朝の待ち人
寝覚めは最悪だ。
少しだけ痛む頭を抱えながら体を起こす。
すると扉をノックする音が聞こえる。
恐らくステフだろう。
「ジーク様、お迎えに―って、ジークどうしたの?」
僕の様子がおかしいことを見て取れたのか素に戻るステフ。
できる限り大丈夫な様子を見せるために精一杯の笑顔を浮かべる。
「……大丈夫だよ。少し変な夢を見ただけだから気にしないで。」
「そう、無理しないでね?あなたが元気なことが一番だから。」
「ありがとう。」
時間的にも余裕があまりない。
急いで支度を済ませて学園へと向かう。
まだ頭痛は収まらない。
それでもなんとか学園へと到着すると教室の前が騒がしい。
「……なにかあったんだろうか?」
「確認してきましょうか?」
「その必要はないよ。私は君たちに用事があったのだからね。」
僕たちの疑問に第三者の声が答えてくれる。
僕もステフも驚愕した。
何せその第三者というのが王太子でありこの学園の生徒会長―ユリウス・ヴァルハラだったのだから。
急いで臣下の礼を取ろうとするが王太子殿下からストップがかかる。
「今はお互い学園生の身だ、あくまで上級生として扱ってくれればそれでいいよ。無暗に権力を振りかざすつもりもない、そう校訓でも言われてるしね?」
そういっていたずらっぽく笑う殿下。
楽にしてと言われたので僕もステフも立ち上がって話を聞く態勢を取る。
「ありがとうございます。それで私たちに用事とはどのようなものですか?」
「うん、それについてもまた後にしようか。もう授業も始まってしまうから。お昼に少し時間をもらってもいいかい?」
「わかりました。」
「ありがとう。それじゃお昼に生徒会室に来て欲しい。それまでに体調が悪くなるようだったら無理しなくていいから。」
殿下はそのまま手を振りながらその場を去る。
気になるのは最後に言っていた言葉。
僕は体調悪いなんて伝えてないはずで。
それを話すときは結構隠せているつもりだったんだけど……。
「ねぇステフ、僕ってそんな体調悪そうに見える?」
「私からすれば一目瞭然ではありますね。」
「そっかぁ。僕もまだまだってことかな……。」
「いえ、それでも普通は気づかないと思いますけど。」
「さすが王太子殿下ってことか。」
貴族としては表情に出さないことが求められる。
なにせそれによって駆け引きの明暗を分ける。
なんにせよ気遣ってもらえたのは純粋に嬉しい。
こういう気遣いも王太子の魅力の一つなのだろうか。
授業開始前の予鈴が響く。
僕もステフも一旦分かれて各々の教室へと向かう。
少しだけ王太子殿下からの呼び出しに不安を覚えながら午前の授業を受けることになったのだった。
いかがだったでしょうか?
今後の展開を楽しみにお待ちください。
それと時間が空いてしまい申し訳ありませんでした。
最近忙しく中々時間をとれないものでして……。
できる限り投稿はしていくつもりですのでこれからもよろしくお願いします。
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