約束
「どうぞ。」
マリーの返事を聞いて僕は部屋に入る。
三人はソファに腰がけて待っていたようだった。
後ろに控えるようにクリムが立っている。
「今日は時間をくれてありがとう。そして何も伝えずに諸々勝手に決めたことすまなかった。」
そういって早々に僕は頭を深く下げる。
沈黙が続く。
どれくらい時間が経っただろうか。
実際には数分しか経っていないのだが、僕にはこの時間がとても長く感じられた。
そしてマリーがため息をつきながら口を開く。
「はぁ……わかっているのでしたら今度から気を付けてください。いくらジーク様がお強いからといっても心配しないわけではないのですから。私たちも好きで怒りたいわけではないのです。それさえわかっていただければと。」
「本当にごめん、今後はできる限り連絡はするから。」
「そこは確約がほしいものですけど……むう、仕方ありません。その代わりお願いがあります。」
「えっと、わかった。僕のできることであれば叶えるよ。」
「ありがとうございます!それでは私たち四人の願いをかなえてくださいね?」
「……お手柔らかにお願いします。」
なんとか怒りは収めてくれたようだ。
その様子に僕はホッとした。
実際クリムのことについてはクリム本人から聞いていたようでそこまで怒っていなかったようだった。
寧ろ境遇に同情している節があったようだった。
僕がヤキモキしている間に大体が丸く収まっていたのは少し解せないがまあよかったと思う。
「……じゃあまず私から、兄様今日一緒に寝よ?しばらく会えなくなっちゃうから。」
「うん、わかった。今日は一緒に寝ようか。」
そろそろどうなのかとも思ったが、可愛い妹の願いを無下にはできない。
それに僕たちはお互いが唯一の肉親なわけで。
甘えられる家族がいるというのは心の余裕が違うだろう。
「でハ、ボクからはここで教育を受けさせて欲しい、です。」
「それは構わないけどどうして?」
「はい、ボクは森で暮らしていたかラ外の事情に詳しくない、です。だから皆の為にもボクが学んで今後争いを無くしたい、です。」
「そういうことなら全力で応援するよ。」
「ありがとう、ございます。」
クリムも今回の件で思うことはあったようで、今後余計な争いが起こらないようにしたい彼女の願いは叶えたい。
「次は私ですけど。そうですね、といっても今思いつくお願い事がなくて……。」
「なら今すぐ決める必要はないさ。ステフは学園に同伴予定だしそっちで何かあれば決めてくれればいいよ。」
「そうしますわ。今回は保留ということで。」
そう、実はステフは学園に従者として同伴することになっている。
今は貴族ではないが、今後ここにいてくれる彼女の為に勉学を一緒に学んでいこうということになり従者として同伴してもらうことになったのだ。
なので彼女に関してはずっと近くにいるので心配はそこまでしていなかった。
「最後に私です!私の願いは――」
こうしてした彼女達との約束を僕は何が何でも叶えていくことにした。
それこそが僕の望みでもあったから。
今後ですが、投稿日を一日減らすかもしれません。
また余裕ができれば戻すこともあるとは思いますがよろしくお願いいたします。
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