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VS緑竜バジリスク

周りの気配を探しても相変わらずどこに潜んでいるのか見当がつかない。

とにかく開けた場所に移動するなりしたいものだが、中々いい場所が見つからない。

すると目の前にとある集団が見えた。


「お前は、ジークハルト殿ではないか。」


どうやらアリアンナ王女を筆頭とした国防軍のようだった。


「アリアンナ王女、どうしてここに?」

「それはこちらのセリフだ。私は貴殿の屋敷からすぐにこちらに向かったのだからな。」

「そうでしたね。」

「それで貴殿は何故ここに?」


困ったことになった。

今僕はバジリスクに付けられている状態だ。

何も僕も好んで一人でいるわけではない。

万が一のときは辺りへの配慮ができないからこそ一人でもいいと思っていたのだ。

なのにここで王女と合流すると動きづらくなってしまう。

僕は少しだけ声を低くして真面目に答える。


「私は……そうですね、()()()()()()()()()()途中でして。」

「……そうか、できればこちらとしても手伝いたいところだったが急用ができたのでな。ここで失礼しよう。」


王女も只事ではないことを察してくれたのか、僕の言葉を冗談とは捉えずにいてくれた。

そうしてそのまま王女達は元来た道を戻っていく。

これでなんとかこれ以上の軍への被害は抑えられそうだ。

僕は軍とは反対方向を向き更に森を突き進む。

ここまで四時間歩き続けてきた、そのせいか疲れは大分溜まっている。

それでも僕は進む。

誰かを巻き込むようなことはしたくないから。

すると森の奥から一人の少女が姿を現す。

深い蒼の髪に褐色の肌、独特な民族衣装にその身より大きな斧槍をこちらに向けている。

聞いてた話では緑の髪を持つと言っていたが、服装や武器を見るに恐らくこの森で暮らす部族の娘だろう。


「とまれ!」


僕は両手を挙げて何もするつもりはないことをアピールする。


「おまえ、なにしにここ、きた?」


少し片言なしゃべり方でこちらに尋ねる。

黙っている間も僕から目を離さずに睨んでくる。

厄介なことになった。


「少しだけ森の奥に用があってね?どこか拓けた場所とか知らないかな?」

「おまえに、おしえるひつようない。すぐにでてけ。」

「それは申し訳ないけどできなんだ。」

「ならちからずくでもっ!」

「ちょっと!?」


そのまま僕に襲い掛かってくる少女。

今こんなことしてる場合ではないのに。

バジリスクに隙を与えないようにしつつこの少女を無力化するよう動く。

腰に携えた魔剣グラムンクはまだ抜けない。

加減の効きづらいこれで斧槍を防いでしまうと少女を傷つけてしまうかもしれないし、バジリスク相手に後手に回ってしまう。


「これいじょう、みんなにてをださせない。長老をかえせ!」

「長老なんて知らないよ。僕はこの通り身一つでここにきてるんだから。」

「でも、長老いなくなった。ならだれのしわざ?」

「それは、僕にもわからない。でもこの森で石になっている人を見かけたからもしかしたら―」

「緑竜様はこのもりのまもりがみ。もりのおくにねむっていてよほどのことがないかぎりおきない。だからそんなはず、ない。」


思い当たることはあるのだろうがかぶりを振ってその考えを振り切る。

この森で暮らしていた彼女からすれば守り神と崇める竜がそんなことをするとは思いたくはないのだろう。


「……そう、か。信じられないならそれでもいい。だが、ここは通してほしい。君を巻き込みたくはないから。」

「うるさい、うるさい。ここはぜったいにとおさない。」

「うっ、まずい!」


不意打ちに咄嗟に対応できずによろける。

すると後方から大きく口を広げた緑の蛇竜バジリスクが姿を現し襲い掛かってくる。


「へ?」

「くそっ!」


突如現れたバジリスクに困惑し、少女は動けなかった。

僕はすぐに態勢を整えて少女の腕を無理やり引きその場から退避する。

すぐにバジリスクは今先ほどまで僕達が立っていた場所を抉る。

間一髪だった。

未だに放心状態の少女を揺さぶる。


「しっかりしろ。死にたくなければ必死に逃げろ。」

「っ!?ぼくはにげない、にげるわけにいかない。」

「そんなこと言ってる場合か!君じゃこの場にいても何もできない。」

「そんなことは……。」

「いいから行けっ!」

「くっ!」


少女はこの場を急いで離れる。

バジリスクは少女に視線を向けようとする。

その瞬間にグラムンクを抜き切り付ける。


「お前の相手は僕だ。よそ見するなんて余裕あるかな?」

―キシャァァァァアとバジリスクが咆哮を上げる。

「ようやく姿を現してくれたんだから楽しもうよ。」


睨みつけてくるバジリスクを睨み返す。

もちろん馬鹿正直に瞳を睨むわけにはいかない。

道中の石像の様子から察するに正面から石化されていた。

というのも皆表情が恐怖に染まっていたが、何かから逃げている様子ではなかった。

突如目の間に何かが現れたような、そんな感じがしたのだ。

だから石化はあくまで瞳を見た場合に発動するのだろう。


「さぁ、場所は予定外だったけど気兼ねなく戦おう。」


こうしてようやく僕はバジリスクと相対したのだった。

また明日投稿予定なのでお楽しみに!


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