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何も持っていない少女

今週は通常通りに投稿できました!!

sideマリー


日が昇り辺りが明るくなってきた頃、マリーは目覚める。

マリーの朝は早い。

王宮に居た頃からの習慣が染み付いてしまっていた。


「おひぃ様おはようございます。」

「メリッサ、おはよう!」


私に合わせてメリッサも起きるのが早い。

給仕服に身を包み朝の白湯を用意してくれている。

この白湯を始めたのもすべては自分に自信をつけるため、そしてジーク様の隣にいて恥ずかしくない自分でいるための一環だ。

そして朝ごはんまでの少しの間でも勉強やマナーなどを学んでいく。

ここらへんもすべてメリッサが一通り教えてくれるようになっている。

私がやりたいと思ったことに全力で支えてくれてこうして勉強をしたいといった時もメリッサが本を集めてくれたり時間を見つけてマナー講師に聞きに行ったりしてくれている。

無理はしないでほしいといったけど、「これがおひぃ様の幸せに繋がるのであればそれが私の幸せにもつながりますので。」と言っていた。

こうして支えてくれるメリッサに報いることができる自分になりたい。


今でさえ明るくなったマリーも昔は塞ぎこんで部屋に籠って出てこない時期があった。

メリッサとはその頃からの付き合いになる。

あれは三歳の誕生日を迎えたときのこと――



「マリアンヌ王女殿下、お誕生日おめでとうございます。」

「ありがとうございますっ!」

元気いっぱいに笑顔を浮かべてお礼を述べる。

そんな裏で少しだけ私はうんざりしていた。

来る人来る人がみんな口を揃えて同じセリフを口にする。

表情は笑って見えていてもその内は退屈そうな印象を覚えた。

なんとなくだけど人の隠している感情がわかるような気がしていた。

大きな会場にポツンとただ一人立たされているようなそんな空虚な気持ちが押し寄せる。

傍には父上と母上がいたけれど少ししたら父は仕事に戻り、母は多くの女性に囲まれて話をしていた。

二人が心から私を祝ってくれていたのはわかっているし、父上は諸々が重なり忙しいのはわかっている。

母上も父上の力になる為にも自身の派閥を広げたいと思っていたのだろう。

幼くも賢いといわれていただけあってそこら辺のことは理解できていた。

が、感情はそれに追いつかなかった。


「おお、王太子殿下に王女殿下方だ。」


誰かがそう口にした。

視線を向けるとちょうど入口には兄上と姉上が入場してきたところだった。

三人は可愛い妹の為に祝いにきたと言ってくれてとても嬉しかった。

三人も常に忙しく、中々遊べないのは寂しかったがこうして可愛がってくれるのは素直に喜んでいた。

でも、だからこそ、私は三人に嫉妬していた。

私と同じころにはもっと進んだ勉強をしていて、性格も優しく気高く、正に貴族の鑑のような完璧な兄姉。

私が頑張って頑張って勉強を進めても、「さすがご姉弟揃って優秀でございます」と乳母には言われた。

勿論その言葉に他意はないことはわかっていても、心にしこりは残ったままだった。

私ができることは、頑張ってできたことは兄姉にとってはなんてことはないのだと思い知ったのだった。

そうしてこの誕生日会の主役だった私の周りはいつの間にか人はいなくなり、先ほどまで祝いの言葉を述べていた貴族は兄姉に取り入ろうとそちらに向かっていった。

それから私はすぐに会場を離れ部屋に引きこもった。


武力に秀でた長女アリアンナ、知力に秀でた次女ミリネリア、万能でカリスマ性がある正に次代の王に相応しい王太子ユリウス。

頑張って頑張ってそんな人達の背中を追いかけて、それでも遠ざかる。

じゃあ結局、私には何があるのだろうか?

強いて言えば無い笑顔を浮かべるような模範的な――偶像の王女とでもいうべきだろうか?

いかがだったでしょうか?

明日もマリーのお話になります!

一応明日で終わる予定です!

来週は学園の話に戻ります。

お楽しみに!


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