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青髪の少女

昨日はすみません、リアルがバタついていたもので……

今日は夜も投稿します。

バジリスクを倒したことで森に漂っていた不穏な空気が消え去る。

その異変を察したのかアリアンナ王女がこちらに向かってくる。


「これは!?ジークハルト殿、無事やり遂げたのだな。此度のこと感謝する。」

「気にしないでください。僕もバジリスクを討伐する必要があったので。」

「そうか、それでこのバジリスクだが……。」

「討伐証明ができる部位だけ頂ければ後は好きにしてください。」

「なっ!?さすがにそれはできない。これだけの素材の宝庫を手放すものではないぞ?」


確かに竜の素材は貴重かつ強力な武器や防具へと仕立てることができる。

それこそ値千金の価値があるといえよう。

だが、僕はそんなもの欲しくはない。

何せ以前黄龍ファフニールを倒した時だってそうだった。

見限った貴族も手のひらを反して擦り寄ってくる気持ち悪さといったらもう勘弁してほしい。

あの時は街を復興するための資金が必要だったからいいが、今だといい迷惑だ。

僕はただ、領地で大切な家族とのんびりとした生活を送りたいのだから。


「ですが、アリアンナ王女殿下にも悪い話ではないと思うんです。今回の件での被害相当なものですよね?」

「それは……。」


バジリスクとの無言の攻防の際見た石像。

その一部はこの王女が率いる軍人だった。

それに森から溢れる魔物の掃討なども彼女たちが担当していたと思われる。

途中で出会った時よりも身に着けている装備がところどころ破損しているようだった。

ならばそちらで使ってくれたほうがありがたい。

王族の王女に表立って文句をいうような輩は少ないのだから。


「どうか受け取ってください。一部は遺された方への手当に充てていただければと思います。」

「……もちろんだ。その厚意、有難く受け取らせてもらう。」


僕はニコッと微笑んでその場を離れる。

つもりだったのだが、また一層うるさい声が聞こえてきた。


「なっなっ!?森の主様がなにゆえ!?」


森のように深い()()の男達十数人と海のように青い髪を持つあの時の少女が姿を現す。

この森の部族のようだった。

少女はただ居心地が悪そうにそこにいた。


「キサマらかぁ!!!」


睨むように先頭の男がこちらを見てくる。


「すべてすべて()()()()()()、クリムっ!!」

「ひっ!?」

「そうだ、すべてはおまえのせいだ。」

「やっかいな混ざりものめ。」

「ほんとに森の民とは思えない。気持ち悪いわ。」


口々に青い髪の少女——クリムを非難する。

僕たちは何が起きているのか理解できなかった。

だが、よくないことが起きているのはわかる。

だから、


「何があったかわからないが、やめないか。」

「余所者が、主様を殺したおまえたちが私たちに指図するな!!」

「言ってきかないなら、かかってきなよ?」

「っ!?」


耳障りだったので思いっきり威圧する。

少し怒気を混ぜたように語尾を強めるとすぐに男は黙る。


「王女殿下、この者たちはどうするつもりで?」

「あ、ああそうだな。正直抗争もカタがついていたしこれ以上は不干渉でいくつもりだったのだが、どうやらこの様子だとバジリスクの件も知っていそうだからな。少々話を聞かせてもらう必要があると思うぞ。」


不安そうな様子のクリムをちらりと見て考える。

このままだと寝覚めが悪そうだ……。

僕は必死に打開策を考えることにした。

21:00に続きます。

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