が降嫁した上で更に上に他家の令嬢がいるというのはよくない。

特にトライル伯当人は絶対に権力を更に振りかざすことだろう。


「そんな時にトライル伯があんなことをしたのだからもう止められない。なんとか穏便に抑えたかったのだが聞いてくれなければ父上と口を利かないとまで言われたら仕方ないだろう!?」

「は、はい、そうですね。」


この世の終わりだみたいな顔で言わないでほしい。

選択肢がないじゃないですか。


「とにかくそなたには迷惑をかけるが娘のことを頼む。言っていたようにステファニー嬢のことを諦めろとまでは言わない。現状トライル伯のところに婚約の話はないようだ。冷血な家との縁は結びたくないという家はやはり多いようだ。だからいずれチャンスは訪れよう。その間に少しでも娘のことを多く想ってくれれば嬉しい。」

「はい、どうなるかはまだはっきりとはわかりませんが無下にはしないと約束します。」

「そうか、それが聞けただけでもよかった。」


それから少しだけ婚約発表の打ち合わせをして退出する。

一月後の披露宴で発表を行うとのこと。

その時からマリアンヌ王女がこちらの領に厄介になるかもしれないということ。

なんでも抑えられないだろうからとか。

そういった打ち合わせをして帰路につく。

今からだと夕刻には領地につくだろう。

馬車に乗り込む。


「え?」


すると目の前には第三王女殿下がメイドと共に座っていた。


「ジーク様、本日からお世話になるマリアンヌです。不束者ですがどうぞよろしくお願いいたします。やっと一緒にいられますね、私の王子様っ!」


そういって頭を下げてニコッと笑う天使様。

どうしてこうなったんだ?

更なる騒動に思わず遠くの空を見上げる。

平穏な日々はまだまだお預けになりそうだった。

はい、今度はほんとうに押しかけてきた幼王女もとい天使様。

この天使というのも割と重要だったり?

明日は馬車の中で王女様との楽しい?お話回です。


☆再度告知


12/29から1/4まで休暇ができました。

というわけで上記の期間連続投稿をしようと思います!

基本的にいつも通り21:00更新予定です!(今回は事前に予約投稿する予定です)

ぜひ楽しんでいただければと思います!


また、便利なブクマの登録や下の☆で評価をしていただければ励みになりますのでお願いします!!

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