とある部族
褐色肌で緑の髪が特徴的な集団が森のとある場所に集結していた。
数は十数名程だろうか。
彼らはとある戦で数を大きく減らしていた。
ある国からは国境が隣接しているから森を協力して管理しようと言われた。
だが、この地に長く住み着いていた彼らからすれば侵略行為に等しかった。
彼らは森で生き森で果てる、ただそれを誇りにしていた。
だからこそ、森の脅威は確かにあれどそれが自然の摂理だと考えているのだ。
森の民は断固として拒絶した。
そうして友好を結びたかったはずの使者を傷つけてしまった。
こうして戦は始まった。
元はすれ違いから起きたことであった。
だが、プライドを守りたい森の民はそれがわかっていなかった。
「許さない、絶対に許さないっ。」
「我らが部族の誇りにかけて、この森を守るために。」
「今こそ森の守護者に助けを求めるべきだ!」
「だが、誰が守護者を呼びに行く?」
「「「……。」」」
一様に皆口を閉じる。
守護者を呼びに行くことは命を捧げることだ。
森で命果てるのはこの部族にとっては当たり前であった。
だが、守護者に会ったものはその身は残ることはなかった。
だからこそ最終的に土に還りたい部族の民にとっては苦渋の決断ともいえた。
「あの娘を送り込むのはどうか?」
「……いや、儂が行こう。」
「長老!?」
「そもそも此度の戦は儂の責任と言えよう。我々は数を大きく減らした。この老害が生きるよりもそれがよかろう。」
「長老万歳!!」
「緑の民万歳!!」
「森の守護者様万歳!!」
「バジリスク様万歳!!」
この森の脅威、緑竜バジリスク。
森の奥に住み着き、主に魔物を糧として生きている。
その魔物が森から逃げ溢れて近隣地域に影響を及ぼすことが多々あった。
昨今竜の災害に見舞われた王国は何としてもこの竜を目覚めさせまいと手を尽くしていた。
話し合いが通らないが故強硬してまでこの森を封鎖したかったのだ。
もちろん、森の民が先に手を出したので体面は整っている。
が、結局こうして森の民に最後の一手としてバジリスクが動き出すことになってしまった。
再びこの国に竜の脅威が訪れる。
だが、今この国には竜殺しが実在する。
本人の意思とは別に駆り出されるであろうことは誰の目を見ても明らかだろう。
いかがだったでしょうか?
再び竜が現れます。
彼の平和な日々はまだまだ遠い……。
明日続き投稿予定です。
お楽しみに!
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