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緑竜捜索

「はぁ……憂鬱だ。」


僕は今一人で北の森へ来ていた。

それもすべては自分の迂闊な発言のせいではあるけどもそれでも文句はいいたい。

何より、領地に残してきた三人の怒りが怖い。

今回わざわざ領地に戻るのも手間(決して怒られたくないからではない)だったので早馬で報告だけして北へと赴いた。

だから余計に戻った時のことが怖い。


「はぁ……。」


再びため息がこぼれる。

……。

それにしても()()()()だ。

この森に入って一時間半ほどだが、ここまで部族の生き残りと思われる人も魔物も一切出あっていない。

緑竜バジリスクがいるとは思えないほどに森が静まり返っているのだ。

明らかに異常。

警戒を緩めることはできない。

本能が警鐘を鳴らしている。

すでに僕は睨まれているのだと。

擬態能力を持っているとは聞いていたが予想以上だ。

どこにいるのか気配を感じることができないのだから。

鼓動も痕跡も一切見当たらない。

ほんとうに厄介なことこの上ない。

そうして睨まれているような奇妙な感覚だけを感じつつもさらに森の奥へと進む。

ここまで来ると根競べだ。

僕の集中力が切れるが先か、バジリスクの痺れを切らすのが先か、勝負と行こうじゃないか。

すると大きく開けた場所が目の前に見える。

だが、その場所には不自然に並ぶ()の数々。


「これは……。なるほど、これはただの獣相手じゃなさそうだ。」


もちろん相手は竜。

この世界の頂点に君臨する種族。

舐めていたわけではないがここまで知性があるとも思っていなかった。

目の前には恐怖に染まった顔を浮かべた我が国の兵士達だったもの。

それがこの場にご丁寧に並べられているのだ。

おおよそ僕にこの場を見せて油断を誘う、もしくは士気を下げるつもりだったのかもしれない。

だが、僕はいたって冷静だ。

そして怒りにも満ちている。

どこから見ているかわからないが、絶対に僕がお前を討ってみせよう。

その長い首を洗って待っているといい。

虚空に向けて僕は決意を新たにする。





それから更に一時間。

まだ、僕はバジリスクを見つけることはできていない。

短めです。

明日は少し長めに投稿予定です。

お楽しみに!

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