婚約披露宴翌日のこと
披露宴翌日、爽やかな陽に包まれながら目を覚ました。
横にはマリーとヒルデ、その外側にステフが幸せそうに眠っていた。
起こさないように抱き着かれている腕をそっとどけてベッドから降りる。
そのまま朝の風を取り込むために窓を開ける。
本来貴族のそれも領主が自分で起きたり窓を開けたりするのはおかしな話ではあるが、今日は三人の時間を過ごすために敢えて誰も来ないよう伝えておいた。
昨日は披露宴のあと二人も交えて長くお祝いをしたこともあって皆起きるのは遅くなるとふんでのことだった。
「うん、今日もいい日になりそうだ。」
と思った矢先部屋をノックする音が聞こえる。
先も述べたよう今日は一日オフにしていたはずだったのだが……。
僕は三人を起こすまいと一人扉に近づき尋ねる。
「誰だ?何かあったのか?」
「ジークハルト様、お休み中のところすみません。王宮から書簡が届きまして……。」
「なに?」
扉を開けた先にはメイドの姿をしたクリムが手紙を持って立っていた。
少しむっとして声が低くなる。
すぐにクリムに言っても仕方ないと思い、怒りを抑える。
「すまない、すぐに確認する。」
「はい、失礼します。」
「……はぁ。」
何か嫌な予感がするので見たくない。
でも王宮からの書簡であれば無視するわけにはいかない。
恐る恐る開いて内容を確認する。
すると思った以上に厄介ごとだったようで頭を抱える。
「ほんとどうしてこんなことばかりなんだよ……。」
思わず愚痴が零れる。
何度見直しても内容が変わることはない。
本当に自分の運命が呪われているのではないかとさえ錯覚する。
「……とにかく王宮へ急がなければ。」
そうして部屋に戻り着替えを済ませようと思い振り返るとそこには目が覚めた三人の姿があった。
「あの、なにかったのですか?」
「どうやら只事ではないようね?」
「……兄様教えて。」
「それは……。」
どう答えたものか迷う。
変に巻き込みたくないと思ったのにこんなに早い段階で知られるとは思わなかった。
「ジーク様、一つお願いがあります。私たちも連れて行ってください。」
「な!?そんなことできるわけないだろう。危険すぎる。」
「はぁ、やはりまた危ないことをするつもりだったようね。だったら猶更放っておけないわ。」
「くっ、いやでもっ」
「……兄様往生際が悪い。ひー達も覚悟は決めてる。」
三人が真剣な眼差しでこちらを見てくる。
「はぁ、絶対に僕から離れないでよ?」
「「はい!(うん!)」」
喜び合って抱き合う三人。
なんだか一気に毒気を抜かれた気分だった。
「それで内容はなんなの?」
「あぁ、どうやら昔龍脈の暴走があった土地―旧侯爵領の調査だそうだ。」
いかがだったでしょうか?
明日もお楽しみに!!
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