職人気質
それからガーヴはグラムンクを受け取ってから小一時間ほど語りだした。
勿論その間も魔剣を見ることはやめない。
作業をするのか喋るのかどちらかにすればいいと思うのだが、曰く時間の節約だとか。
目を見たらわかる、こうなった職人は止まらない。
ミミルも申し訳なさそうにしていた。
僕もステフもガーヴが満足するまでミミルにお茶をもらいながら待つことにしたのだった。
「ふぅ。こりゃすげぇや。」
「……何かわかったのですか?」
「うん、これは理解できんということがわかった。」
「「「え!?」」」
これには僕達三人の声が揃うくらいには驚愕だった。
あれだけ云々言いながら見ていたのだからわかっているのだと思ったが……。
「というのもこいつは出鱈目すぎる。外と中身が一致していないというか、剣自体は恐らく儂なら打てると思うのですが……この魔核の中身が理解できないのです。」
「魔核ですか……。」
魔核は魔剣が魔剣たらしめるのに必要なものだ。
ここに魔力が込められ性質が決まる。
例えば魔核に炎の魔力が込められれば炎を操る属性の魔剣となる。
が、そう言われればこのグラムンクは特定の魔力を操るものではない。
魔力は何であれ吸収できるし、放出もできる。
そして魔力を込めれば込めるだけ剣が一時的に強化される。
何よりガーヴ曰く下手な手入れはいらないという。
何でも魔核がそこら辺も魔力でやってくれているようなのだ。
どうも使っている期間に対して綺麗すぎるそうな。
そう思うと確かに出鱈目といえるかもしれない。
「こうなると魔剣が、いや魔核が生きていると言われても不思議ないような感じですな。」
「なるほど……。」
そういわれると心当たりしかない。
あれから声が聞こえなくなったが確かにこの魔剣には意思がある。
何故そうなってしまったのかもわかれば良かったのだが、この分ではわからないだろう。
聞きたいことはたくさんある。
でも何も言われないのであれば今は何かするべきことはないということだろう。
今は思うがままに進もうと思う。
「公爵様、いつか必ずこの魔剣を理解できるようになります故、また定期的に見せてもらえませんか?」
「そう、ですね。わかりました。また来させてもらいます。」
また来なくてもいいとは一瞬思ったが万が一に備えるのは悪いことではないだろう。
少々拘束時間が長いので頻繁には来ないとは思うがまた来ることにした。
そうして長かった一日がようやく終わり屋敷に戻ることにした。
その日は僕もステフもすぐに支度をしてベッドに急ぎ、ぐっすりと眠ったのだった。
いかがだったでしょうか?
続きは来週となります。
最近リアルが忙しいためまた予定が変更になるかもしれません。
ですが、今日のような形で埋め合わせはする予定ですのでお楽しみに!
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