バジリスク討伐
バジリスクに真っ向勝負を挑む。
正直勝てる自信はない。
いくら竜殺しの称号をもらったとはいえ、内側から柔らかい部分を切り裂いただけなのだ。
もちろん、黄龍ファフニールに比べれば断然柔らかい。
が、このバジリスクは柔らかい肉質を活かして木々や地面を縦横無尽に動き回る。
同じ竜種でも全くと言っていいほど攻略方法が違うので役に立たないのだ。
真の意味で竜殺しを目指すのならこんな弱音はすてるべきなのだろうが、生憎僕にそんな目標はない。
平和な日々を領地で送れれればそれでいいのだから。
現状を整理しよう。
なんとかあの部族の少女も逃がすことができた。
そして目の前のバジリスクの気を引くこともできている。
僕へのダメージは軽微、強いて言えば疲労が溜まっていることくらいだろう。
比べてバジリスクは体中に傷が見える。
ここ数分での攻防で僕はバジリスクに有利に立てていた。
だが、決めきれない。
先に述べた動きが衰えているようには見えないのだ。
体力はこちらが有利でもスタミナでは不利になっているため、この攻防もどうなるかわからない。
「はぁはぁ……。いい加減倒れてくれないかなぁ。」
うんざりしつつも気を緩めずグラムンクを構えなおす。
持久戦はこちらが不利。
早めに勝負を決めないといけない。
パンッと音を立てて頬を叩く。
「さっさと白黒つけようか、僕はもう帰りたいんだ。」
再びバジリスクが姿を消す。
だが、
「もうお前の居場所はわかるんだ。」
バジリスクから流れた血が地面や木々に付着している。
すでに流れた血は擬態の範囲外のようなのだ。
その血が移動するバジリスクに付着したことで場所を特定できる。
「だから沈めよ、緑竜。これで終わりだ。」
口を広げてこちらへ襲い来るバジリスクをはっきりと捉えられる。
僕は構えたグラムンクを振りかぶり、薙ぎ払う。
キンッと音が鳴り数秒後、バジリスクが横に裂ける。
辺りが静寂に包まれる。
バジリスクはそれ以上動くことはなかった。
はぁと溜息をついてその場に座り込む。
長かった、そして疲れた。
家に帰ってゆっくりしたい。
そう思いながらひとまずの休息につく。
こうして僕は二体目の竜殺しを成し遂げたのだった。
続きは来週となります。
お楽しみに!
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