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いざ、旧侯爵領へ

馬車揺られつつ僕らは調査依頼の目的地である旧侯爵領へと向かっていた。

メンバーは僕とマリーにステフ、ヒルデに世話係兼護衛としてメリッサとクリム、クラインに精鋭が少数。

あまり大所帯でいくようなものでもない。

もちろん何かに備えて戦力は大いに越したことはないが、今回の調査は広く知られてはいない。

そんな中旧侯爵に向かおうにもその途中で通る領地で騒ぎになるのが目に見えている。

なので少数精鋭で目指すことにしたのだ。

念のため他家に迷惑が掛からぬよう表向きは婚約した僕たちの物見遊山のようなものになっている。

その為通る領地への当主へは秘密裏に話を通している。

当然そのルートもできるだけ信頼のできる領地を通ることにした。

最近何かと物騒なので念には念をいれての配慮になる。

こちらに関しては王太子殿下がピックアップしてくれたルートを参考にしている。

本当に感謝しかない。

そんなことを考えていると隣に座るマリーと目が合う。


「長時間移動していますが気分は大丈夫ですか?」

「はい、問題ありません!……こういっては不謹慎かもしれませんがこうしてジーク様達と一緒に遠出することができて本当に嬉しいのです。」

「ははは、本当にこういった厄介ごとでなければもっとよかったんだけどね?」

「これも大事なことですから仕方ないです!その代わりといってはなんですが、今度はこういった依頼に縛られずにどこかに行きたいと思っているのですが……。」

「もちろんだよ。西部で連れていきたいと思っていた場所があるんだ。ただ少し落ち着くまで時間かかるかもしれないけど……。」


そういうとマリーはぱぁっと花が咲いたような笑顔を浮かべる。


「それはとても楽しみです!!」

「……ひーも一緒に行っちゃだめ?」

「当然ひーちゃんも一緒です!ね?」

「もちろん、皆で一緒に行こうか。」


そうするとヒルデも喜び、ステフも嬉しそうにしていた。

のんびりとした旅行、か。

その為にも早いところこの件も片付けないといけないな。





でも、なんだろう。

これだけみんなが楽しみにしている中僕一人安心することができなかった。

……それだけこの向かう先が危険だというのだろうか?

わからない。

根拠もなにもないこの不安を誰か落ち着けてはくれないだろうか。

せめてこの妙な不安が皆にも伝染しないよう僕はこの気持ちを押し込めようと必死だったのだった。


先週は申し訳ありません。

明日は投稿予定ですのでお楽しみに!

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